ROTARY 2021年夏号
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19「北海道日本ハムファイターズ」(野球)、「セレッソ大阪アカデミー」(サッカー)のチーム・クラブの選手育成の一環として、科学的知見にもとづくスポーツ栄養サポートを、現在4名の管理栄養士が行っている。日本ハム株式会社 中央研究所 管理栄養士八巻法子 櫻井郁美 また成長期の子どもにとって睡眠は、体を休め、成長に必要なさまざまなホルモンを分泌する大事な時間です。朝、たんぱく質をしっかりとっておくと、夜に眠りを誘う働きのあるメラトニンという物質を体の中で増やすことに役立ちます。朝食が就寝に影響を与えるとは驚きです。具体的にどのようにたんぱく質をとったらいいのでしょう? 実はプロ選手でも普段の食事は身近な食品を使ったものです。成長期の子どもの場合、食事を用意する保護者の負担にならないように、がんばり過ぎず、続けることを目指したらよいと思います。手軽にたんぱく質をとるには、卵、納豆、ハム、ソーセージ、サラダチキン、チーズ、ヨーグルト、牛乳、豆腐などの買い置きがおすすめです。具がたくさん入れられる「おにぎらず」やパンにはさんだり、のせたりするとたんぱく質も野菜もしっかり食べやすいです。例えばチーズピザは、レタスやミニトマトなど洗うだけの野菜をのせて、半分に折るとホットサンドのようで食べやすく、野菜もとることができます。前日の夜に、夕食の豚汁や、たんぱく質を多く含む食品を入れた具だくさんの汁物を多めに作っておけば、翌朝、主食とあわせることでバランスが整います。冷凍食品も便利です。 朝、食欲がない子は肉や魚といった固形物よりも、ヨーグルトや牛乳などののど越しがよいものがとりやすいようです。とはいえ、個人差がありますから、まずは子どもに「なに食べたい?」と聞くのがいちばんです。最初は好きな食べ物で朝食を食べる習慣をつけることから始めましょう。毎朝なにか食べているうちに、だんだん食欲が増してきます。 スポーツする子どもは、さらにたんぱく質を多くとる必要がありますか? たんぱく質は人間の臓器や血管、血液、筋肉、皮膚などの重要な構成成分であり、生命活動に不可欠な、さまざまなホルモンの材料となります。運動量が増えれば必要量も増えますし、不足すると成長に影響が出る場合があります。 運動する子どもの場合は定期的に身長、体重の計測をして成長記録をつけ、変動をチェックして、食事量、栄養素量の過不足を判断するのがよいでしょう。スポーツしているからといって、成長の具合を確かめずにむやみに食事量を増やすのはやめましょう。 最近はプロ選手の体脂肪率などが報道されたりして、保護者や子どもたちも憧れの選手の体脂肪率に近づきたいと思うようです。しかし、中学生くらいまでは体脂肪を体作りのための指標にするのはすすめません。成長期には性別・年齢に見合った体脂肪が必要です。 身長を伸ばすために牛乳をたくさん飲んでいるという話もよく聞きますが、効果は定かではありません。成長記録をつけていると、伸び盛りの時期が見えてきます。この時期に必要なエネルギー補給と適切な運動・十分な休息を意識することが大事です。 毎日、規則正しく3食食べることに加え、運動後に炭水化物とたんぱく質https://www.nipponham.co.jp/kubarin/を一緒にとるようにすると、運動で傷ついた筋肉を修復し、疲労回復に役立ちます。運動後に固形物が食べにくい場合は、無理をせずヨーグルトドリンクやアミノ酸入りの飲み物などを活用しましょう。巣ごもり生活が続き、子どもの運動不足が心配という声も聞かれます…。 体を動かさないとストレスがたまり、イライラの原因にもなります。好きな音楽で思いきりダンスをしたり、簡単なストレッチをするなど、楽しみながら体を動かすことを心がけてください。外の空気を吸うのはストレス解消にもなります。密にならない場所を選んで散歩をしたり、公園で遊ぶ機会も設けるようにしましょう。当社が考えた〝くばりん体操〞の動画なども、参考になさってください。日本ハム㈱中央研究所の管理栄養士が手がける栄養レターの一例。「セレッソ大阪アカデミー」の所属選手・保護者を対象に配信している。

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