Episode Story 食物アレルギーに悩む人に安心を届けたい。

ニッポンハムグループでは、「食物アレルギーをお持ちの方やそのご家族にも、安心して美味しい食事を楽しんでいただきたい」との考えから、「みんなの食卓」の販売など、さまざまな活動に取り組んでいる。なかでも、東北日本ハムは、食物アレルギー対応商品の製造・開発を長年手がけてきた企業である。以前は、5つある工場棟のうちの一つだけが食物アレルギー対応商品専用工場だったが、2015年4月、すべての工場棟が食物アレルギー対応工場に。これにより、安心・安全はもちろん供給できる数量や品種なども拡大、これまで以上に食物アレルギーを持つ人たちの要望に対応できるようになった。
この移行プロジェクトにあたり、他工場への製造の移管や廃止、別商品への移行などに工場側で主に対応したのが、大川である。

特定原材料7品目を使わない商品の開発

「食物アレルギー」に対する社会の認識が高まる中、ニッポンハムグループは1966年頃から先んじて食物アレルギーの研究・開発を始めていました。
そのような中で東北日本ハムでは、食物アレルギーに悩む人においしいハム・ソーセージを召し上がっていただきたいという想いから、2004年に特定原材料を使用しない食物アレルギー対応商品「みんなの食卓」シリーズを発売しました。当時は卵・乳・小麦などを使用しているライン・機械を共用し、朝一番に製造したり洗浄を確実に行うことでアレルゲンが混入しないように万全の体制をしいて製造していました。
そういった中で、お客様により安全な商品をお届けするためにも、2007年に業界では初の食物アレルギー対応商品専用工場を設立し、ハンバーグや米粉パンなど商品を拡充し、より多くの「食べる喜び」のお届けに努めてきました。

全ての工場棟を食物アレルギー対応へ

社内外からの食物アレルギー対応商品への期待や需要が高まる中、東北日本ハムは大きな岐路に立つことになりました。2016年4月までに、東北日本ハムの工場すべてを食物アレルギー対応にする――そう会社から告げられたのは、2014年秋のことです。
当社では既存の工場棟では卵や乳の成分を原材料として使用していましたから、それを一切なくすためには工場内全エリアの洗浄、そして、器具、備品の入れ替えが必要です。また、原材料を変えるからといって、今、市場に出ている商品をすべて廃止するわけにはいきません。人気のある商品は、別工場に移管し、製造を続けることになりました。
どの商品を残し、どれを移管するのか?そのリストアップは、商品開発として商品の原材料の配合管理を行っている私に任されました。

移管先でも同じ品質の商品を製造できるように

リストアップを始めると、当時製造していたうち200トンを移管しなければならないことが分かり、そのうちの25%はプライベートブランド(PB)でした。私が若いときからずっと手がけてきた商品もたくさんあり、感傷に浸ることもありました。
しかしそんな感傷に浸っている場合ではなくなりました。食物アレルギー対応工場への完全移行が2015年4月と、1年早まったのです――。
ただでさえ、間に合うかと懸念していた中での決定でしたが、得意先への説明や代替え提案、別工場へ商品移管の手続きを急ぎました。食肉製品の製造プロセスは工場による違いはほとんどありませんが、機械設備の設定の微調整や、当社独自のこだわり原料や配合をオンラインし、規格に合致した商品を製造できるようにするため、製造担当者には何度も電話。ときには直接工場に出向き、アドバイスを行いました。

目に見えないものを徹底的に洗浄する

一方、工場では洗浄が始まりました。数ppmという超微量でも混入が許されないのが食物アレルギー対応商品ですので、目に見える汚れとは全くレベルが違います。これまでに何十年も使用してきた食物アレルギー物質を工場から完全排除する洗浄です。製造設備はもちろん、着用しているエプロンや長靴、壁や床や天井に至るまで、あらゆる部署が様々な観点からリスクを考えて進められて行きました。洗浄は従業員総出で行ったのはもちろん、専門業者でも実施。予算は数千万円という大規模なもので、一部壁や床の改修工事まで行いました。

食物アレルギー対応の意義を全員が理解していた

当社の工場が、食物アレルギー対応工場に生まれ変わり、そして、移管先工場の準備がすべて完了したのは2015年3月末のことです。
本当に間に合うのかと、みんなが思っていた移行作業を、何とか期限内に終わらせることができました。要因ですか?やはり、みんなが力を合わせたことに尽きます。PBのお客様に同行した営業、移管先となった全国各地の製造工場、管理部門、そしてお客様。これほど社内外の協力を感じたことはありません。ニッポンハムグループが約20年間食物アレルギー対応の事業に取り組み、食物アレルギー対応商品をつくることの意義、必要性を、全員が理解していたことが大きかったと思います。

専用工場があるという安心感を提供できる

健康志向が高まる中で、ニッポンハムグループに、食物アレルギー対応の専用工場が生まれる意義は大きいと思います。食に関わる会社として、安心安全な商品をつくることは当然ですが、食物アレルギーをお持ちの方にとっては、「食物アレルギー対応の専用工場がある」ということは、大きな安心感になるはずです。
当社も、ニッポンハムグループ13事業領域の一つ「食物アレルギー対応食品」を具現化する会社に生まれ変わりました。競合他社はおろかグループ内にもない、食物アレルギー対応専用工場を保有したことは、ビジネス上大きな強みです。

強みを活かし、「点」ではなく「面」の商品を開発していきたい

商品開発としての仕事は、これからです。今、正に、食物アレルギー対応工場という「環境」、下地ができあがりました。それを活用して、新しい「食べる喜び」を提供していくのが、私の務め。工場の特性を活かした他にはない商品をつくり、今まで以上に活気ある工場を実現しようと奮い立っています。
同じ食品業界の中で、食物アレルギーの取り組みが広がっています。今は主にハム・ソーセージなどの食肉製品、米粉パンの提供に留まっていますが、食生活は、主食・主菜・副菜を基本に、食事のバランスが求められています。
これからの商品開発のカギは「面」だと思っています。これまで販売している食物アレルギーに対応したハムやソーセージ、米粉パンなどに加え、今後新たに開発する商品一つひとつ、いわば「点」を組み合わせ、「面」即ち「一つの食事」として、商品を提案していきたい。「みんなの食卓」ならバリエーションや組み合わせで食物アレルギーがあっても食卓を豊かにしていける、それが目指す方向性であり、引いてはそれが健康志向や米粉パンを通じて米の需要拡大にも貢献できるのではないか。今、そう考えているところです。

Profile : 東北日本ハム株式会社 山形工場 商品開発課 係長 2004年入社 大川 雄一
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