ROTARY 2022年新春号
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27チーズなど、コクのあるハードタイプが400〜800gくらいは必要です。加える辛口の白ワインはマッターホルン辺りでとれるぶどうのものなどがよく合います。キルシュ酒は大さじ2〜3。香りづけのにんにくはたたきつぶして3〜4片、とろみをつけるくず粉、または片栗粉大さじ1くらいです。比較的簡単に本場の味が楽しめますよ。 土鍋を火にかけ、つぶしたにんにくを鍋の底にすりつけたあと白ワインでのばし、おろしチーズ二種をどっと入れます。鍋を温めるアルコールランプの火を目で楽しんでいるうちに、チーズが溶けてきますのでキルシュ酒を加え、ワインで溶いたくず粉を混ぜこむのです。 ここで大切なことはパンですよ! 必ず一辺がかたい皮の部分となるようにバゲットを一口大に切ること! 理由は簡単。チーズの海にパンを落とすなんて、とってもお行儀の悪いことなのです。仲間にワインをおごってゴメンナサイをしなければなりません。パンのかたい部分をフォークにしっかりと刺すのを忘れないで。それからもう一つ。はじめにあまりガツガツと食べないこと! だんだん煮詰まってフォンデュが濃くなる頃こそ「おいしい!」のですよ。最後はおこげを鍋に貼りつけるようにして皆で分け合って食べちゃう!  どうです? 簡単でしょう? 具は本場風のバゲットだけでなく、ウインナーやボイルしたブロッコリー、にんじんなど、フォークで刺しやすいものもおすすめです。 ぜひトライしてください。 ちなみにスイスの夜はとても楽しく、若かりし頃の私は、ちょっと格式のあるパーティーで、女性の手の甲にチョンとくちづけをする、映画でしか見ないあいさつを体験してしまったのでした。どうしてスイスで? ワカリマセーン! では世界の鍋料理、がんばってくださいネ。江上栄子(えがみ・えいこ)江上料理学院院長。料理研究家。フードコンサルタント。実家は佐賀県有田焼の窯元「香蘭社」。青山学院大学英文科卒業。パリのル・コルドン・ブルー料理学校の最終課程修了証書を取得後、世界60カ国余りを訪ね、家庭料理の研鑽を重ねる。フランスチーズ鑑評騎士の会東京支部理事長を務めるなど諸外国との関わりも深く、2002年フランスの農事功労章シュバリエを受章。2017年同オフィシエを受章。2015年1月、米農務省の「米国農産物貿易の殿堂入り」を果たし、ケネディ大使の表彰を受けた。外食産業や食品会社の顧問としてフードビジネス全体に携わる。テレビや講演、雑誌などで幅広く活躍中。

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