ROTARY 2021年夏号
13/24

NIPPONHAM GROUP事業所探訪in URUGUAY13ウルグアイ産ビーフの品種は「アンガス」と「ヘレフォード」が主流。ガウーチョが牛を追う。Breeders & Packers Uruguay S.A.CEO 三村康治「ウルグアイ産ビーフの知名度は日本ではまだまだですが、日本人スタッフによる細やかな管理体制を強みに、良質な牛肉の供給基地としての信頼をさらに深められるよう取り組んでいきます」 南米といえば熱帯地域にあるジャングルを思い浮かべるかもしれないが、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチンと広がるパンパ(大草原)も有名だ。とくにウルグアイのパンパは起伏がほとんどないことで知られている。どちらを見ても平坦な草原が続く光景は、圧倒されるばかりだという。「海岸線の近くを除き、見渡す限り草原が広がっています。その多くが牧草地で、ウルグアイ式カウボーイのガウーチョたちが牛を追っています」(三村CEO)安全性、サステナビリティを重視し国をあげて取り組む ウルグアイの大平原が豊かな牧場へと変貌したのは、15世紀にスペインの植民地となりヨーロッパから畜産の技術がもたらされてからのこと。19世紀末には食肉加工業が盛んになり、ウルグアイ産のコンビーフが北米やヨーロッパで人気を集めた。食肉加工の街として世界の台所と呼ばれることもあった南西部にあるフライ・ベントス市の加工場跡地を中心とする産業遺跡は、2015年に世界文化遺産に登録されている。 世界に歴史と伝統を認められているウルグアイの畜産業は、その伝統ゆえに効率重視の世界とは折り合いが悪くなってしまった時代もあった。だが現在は、歴史があるからこそ可能な、21世紀に求められるあり方の具体化に国をあげて取り組んでいる。「製品の生産から加工、物流の過程すべてを遡って追跡できるトレーサビリティを、国が義務として導入しています。日本のどのスーパーでウルグアイ産ビーフを買っても、その牛肉がどこの牧場で誰に育てられ、何カ月でBPUに送られ、と畜され、どう運ばれてきたのかすべて追えるのです。また、治療目的以外での抗生物質や成長促進剤の投与、添加物入りの飼料や畜産由来のエサなども禁止されています」(三村CEO) 近年、畜産業の安全性やサステナビリティ(持続可能性)、倫理上の観点から、家畜にストレスを与えずに飼育するアニマルウェルフェア(動物福祉・家畜福祉)という考え方が推奨されつつある。その思想を原則とするならば、自然の草を食べるよう草原に放たれる伝統的な飼育方法の延長で育つウルグアイの牛たちは、もっとも望ましい育てられ方をされていると言えるのかもしれない。

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る