Rotary 2025年 秋号
12/22

伝統と技術承継でブランド価値を未来へ加工肉の原点を守る、グループの力く協賛をはじめ、地元企業との新たなコラボレーションも視野に、地域への関与を深めていく方針だ。加えて、地元の学校への食育授業に、学校給食でソーセージを提供するなど、若年層へのアプローチも始まっている。昔も今も地元に根づいたブランドとして、世代を超えて〝本物の味〟を伝えていく。その基盤づくりはすでに始まっている。木浪、髙橋をはじめスタッフ一人ひとりが食べる人の笑顔をつくる、函館カール・レイモン。彼らはレイモン氏の誠実なものづくりの姿勢を確かに守り、伝え、届け続けている。工場長の塚本は、キャリアも世代も異なる2人をこう見ている。「木浪は成形・充填から接客までマルチなに経験を積んだ、当工場ならではの人財モデルの一人です。また、髙橋の製造経験を踏まえた営業のポテンシャルにも、今後大いに期待しています」塚本自身は1990年に入社し、造部門で過ごした、生え抜きのリーダーだ。途中2年間は函館カール・レイモンと統合する前の日本ハム北海道ファクトリーへ出向。「他社の製造現場を見たことで、改めて函館カール・レイモンの独自性と魅力に気づくことができました」(塚本)塚本が率いる同工場ではレイモン         氏の製法を誠実に守ってきたが、そこにはニッポンハムグループの力が欠かせない。保存料や結着剤の使用を抑えた加工を可能にするのは新鮮な豚肉で、それを毎朝必要なだけ届けているのが主に北海道八雲町にあるニッポンハムグループの日本フードパッカー(株)道南工場だ。特にレイモン氏のレシピを受け継いだ商品群は、原材料表示でもわかるように原料が驚くほどシンプル。その素材の味を丹念な手仕事が引き出す。豚一頭を余さず使った多彩なラインアップも、伝統製法に基づいている。頭や頬の肉、内臓、脂肪などあらゆる部位を使いこなすことで、例えば干した膀胱をケーシングとして用いるロオルハムや、直腸を使ったサラミなど、多様な製品が生まれる。こうした特殊原料(肉以外の部位)の供給も、グループ内の食肉処理工場との連携あってこそだ。一方、技術承継については課題もある。木浪たち熟練者の手の感覚、例えば肉質の微妙な違いの見極めは数値化が難しいからだ。繰り返し肉に触れて体得してきた部分をどう受け継ぐかが今後のテーマになりそうだ。若手社員に技術と知識を伝える仕組みとして、塚本は社内マイスター制度の可能性などを模索している。また、地域貢献にも積極的だ。「函館マラソン」への2018年から続つ か も とま さ の ぶReport・Text/深江 園子 Photo/(株)七彩工房 藤田 あい12日本ハム北海道ファクトリー(株)函館カール・レイモン工場 工場長函館カール・レイモンの原料には国産のフレッシュな肉を使用している。35年のキャリアのほとんどを同社製日本ハム北海道ファクトリー株式会社函館カール・レイモン工場 操業開始:1983年所在地:北海道函館市鈴蘭丘町3番地92従業員数:38名(2025年8月現在)1925年、当時31歳だった食肉加工マイスターのカール・レイモン氏が、函館に開いたハム・ソーセージ店が始まり。函館の地で日本人の健康のために製法や原料にこだわり、品質に妥協しないハム・ソーセージを作り続けている。1983年(株)函館カール・レイモンが設立され、2022年に日本ハム北海道ファクトリー(株)と統合し、技術承継を行った後も、“胃袋の宣教師”と呼ばれたレイモン氏の信念を受け継ぎ、函館の地で伝統の味を守り続けている。函館カール・レイモンに勤続 35 年。22 年間製造に携わったのち日本ハム北海道ファクトリー(株)旭川工場へ2年間出向し、函館カール・レイモン工場の工場長になる。塚本 政伸

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る