ROTARY 2021年秋号
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15む人たちのおおらかさに助けられることも多いと道浦社長は言う。「北海道の人たちはよく『なんもなんも』といいます。どうもどうも、くらいの感覚で、本当によく聞かれる言葉です。小さいことを気にするなという意味ですが、この言葉に何度も救われました」 うまくいかないことがあっても必要以上に引きずらない、前を向く姿勢は仕事にも生きているという。「前向きな姿勢でチャレンジして失敗したときは、問い詰めるようなことはせず、次に向けてチャレンジする姿勢や環境を大事にしたいと考えます」 そのチャレンジ精神を大切にする姿勢は、次世代の育成にも生きている。ニッポンハムグループでは若手の商品開発担当者がチームでエントリーする新商品の開発コンテストがあり、同社の商品開発課も参加。今年はニッポンハムグループVision2030「たんぱく質を、もっと自由に。」のテーマに則り、素材としての昆虫に着目して出品したという。「私たちの世代からはこのような発想は出てきませんので驚きましたが、若手は既成概念から自由です。しかも環境負荷等を算出した結果、エネルギー負荷が小さい昆虫に行きついた。未来のたんぱく質を考えたときに、これは無視できない考え方だと唸りました」 もちろん、現実の新商品となるかどうかはまったくの未定だが、少し前まで、肉ではなく大豆を原料としたハムやソーセージを既存のハム・ソーセージメーカーが製造するとは誰も想像すらしていなかった。そのような変化が世界で起きていることを考えると、「挑戦」を尊重することは大きな意味を持ちそうだ。ボールパークの観客を沸かせる食の提供を目指して ニッポンハムグループと北海道の関わりというと、真っ先にプロ野球の北海道日本ハムファイターズを思い浮かべる人も多いだろう。2004年に札幌ドームへ本拠地を移転、今ではすっかり北海道のチームとして親しまれており、2023年には新球場「北海道ボールパーク」へ移転することが決まっている。ボールパーク開業に合わせて、2021年4月から、ニッポンハムグループも「北海道プロジェクト」を始動した。本業とのシナジーを創出するとともに、グループをあげて地域の発展に貢献するのが目的だ。日本ハム北海道ファクトリーでも、取り組みを始めている。「ボールパークでは、現地でしか食べられない、北海道産の原材料を使った付加価値のある商品を提供したいと構想を練っています。やはり片手で食べられて食べ応えもあり、おいしさの点でも魅力的なものがいいかと。60年間、旭川の地で先輩たちが引き継いできた伝統をつないでいきながら、新しいことにもどんどんチャレンジしていきたいと考えます」(道浦社長) 北海道の人たちにとっては、ふるさとの思い出のひとコマとして刻まれ、この地を訪れた人々には、北海道を象徴する存在として記憶されることを夢見て、日本ハム北海道ファクトリーのあらたな挑戦は始まったばかりだ。日本ハム北海道ファクトリー株式会社創業:1961年(昭和36年)所在地: 北海道旭川市工業団地1条3丁目    1番37号従業員数:約200名(2021年7月時点)事業内容:ハム・ソーセージの製造年間生産量:5,000tNIPPONHAM GROUP事業所探訪工場エントランスでは、工場のジオラマに仕込まれた動画映像で、臨場感たっぷりに来訪者を迎えてくれる。ハム・ソーセージ、ベーコンの歴史や製造工程の展示が楽しく学べる見学コース。途中、ガラス越しに製造ラインを見下ろせるゾーンがある。見学者の記念になるようにと、はじけるシャウエッセンとボイル鍋をイメージした撮影スポットも用意。

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