ROTARY 2021年秋号
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19防衛医科大学医学部修了。代謝内分泌内科が専門。生活習慣病やガン撲滅のためのアンチエイジング医学の第一人者。体の中からのアンチエイジングを提唱し、自らも実践。アンチエイジング・ライフスタイル・プロデューサーとしても知られる。銀座よしえクリニック都立大院院長青木 晃 (あおき・あきら) でも体内年齢が5~10歳ほど若い傾向がある方は、食事のバランスがよく、運動は有酸素運動と軽い筋トレを合わせて40~50分のメニューを、週3~4日されています。 運動をすることで血流やリンパの流れがよくなると、血中の栄養が体のすみずみにまで届きやすくなりますし、いわゆる老廃物の代謝が促進されます。さらに睡眠時に成長ホルモンの分泌を促すので、肌の新陳代謝がよくなる効果もあります。 当院にみえるのは40~65歳の方が中心ですが、生活、運動、睡眠をきちんと見直すことで、体調や体内年齢が改善されています。 ヘルシーな食事=野菜中心、小食というイメージが根強いと思います。アンチエイジングに適した食事について詳しく教えてください。 たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂ることが大切です。なかでもたんぱく質は髪の毛、爪、皮膚、骨、臓器、血液などの細胞やホルモン、酵素・補酵素などの材料となり、脂質は血液の質に影響を及ぼします。どちらも良質なものを摂ることが重要です。 良質なたんぱく質とは、20種類のアミノ酸がバランスよく含まれているもののことですが、食べ物に含まれるアミノ酸バランスはさまざまで、完ぺきな食品はありません。ではどうすればよいかというと肉、魚、卵、乳製品といった動物性たんぱく質と、豆などの植物性たんぱく質をまんべんなく食べればよいのです。1日のたんぱく質の必要量は体重1㎏あたり0・8~1・0gとされていますから、体重50㎏なら40~50gが必要です。最近、たんぱく質はたくさん摂っていいという風潮もありますが、体重1㎏あたり2・0g以上摂取すると、腎臓や肝臓に負担をかけてしまいます。 脂質は血液サラサラ効果が見込める魚ぎょ油ゆ(DHAやEPA)、アマニ油、シソ油、エゴマ油といったオメガ3系不飽和脂肪酸がおすすめです。 一方、サラダ油、ゴマ油、菜種油といったオメガ6系不飽和脂肪酸を含む油やトランス脂肪酸は、体内の炎症を促したり動脈硬化の要因となります。ちなみに男性のアンチエイジングの相談で多いED(勃起障害)は、陰茎海綿体の微小な動脈硬化といわれています。なるべく早い時期から太り過ぎないようにし、動脈硬化にならない食事を心がけることが予防につながります。 外食や市販の惣菜は便利でおいしいものが揃っていますが、良質なたんぱく質と脂質のためには、それらに頼るばかりでなく、新鮮な食品を自分で料理し、出来立てを食べることが大切です。食事で栄養をとることが大事ということですが、サプリメントやプロテインではだめでしょうか? 私たちは目の前に料理があると視覚、嗅覚が刺激されて、自然に唾液が分泌されます。ひと口食べると「口の中で味覚を味わう」⇩「噛む」⇩「飲み込む」⇩「胃が動いて消化する」「腸が動いて吸収する」といった一連の働きを行います。これらはすべて自律神経の働きによるものです。 しかし、サプリメントやプロテインを飲んでも、こうした自律神経の出番はありません。自律神経を使わない生活を続けていると、ホルモン分泌の乱れや腸内環境の悪化の原因となり、エイジングを進めることがわかっています。サプリメントやプロテインは食事で補えなかった場合の補助的なものであり、頼り過ぎるのは禁物です。 長年、アンチエイジング医療を行ってきてつくづく感じるのは、バランスよく食べることの大切さです。体によいといわれる食品だからといってそれだけを食べていては、全体のバランスが崩れて逆効果です。先に新鮮な食材を料理することをすすめましたが、だからといって加工品が悪いわけではありません。食文化を尊び、食べる楽しみを大事にすることは人生を謳歌し、心を若く保つことにつながります。年齢別のたんぱく質摂取の効果青木晃氏作成30代前半美肌・美髪の維持、健全な妊娠・出産後半疲労軽減、肌荒れ予防40代前半白髪予防、しわ予防、美白後半更年期症状が出にくくなる、閉経が遅くなる、脱毛予防50代前半骨粗しょう症予防、肥満予防

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