ROTARY 2021年秋号
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8「年齢を重ねると1日3食、食事のたびにイチから作るのはとても無理。手の空いたときに常備菜を作っておいたり、夕食のきんぴらや切り干し大根の煮物、野菜スープなどを多めに作ったりと、手間をストックしています」。 そして、欠かさないのが1食分の食材をつめた「1人分冷凍パック」だ。「冷凍保存袋にたんぱく質食材を50g、野菜を合わせて100gを切って入れるだけ。冷凍するので味も栄養価も落ちません。簡単、手抜きがかなううえ、1食分の栄養がバランスよく摂れる究極の個食レシピです。冷凍することで食材の繊維が壊れて、野菜や肉がやわらかくなるのも噛む力が弱くなってくるシニアにぴったりです」食べれば体と心はついてくる 生き生きと毎日を楽しみ、「済んだことは悔やまない」という村上先生。ひとり暮らしを続ける中、気力が萎えることはないのだろうか。「夫を亡くしてから4年間は辛くて、作り方① 牛肉は幅3㎝に切る。② じゃがいもは一口大に切り、玉ねぎはくし形切り、にんじんは幅5㎜の輪切り、さやいんげんは3㎝長さに切る。③ 大きめのマグカップに分量の水とハヤシライス用フレークを入れて混ぜる。①を加え、②をのせる。④ ラップはかけずに電子レンジ600Wで6分加熱する。全体を混ぜたら出来上がり。材料(1人分)牛薄切り肉(焼き肉用) 50gじゃがいも  50g玉ねぎ 30gにんじん 10gさやいんげん 10gハヤシライス用フレーク  大さじ1水 3/4カップ村上祥子先生のマグカップでビーフシチュー以前『徹子の部屋』に出演した際に、黒柳徹子さんの目の前でレンジでチン。「おいしい!」と完食してくれた思い出のレシピです。食事のたびにおかずをイチから作るのは大変だ。市販の少量パックの惣菜も時に活用するのがおすすめ。「塩分が気になるときは、大さじ2の水を振ってレンジにかけ、余分な水気をとればOKです」(村上先生)食べることへの意欲が落ちてしまいました。小腹がすくと、ひとりでクッキーをつまんでおしまい。そんな生活でした」。思い返すと、その時期は心から笑っていなかったという。「ある日、ニュースでかわいい動物の映像をみたら、自分が『うふふ』と笑ったことに気がついて。正気に戻ったとでもいうのでしょうか。『しっかり食べて、生きなければ』と思い直しました」 気持ちが沈むと食べる気力も落ちることを痛感した村上先生。「いつも自分が作った料理では、正直飽村上祥子さん料理研究家。管理栄養士。公立大学法人福岡女子大学客員教授“食べる”総合的学習として子どもたちへの指導からメタボリック・シンドローム予防の実践指導、さらにはシニアへの栄養摂取のアドバイスまで、健康的な食生活や“食べ力(たべぢから)R”をつけることへの提案に情熱を注ぐ。また電子レンジを活用した合理的なアイデアと手早い調理法には定評がある。これまでに出版した著書は500冊以上、976万部にのぼる。「80歳、村上祥子さんの元気の秘訣は超かんたんレンチンごはんだった!」(世界文化社)を9月に上梓。きるし気持ちのハリもなくなっていきます。たまにはデパ地下のお惣菜に舌鼓をうったり、ちょっとお高いチーズを買ったりして自分のご機嫌をとるのも大事なことです」 村上先生の今の夢はシニアが気軽に訪れられる「村上食堂」を開くことだ。「ここに来れば人とのつながりを感じられて、体に優しくおいしい料理が食べられる場を提供したいのです。着々と準備を進めています」 きちんと食べれば体と心はついてくる。おひとりさまシニアを支えるのもまた、アイデアあふれるひとりごはんといえるだろう。市販のおかずの塩分が気になるときはお肉の倍の量の野菜を使う。6分のレンチンで完成!

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