たんぱく質を、もっと自由に。

2030年に向けたVision2030「たんぱく質を、もっと自由に。」を掲げ、事業価値向上と社会価値向上の両方を見据えた様々な取り組みを続けているニッポンハムグループ。日本資本主義の父として近年脚光を浴びる渋沢栄一の玄孫として知られる渋澤健氏。持続可能な社会の実現に向けて対談を行いました。

対談動画

前編

後編

生きる力となるたんぱく質の可能性を、もっと自由に広げたい。

渋澤氏:「Vision2030たんぱく質を、もっと自由に。」には、どのような思いが込められているのでしょうか。

畑社長:私たちは、企業理念に「食べる喜び」を掲げています。食べる喜びは、食を通してもたらされる「おいしさの感動」と「健康の喜び」を表しており、人々の幸せの原点だと考えています。これまでの事業価値向上の取組みにプラスして、サステナビリティ戦略による社会価値向上の取組を推進していく。そして、生きる力となるたんぱく質の可能性を広げたい。環境・社会に配慮しながらたんぱく質の安定供給を行い、人々が食をもっと自由に楽しめる多様な食生活を創出していきたい。そんな思いが込められています。

【渋澤 健氏】

渋澤氏:2030年には地球の人口は約85億になると予測され、たんぱく質が足りなくなる懸念があります。そうした中、「もっと自由に」としたのは、どんな意図があるのでしょうか。

畑社長:たんぱく質は私たちの体の全体の5分の1を占めており、体の重要な構成要素をつかさどっています。生きる力であり、豊かな食生活に欠かせない大切な物質であるたんぱく質を環境社会に配慮しつつ、安定的に供給したい。さらには、高齢者やアレルギー疾患など食に課題をお持ちの方にも楽しんでいただけるよう食の選択肢を増やしていきたい。
時代の要請に合わせた「食べる喜び」を追求し、皆様が食をもっと自由に楽しめる多様な食生活を支え続けたいと考えています。

渋澤氏:食品業界のリーディングカンパニーがそうした姿勢を打ち出すのは素晴らしいことですね。先ほどサステナビリティというキーワードが出ましたが、経済成長だけを目指せばよかった20世紀と違い、現代は地球のことも考える必要がある。その点についてどう思われますか。

畑社長:まさに、渋澤様の高祖父である渋沢栄一さんの「道徳経済合一」の理念だと思います。常に社会貢献や多くの人々の幸せを追求しながら、同時に利益を上げていく。サステナビリティ経営を推進することで、私たちの存在価値も高まると考えています。

渋澤氏:渋沢栄一は、社会課題の解決と事業成長を同時に追求することを『論語と算盤』と表現しました。道徳と経済は両立しなければならず正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができないと言っています。つまり、現在のサステナビリティという考え方を主張していたのです。

多様化するニーズに合わせて、もっと、食の自由を広げていきたい。

畑社長:ニッポンハムグループは1942年の創業以来、ハム・ソーセージに始まり、13の事業に領域を広げてきました。更なる発展を目指し、当社の強みである食肉事業のバーティカル・インテグレーション・システムの持続可能性を高めていきます。一つの例としてスマート養豚の研究を進めています。AIを活用し効率性・生産性の向上につなげ、業界の発展につなげていきます。
また、Vision2030には、社員一人ひとりにビジョンを追求していくなか、どのようなことに挑戦するのか、また自分自身がどのようになりたいのか、という思いも込めています。さらに成長するために、もっと自由に挑戦しよう!そんなメッセージも含んでいるのです。

渋澤氏:「たんぱく質を、もっと自由に。」というビジョンは、社員へのメッセージでもあるのですね。

畑社長:そうです。私たちが事業領域を大きく広げることが出来たのもチャレンジ精神の成果です。同時にお客様の声に真摯に耳を傾けることを重要視しています。多様化するお客様のニーズをもっときめ細かく把握するため、3年前にライフスタイル研究室を立ち上げました。ここでは、生活者全体を調査・分析する活動を行っており、商品開発を含めた事業活動に反映しています。

だれ一人取り残さない。それは、SDGs共通のゴール。

【畑 佳秀 氏】

渋澤氏:大いに共感しました。「Vision2030 たんぱく質を、もっと自由に。」の実現に向けて、具体的な戦略をお聞かせください。

畑社長:一つ目の取り組みとして、たんぱく質摂取の選択肢拡大です。大豆や野菜、穀類など植物性たんぱく質及び培養肉などを用いた食とサービスを提供していきます。二つ目は食物アレルギーなど食についての課題へのお役立ちとして、業界に先駆けてその研究に着手しました。食物アレルギーをお持ちの方が摂取出来る「みんなの食卓シリーズ」の供給をはじめ、まだ発症していない特にお子様に対する予防食の開発を進めており、食物アレルギーをお持ちの方を取り残さないという姿勢を貫いています。三つ目は、健康寿命の延伸のための取り組みです。鶏のむね肉に多く含まれているイミダゾールジペプチドと運動パフォーマンスの関係を長年研究してきました。この研究からイミダゾールジペプチドには認知症予防に効果があることを突き止めました。既に特許を取得しており、これらの食とサービスで人々のQOL向上に貢献していきます。

渋澤氏:ビジョンを理想とするだけでなく、しっかりと実現するための施策を見据えていらっしゃるわけですね。これからの発展が非常に楽しみです。

畑社長:ありがとうございます。事業戦略とサステナビリティ戦略を一体化させ、100年後も愛され、選ばれる企業を目指してまいります。

プロフィール

シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役
コモンズ投信株式会社取締役会長

渋澤 健

生年月日:1961年3月18日 現在60歳

出身地:神奈川県逗子市

経歴:複数の外資系金融機関およびヘッジファンドでマーケット業務に携わり、2001年にシブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業し代表取締役に就任。2007年にコモンズ株式会社(現コモンズ投信株式会社)を創業、2008年に会長に就任。経済同友会幹事およびアフリカ開発支援戦略PT副委員長、UNDP(国連開発計画)SDG Impact Steering Group委員、東京大学総長室アドバイザー、成蹊大学客員教授、等。
著書に「渋沢栄一100の訓言」、「SDGs投資」、「渋沢栄一の折れない心をつくる33の教え」、「超約版 論語と算盤」、他