ROTARY 2022年新春号
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送電線タービン建屋ードー構内灰サイロ排気筒誘引誘通風通機22自然発火を利用した鶏ふん発電で第一歩宮崎県は、養鶏に携わる農家の戸数が日本でもっとも多い。近い将来、鶏ふんが処理しきれなくなることが目に見える中、〝養鶏に携わっている〞という想いを持つさまざまな立場の人たちの手により、課題解決のための新規事業会社の立ち上げの構想が大きく動き出した。こうして2003年「みやざきバイオマスリサイクル株式会社」は設立された。発電事業のノウハウと送電網を持つ九州電力の子会社と、日本ホワイトファームも含む組合や企業などが共同出資することにより、宮崎県中部の川南町に、発電所を建設したのである。「2005年に運転が開始され、日本初の鶏ふん発電事業が始まりました。これを機に循環型社会の構築と地球環境の保全に新しい一歩を踏み出せたと思います」(戸髙部長)鶏ふんをボイラーで焼却したときに発生する高温・高熱の蒸気を利用しタービンを回して発電するのが、鶏ふん発電の仕組みだ。焼却時にガソリンなどを使うと持続可能な開発の意味が消えてしまうが、鶏ふんは高温になると自然発火するため、有限で枯渇する見込みの化石燃料に頼らず燃やすことができるのだ。燃料としての鶏ふんについて、気を使わねばならないのは水分量である。「バイオマス発電に適しているのは、水分含有量が50%以下に調整された鶏ふんと決められています。牛や豚と比べると、排せつ物の水分量が比較的少なめなので、鶏ふんは発電に向いています。乾燥に過大なエネルギーを必要としないからです。水分含有量調整のための乾燥の工程は、鶏ふんから肥料への加工を委託している組合で行っています」(戸髙部長)鶏ふんの乾燥を行う組合は発電後に焼却灰の加工を担い、灰は土壌改良の肥料になる、と聞くと以前と変わらないのでは?と感じるかもしれないが、いったん燃料として燃やされるため、分量は焼却前の約10分の1にまで低減されるという。多すぎる供給量が悩みだったので、発電事業を通過することで需要に見合った生産に落ち着いた。「バイオマス発電で燃やされた鶏ふんから焼却灰ができ、その灰が肥料に加工され、農地で使用されて野菜や果物、<変圧器ヤード>構内の電力を除いた約9,000kW(一般家庭約3,000戸分)が電力会社へ送電される。<蒸気タービン・発電機>ボイラーで発生した蒸気を発電機の回転力に変換。出力11,350kW<特殊有機肥料焼成灰>「めぐみー100」鶏ふんを1000℃以上で燃焼させてできた焼成灰は、リンやカリウムを含む有機肥料原料として販売される。日本ホワイトファーム㈱宮崎生産部生産部長戸髙 操

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