2015年度 ステークホルダー・ダイアログ

テーマ 「CSR推進における重要課題について」

日時:2015年12月14日(月)

場所:日本ハム(株)東京支社

ニッポンハムグループが重点的に取り組むべきCSR課題について、社外専門家の皆様の視点からご意見をうかがい、重要課題案を検証するために、ステークホルダー・ダイアログを実施しました。
今回のダイアログでは、ニッポンハムグループの重要課題を特定する上で重視すべき点や、ニッポンハムグループに対する要請や今後への期待など、幅広いご意見をいただきました。

CSR重要課題

1.「安全・安心な食品づくり」について

大石●企業にとっての安全と、消費者にとっての安心は、実はかなり差があると思います。企業が安全ですよ、と発信したとしても、消費者が本当に安心だと思えるかは別のことです。消費者が何を知りたいのか、どうすれば安心してもらえるのか常にコミュニケーションをとることが求められます。企業にとっての大きな課題だと思います。

藤沢●例えば工場などの衛生管理は素晴らしい取り組みをなさっていますよね。それを一般の方はあまりご存じないのではないでしょうか。こうした取り組みをきちんと発信することで、安全が安心となり、さらには信頼につながっていくのではないでしょうか。

末澤●安全・安心は私たちに食品メーカーとっては当たり前の取り組みです。ただ、どこまで取り組んでいるのかをこれまでしっかりとは発信できていなかったかもしれません。消費者へきちんと届くように発信の仕方を変えていく時期にきているかもしれないですね。ただ、その伝え方についてはしっかりと議論をしなくてはならないと考えています。

藤沢●現在はインターネットなどもあり、情報の伝達スピードは速く、情報を隠せない時代であることを前提にしないといけないと思います。自分たちの哲学を示したうえで、より多くの情報を公開していくことは、日本企業にとって、とても大事なコミュニケーションだと思います。

大石●消費者によってそれぞれ知りたい内容は異なります。すべての方が必要というわけではないですが、例えば食物アレルギーは非常に重要な情報です。ホームページなども活用して、必要な方が知りたい情報を知ることができる体制づくりが必要です。

藤井●たしかに、情報の出し方は悩ましいところもあるかもしれませんが、ステークホルダーに合わせて、訴えるものを考えなければいけないですよね。誰に何を伝えるのかを考えてコミュニケーションすることで、企業価値創造につなげていってほしいですね。

畑●コミュニケーションの方法はそれぞれ工夫が必要だと思いますが、ニッポンハムグループの社会に対する貢献がどういうところにあるかという決意を、しっかり社会の皆様にお伝えしていきたいと考えます。

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【大石 美奈子 氏】

2.「食とスポーツで心と体の元気を応援」について

藤沢●子どもたちに、どんな知識を伝えていくのかも重要ですよね。私は小学校で授業をすることもあるんですが、魚の切り身しか見たことがない子どもが本当にいたり、食物について知らない子どもがとても多くて驚きます。こうした子どもたちに時間をかけて、お店に並ぶ前に食物がどんな形をしているのか教えていかなくてはならないと感じています。

大石●どこまで情報を公開するのかにもよりますが、生き物を扱う仕事の大変さを伝える必要があると思います。廃棄物による環境負荷があることなど、お肉ができていく過程を消費者は知らないのです。これらについては、事業を行っている企業の責任として、是非、皆様から伝えていってほしいですね。

藤井●たとえば、実際に体験できるような機会を会社から提供して、興味をもってもらうことで、将来のニッポンハムグループの従業員や食にかかわる仕事に従事する人を増やすことにつながるのではないでしょうか。

末澤●ニッポンハムグループらしさと言う点では、食育の取り組みがあります。従業員が小学校や中学校などに出向いて行う出前授業や料理教室のほか、食とスポーツをテーマにした野球やサッカー教室を実施しています。また、北海道日本ハムファイターズでは、選手が北海道内の全市町村で地域の皆様と交流を図りながら、まちづくり・まちおこしのお手伝いを行なっています。これらのさまざまな活動を通して、次世代の子どもたちや社会に対して食の大切さや運動することの意味などをお伝えできればと考えています。

藤沢●いま先進国ではスポーツをしない子どもが増えているという社会問題があります。これは健康な体を作る成長段階において、適度な運動と食事のバランスを保つために改善すべき点です。そういう意味では、プロスポーツチームの経営と食品を扱う事業を行う日本ハムさんの活動には期待しています。
そして、高齢者の方たちも運動が必要になるので、ニッポンハムグループにはそれに対応したアプローチを推進してほしいです。お肉を食べている人ほど健康だと言いますし、何歳になってもお肉が食べられる方が増えていくようになり、みんなが健康な生活が送れる社会になるとうれしいですね。

3.「従業員が生き生きと活躍できる職場」について

藤沢●私は、従業員が生き生きと働けるというのは一番重要だと考えています。ニッポンハムグループの従業員の方々は、一人ひとり自信と誇りを持って働いていらっしゃると思いますが、その姿を従業員が自ら発信できたら、本当に、企業理念を実現されていることになるのだと思います。

畑●当社の企業理念は「食べる喜び」と「従業員の真の幸せ」の2つで構成されていて、創業の時代から非常に従業員を大切に考えています。従業員自らが生き甲斐を「求める」場という表現にあるように、この2つの理念が、自分の仕事に関係しているのだということを、自分自身の言葉で語れないといけないのだと思います。

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【藤井 良広 氏】

藤井●食の世界は、どんな人にも必要なことで、飢餓という社会課題もあり、それをサポートしているわけですから、こんなに素晴らしい仕事はないですよね。それを従業員の方にもっと意識してもらい、やりがいを持って働けるようにしていく必要があると思います。会社として、従業員の方に課題を与えてチャレンジしていってもらえばよいのではないでしょうか。

藤沢●従業員がチャレンジ精神を発揮するためには、チャレンジを評価する、失敗を評価する、チャレンジさせた管理職を評価する、といった人事評価制度も必要になってくるのだと思います。チャレンジ軸の評価を、人事の評価の中にどう入れるかというのが工夫のしどころだと思いますね。例えば急に全体で変えるのではなく、一部の部署で自分の提案に対して責任をとるという経験の場をつくるとチャレンジする喜びも分かってくるので、そういう方法も良いのではないかなと思います。

末澤●私は海外にも積極的に行ってほしいと思っています。海外での日本の安全・安心、品質、味、などの評価は非常に高いです。食品企業にとって、最高のヒントがそこにあると思っています。それはやはり従業員に経験してほしい。そこは、彼らにどう伝えていくかだと思いますし、会社が土台をつくっていかなくてはならないと感じています。

藤井●海外で成果をあげた人で、色々な経験に基づく能力を評価されているのが見えてくれば、若い人はさらにチャレンジ精神を持った方も出てくると思います。社会の課題解決や社会貢献などに興味のある若者は非常に多いので、それをビジネスにつなげていけると良いのではないでしょうか。

大石●先ほど、野球選手が地方をまわると、凄く成長して帰ってくるというお話がありましたが、従業員の方も同じだと思います。直接学校をまわって、自分で作ったプログラムで食の教育を行えば、自分たちが今やるべきことに気が付くと思います。国内はもちろん海外でも、従業員の方がそれぞれ先生として学校をまわれば企業が活性化すると思います。

4.「将来世代の食の確保」について

藤井●世界で人口が増え、それぞれが豊かになっていくなかで、需要が拡大しています。国内の供給先を確保するというのは、当然、国の政策にかかわります。そこに企業が貢献するということも非常に大事だと思います。

末澤●食の確保というのは、将来的に一番大事なことと認識しています。日本国内はもちろん、海外からいかに安全・安心を担保できる商品を買えるかどうか。そのために、海外との信頼関係をいかに築くかが、我々の大きな仕事になっていくと思います。

藤沢●既存の畜産農家さんや酪農農家さんを途絶えさせてはいけません。畜産業の振興を考えたとき、企業の果たす役割は非常に大きいと感じています。

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【藤沢 久美 氏】

末澤●今後は、乳業会社と当社のような企業が一緒に経営をしていくような世界になっていくのではないかと思います。世界ではそうした事例もあります。効率を考えても、事業を超えたコラボレーションが起きるのではないでしょうか。

大石●廃業していく酪農家が多いと聞いています。連携してバックアップしていただけると、日本の酪農自体が強くなれるでしょうし、とても重要なことだと思います。

5.「地球環境の保全」について

藤井●サプライチェーン全体を見ると、家畜からはメタンガスが排出されますよね。CO2の排出量は大きいはずですが、それをどれだけ削減しているか。工場から排出されるCO2だけでなく、原材料についても、どの程度排出していて、それを削減するために進めている対策の内容を開示することが好ましいと思います。
廃棄物の問題では、やはり再エネルギー化できるかということです。バイオマスとして利用することも検討できるかと思いますが、臭いの問題もありますので研究している人たちと一緒になって取り組まなければならないと思います。廃棄物のない牛はいませんから、むしろ、副産物として有効利用を目指していくような、モデル的な牧場をつくることも検討してみてはいかがでしょうか。

末澤●現在、当社で飼育している牛、豚、鶏の排せつ物をすべて肥料化し、飼料の生産に活用するというのは現段階では難しいのですが、たとえば農業法人的なものを運営してそこで使用するというサイクルを構築すれば、ひとつの循環型ということになります。「生命の恵み」を大切にしている企業として、廃棄物や副産物も有効活用することは永遠の課題となりますし、継続して検討させていただきます。

大石●御社では、カーボンフットプリントの環境ラベルを商品に付け続けていらっしゃって素晴らしいことだと思っていますが、消費者には、数字だけではCO2の排出量を減らした意味が伝わりづらいようです。例えば、原材料の調達、輸送、生産の段階などで、それぞれ、どうやって改善したかを開示すると、企業努力というのが非常によく伝わると思います。改善の内容を、物語として消費者に伝えることができると思いますので、是非その先を目指していただきたいと思っています。

ダイアログを終えて

藤井●「企業が何かできるのでは」という発想と取り組みが、ブランド力アップやマーケティングにつながります。企業価値創造を実現する今後の活動を期待しています。

藤沢●企業の役割はCSRという枠を超えて非常に大きくなっています。ニッポンハムグループが新しい社会をつくるという気持ちで、トップを走っていただければと思います。

大石●企業への信頼があってこそ、企業が出す情報も信じてもらえます。ぜひ、これからも引き続き消費者とのコミュニケーションを重視して、しっかり取り組んでいってほしいと思います。

畑●本日はどうもありがとうございました。情報発信の仕方など勉強させていただきました。我々の企業理念の中で「時代を画する文化を創造し社会に貢献する」とうたっておりますが、皆様のお話をうかがって食文化をつくっていくことが、ニッポンハムグループの最大の使命ではないかと実感しました。

末澤●本日は本当にありがとうございました。しっかりと自分たちのスタンスを持って、本当に安全・安心な食品をお届けすることを徹底していきますので、信頼していただければと思います。本日の皆様のご意見をいただいて、CSRの重要課題の解決に向けて取り組む所存です。今後とも、よろしくお願いいたします。

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