ROTARY 2021年秋号
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3本は世界中に感謝され、感銘を与えたオリンピックになりましたね」と続きます。「おごらず、親切な国民性が成した事と思います」とほめてもらい、くすぐったい感じです。 本当に、多くの外国の方が彼女と同様に、喜んでくださっていればうれしいことです。オリンピックはどうやら無事に終えることができて、次はパラリンピック。身体の「不自由」を「自由」に変えるべく、動き、走り、跳び、泳ぎ、より力強く、より高みを目指しての努力は、すばらしいものです。 不自由さをものともせず、努力し練習を重ねて鍛錬を積み、その結果が記録として残り、感動を誘います。日々の積み重ねや地道な努力が、新しい道を開くのですね。競い合うその姿を見せていただき、実感しました。 世界は依然として緊急事態。感心して応援しているだけでは、駄目なのです。もっともっと私たちはまわりを見て考えなくては……と思っていたところ、目に飛び込んできたのが、ある新聞記事です。「日本ハムのギフトサンプル、プラ製に変更、食品廃棄削減」とあります。 今回のプラ製への切り替えを機に、全面的にサンプルやハムギフトの化粧箱の簡素化を進めるそうです。今まで私たち消費者側が、売り場でサンプルに実物のリアルさを求めていたことに気づかされます。そしてこんな機運がもっと高まれば、フランチスカからの手紙でも、まだまだ感心され,共感を得られそう。 そうです。オリンピックを、パラリンピックを、苦労を重ねて実現してきたのと同様に、本当に大切なことは〝急に〟でなくてもよいのです。しかし、確実に努力をし続けなければなりません。明るい未来のためには、いろいろな側面からの小さな努力の積み重ねこそ、一番大切なのではないでしょうか。江上栄子(えがみ・えいこ)江上料理学院院長。料理研究家。フードコンサルタント。実家は佐賀県有田焼の窯元「香蘭社」。青山学院大学英文科卒業。パリのル・コルドン・ブルー料理学校の最終課程修了証書を取得後、世界60カ国余りを訪ね、家庭料理の研鑽を重ねる。フランスチーズ鑑評騎士の会東京支部理事長を務めるなど諸外国との関わりも深く、2002年フランスの農事功労章シュバリエを受章。2017年同オフィシエを受章。2015年1月、米農務省の「米国農産物貿易の殿堂入り」を果たし、ケネディ大使の表彰を受けた。外食産業や食品会社の顧問としてフードビジネス全体に携わる。テレビや講演、雑誌などで幅広く活躍中。

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