ROTARY 2021年秋号
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0510152025(%)01020304050(%)7シニアの食事はたんぱく質とカルシウムがカギ 超高齢化時代を迎え、65歳以上のひとり暮らしの人の増加が、男女ともに顕著である。必然的に、食事はいつも「ひとりごはん」という現実が待っており、そんなひとり暮らしのシニアがさらされやすいリスクのひとつとして「低栄養」の問題がある。 低栄養とは、食欲の低下などで食事量が減る状態が続いて、健康を維持するのに必要な栄養が不足した状態のこと。筋肉をつくるもととなるたんぱく質や日常的に体を動かすためのエネルギーが足りていないことを指す。もう年だからと肉や魚を控えたり、食が細くなるのは当たり前だからと欠食が続くと、筋肉量がたちまち減って足腰が弱くなり転倒、果ては寝たきりなどを引き起こしやすくなる。もちろん体調不良や病気にもつながりやすい。 特に高齢のひとり暮らしとなると、誰かと一緒に食事をする機会に恵まれにくく、食事の内容や量がついおろそかになりがち。また料理することが面倒になったり、食べることに対する意識も低くなってしまうことがあるのだ。 そんな高齢ひとり暮らしのリスクを吹き飛ばすがごとく、前向きに暮らしを楽しみ尽くす姿勢と無理なくきちんとした食生活を送るためのアイデアを、料理教室やメディア、著書を通して発信しているのが、料理研究家歴50年、79歳の村上祥子先生だ。「数十年前には夢物語だった人生100年時代が現実となってきましたね。後期高齢者の私ですが『シニアが自己責任で生きていく時代がやってきた』と実感しています」と村上祥子先生。 先生のモットーは「ちゃんと食べる!」「好きなことをする!」。「朝5時に起床、掃除、洗濯、朝食を済ませたら料理教室のスタッフがやってきて、夜6時までずっと仕事。『どうしてそんなに元気なのですか?』とよく聞かれますが、答えはひとつ。毎日きちんと食べているからです」(村上先生)。「シニアの健康のカギ」と村上先生が提唱しているのが「たんぱく質とカルシウムは食べる投資」という考え方。 足元がふらつく、腰が痛い、体が冷えるといったシニア特有の不調の解決策は筋肉量を増やし、骨量を減らさないことが肝心だという。「たんぱく質はたくさん食べても蓄えることができません。体が無駄なく消化・吸収できるのは1食あたり24〜30g。1日3食で成人の1日の必要量が満たされます。そしてビタミンDを一緒に摂ることで効率よく筋肉量を維持して、カルシウムが骨にしっかり吸着されます」(村上先生)1人分冷凍パックで手間をストック 村上先生の朝食は午前6時半、昼食は午後1時過ぎ、夕食は午後9時。長年、1日3食きちんと食べる生活を続けている。おひとりさまシニアの元気の素はやっぱり〝食〟シニアが自覚する身体の衰え・体調の不安高齢者人口に占めるひとり暮らしの人の割合昭和55(1980)平成2(1990)7(1995)12(2000)17(2005)22(2010)27(2015)令和2(2020)7(2025)12(2030)17(2035)(年)60(1985)女性男性実積値➡➡推計値太りすぎ(肥満)やせすぎ高血圧動脈硬化中性脂肪高脂血症胃や腸の病気骨密度・骨粗しょう症筋力・体力の低下虚弱体質手に力が入らない細かい手先の動作ができない食欲の衰え飲食時によく噛めない飲食時に飲み込みにくいその他あてはまるものはない日本ハム㈱ライフスタイル研究室「シニアに関する調査2021年5月」より*あてはまるものいくつでも回答内閣府「令和3年版高齢社会白書」をもとに作成最も多い自覚症状は「筋力・体力の低下」次いで「高血圧」ひとり暮らしの高齢者は増加する一方

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