長い冬の眠りから覚めた野菜や山菜が出回る春。私たちも冬の厚手のコートを脱ぎ、活動的になる季節です。 ただ、この季節は寒暖差が激しく、花も一斉に咲くため、花粉も飛び、体調をくずしやすい時期でもあります。 春先に出回る野菜には苦みやアクの強いものが多く見られます。たけのこにしても、つくしやアスパラガスにしても、冬の間に土の中でためたエネルギーで地上にグン!と出てくるのですから、それなりの「パワー」があり、強い味を感じるのです。 俳優やアーティストで、個性のある方を「アクが強い」と表現するのと同じかもしれません。 そして、東洋医学の考えではこの苦みが体内の余分な老廃物を排出し、「冬モード」だった体を「春モード」にするのだと考えられてきました。山菜は、ポリフェノールやミネラルを含むものが多く、細胞を活性化させてくれます。 子どもにきらいな食べ物のアンケートをとると、苦手なものとして、ゴーヤやピーマンなど、苦みを感じる素材が必ず挙げられます。若いうちは、苦い食材の必要性を感じないのかもしれません。ところが、年を重ねるうちに苦いものをおいしいと感じるようになったと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。コーヒーしかり、ビターチョコレートしかり、そしてビールも!? 子どもの食べ物の嗜好は乳児期から幼児期にかけての食経験によって変化しながら、ほぼ5歳までに決まると言われています。お子様にあまり好きでないと言われても、春になったら、少しでも春野菜を味わってもらい、味覚の幅を広げることは、将来の偏食をなくす一助となるかもしれません。 とは言っても、えぐみやアクは、適度に上手にとり除きましょう。たけのこはポピュラーな春の味覚の一つです。 時間がたつとアクが強くなり、かたくもなるので、なるべく早くゆでましょう。皮つきのまま、穂先を斜めに切り落とし、皮の部分に縦に切り込みをいれます。米ぬかをといた水で、一時間ほどゆでます。根元に竹串がすっと通るようになるまでゆで、ゆで汁につけたまま冷まします。米ぬかに含まれるカルシウムがたけのこのえぐみのもとのシュウ酸を結合し、えぐみを抑え、皮が、たけのこの旨味が抜けるのを防いでくれます。唐辛子を入れて、さらにえぐみをマスキングする方法もあります。 わらびやゼンマイのアク抜きには木炭を使います。バットに並べ木炭をふり、熱湯をかけ、ふたと重しをして8時間ほどおきます。これはどちらも昔ながらの方法で、今では食用の重曹を使ってより簡便にアク抜きができますが、先人たちが手に入るもので、いろいろと工夫しているところに頭が下がります。せりやうど、たらの芽などは、酢水につけたり下ゆでするだけでもよいでしょう。春ならではの食材で体の調子も整えていきましょう。春の恵みを食卓にVol.3310
元のページ ../index.html#10