ROTARY 2021年夏号
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18子どもたちにとって野球やサッカーの選手たちは憧れの存在。パフォーマンスの向上のために、どんな食事をとっているのでしょう。 例えば野球の選手の場合、ポジションやプレースタイルによって多少の違いはありますが、速い球を投げる、力強く球を打つには筋肉量を増やし、体を大きくするほうが有利です。そのためにはトレーニングだけでなく、食事の役割も重要です。 近年はスポーツ栄養学が認知されてきたこともあり、入団時から食事量や栄養バランスを意識して食べる選手が増えています。意外かもしれませんが、選手が苦労するのは、必要量を満たした食事を毎日食べ続けることなのです。 とくに苦労するのは1日3食の中で朝食です。朝は食欲がない、眠いなどの理由で質、量の内容が薄くなりがちだからです。朝食を欠食すると、1日に必要なエネルギー、栄養素が満たせません。昼と夜にたっぷり食べてカバーすればよいと思われがちですが、1回の食事量が増えると胃腸に負担がかかり、パフォーマンスにも影響するおそれがあります。また、「1日のたんぱく質の摂取量が同じでも、朝食でのたんぱく質の摂取量が少ないことは筋肉量を増やすことに不利」といった研究の報告もあり、朝食は、体づくりにとっても大切な食事です。 朝食は、エネルギー、栄養素ともに1日の必要量が多い成長期の子どもにとっても重要です。私たちは時に小学生や保護者を対象にした食育活動も行っています。活動で伝えるのは、1日3食食べること。「主食(ごはんやパン)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品のおかず)、副菜(野菜、海藻、芋、きのこのおかず)」をそろえることです。現地で聞いてみると、朝食をとらない子どもは少数です。しかし、パンと飲み物だけなど、たんぱく質や副菜が不足しているケースがあります。たんぱく質を多く含む食品には、パンなどの炭水化物のエネルギー代謝を促すビタミンB群が多く含まれるため、主菜でたんぱく質を食べることは、日中の活動を支えることにもつながります。私たちを取り巻く健康についての課題を、各界の専門家に「たんぱく質」の役割を交えながらお話いただくシリーズ。二回目は、活発に体を動かすことの多い小中学生の食事がテーマです。北海道日本ハムファイターズ、セレッソ大阪アカデミーの選手育成の一環として、栄養サポートを行い、また学童に向けての食育活動にも取り組む日本ハム㈱中央研究所の管理栄養士に聞きました。構成・文/こいずみきなこ  イラストレーション/丹下京子成長期の子どもの食事02

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