ROTARY 2023年新春号
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心の不調を改善するには運動とたんぱく質の摂取がカギ これまでの研究で、うつ病の治療のひとつとして、散歩やジョギングなどの有酸素運動が効果があると言われています。さらに、最近の研究では、筋トレなどの無酸素運動でも抑うつ状態を改善する効果があることがわかりました。 運動の種類による効果を調べた研究では、運動の種類や強度で効果に差はなく、いずれも一定の改善効果が認められると報告されています。つまり、運動によって体力を強化することが効果につながるわけではないので、好きな運動を選び、継続して行うことが重要だと考えます。 また、運動の効果には、睡眠の質の改善があります。睡眠の質の定義はいくつかありますが、ひとつはベッドに入ってから入眠するまでの時間が短いほど良質な睡眠が得られるというもので、逆にベッドに入ってから起きたままの状態が長いと、睡眠の質は低下します。筋トレをすると、入眠までの時間が短縮できることがわかっており、朝スッキリ起きられない、眠りが浅いと悩む方にはおすすめしたい方法です。運動は継続して行うことで効果が期待できます。つらいと思わずに続けられる強度の運動をするのがよいでしょう。 キーストーンハビットという言葉を聞いたことがあるでしょうか。ひとつの習慣を変えることで、連鎖的によい行動が習慣化するという意味です。 健康的な生活を送るうえで、最もキーストーンハビットになりやすいのが運動です。よく見受けられるのが「運動を始める」⇒「せっかく運動したのだから甘いものを食べ過ぎないようにしよう」、「野菜を多めに食べるように心がけよう」というように、運動以外の健康によいことに意識が向き、習慣になっていくものです。 健康を維持するには、たんぱく質をはじめ、栄養的に十分な食事を摂ることが重要ですが、運動も必要です。コロナ禍でリモートワークが広がったことで、運動量は年代を問わず、減少傾向です。健康増進のためには1日8000歩、歩くのがよいとされています。いきなり8000歩が無理であれば、今の歩数よりも1000歩増やすと、現状よりも少し健康を目指せると言われています。10分の歩行は約1000歩。外出時はひと駅分歩くといったことから始めるとよいでしょう。 たんぱく質不足にならないバランスのよい食事と運動を習慣化して、健康な心と体を手に入れましょう。心の安定にはどんな運動がいいの?健康によい行動を習慣化するには?神経伝達物質の不足を補うには、食事から材料となる必須アミノ酸を摂取すること、運動で神経伝達物質の分泌を促進することの両面からのアプローチが有効です。運動することで、神経伝達物質の分泌が促されます。どんな運動でもよいので、心地よく習慣にできるものを続けることが大切です。肉、魚、卵、乳製品、豆類などは必須アミノ酸が豊富です。一度にたくさん摂取しても吸収しきれないので、1日3~4回に分けて摂るようにしましょう。自分の症状や体調に合わせて、心と向き合いましょう。運動神経伝達物質のバランスが崩れるのを抑制する神経伝達物質に必要な必須アミノ酸をつくるたんぱく質の摂取Report・Text/こいずみきなこ21心の不調を改善するには運動とたんぱく質の摂取がカギ これまでの研究で、うつ病の治療のひとつとして、散歩やジョギングなどの有酸素運動が効果があると言われています。さらに、最近の研究では、筋トレなどの無酸素運動でも抑うつ状態を改善する効果があることがわかりました。 運動の種類による効果を調べた研究では、運動の種類や強度で効果に差はなく、いずれも一定の改善効果が認められると報告されています。つまり、運動によって体力を強化することが効果につながるわけではないので、好きな運動を選び、継続して行うことが重要だと考えます。 また、運動の効果には、睡眠の質の改善があります。睡眠の質の定義はいくつかありますが、ひとつはベッドに入ってから入眠するまでの時間が短いほど良質な睡眠が得られるというもので、逆にベッドに入ってから起きたままの状態が長いと、睡眠の質は低下します。筋トレをすると、入眠までの時間が短縮できることがわかっており、朝スッキリ起きられない、眠りが浅いと悩む方にはおすすめしたい方法です。運動は継続して行うことで効果が期待できます。つらいと思わずに続けられる強度の運動をするのがよいでしょう。 キーストーンハビットという言葉を聞いたことがあるでしょうか。ひとつの習慣を変えることで、連鎖的によい行動が習慣化するという意味です。 健康的な生活を送るうえで、最もキーストーンハビットになりやすいのが運動です。よく見受けられるのが「運動を始める」⇒「せっかく運動したのだから甘いものを食べ過ぎないようにしよう」、「野菜を多めに食べるように心がけよう」というように、運動以外の健康によいことに意識が向き、習慣になっていくものです。 健康を維持するには、たんぱく質をはじめ、栄養的に十分な食事を摂ることが重要ですが、運動も必要です。コロナ禍でリモートワークが広がったことで、運動量は年代を問わず、減少傾向です。健康増進のためには1日8000歩、歩くのがよいとされています。いきなり8000歩が無理であれば、今の歩数よりも1000歩増やすと、現状よりも少し健康を目指せると言われています。10分の歩行は約1000歩。外出時はひと駅分歩くといったことから始めるとよいでしょう。 たんぱく質不足にならないバランスのよい食事と運動を習慣化して、健康な心と体を手に入れましょう。心の安定にはどんな運動がいいの?健康によい行動を習慣化するには?神経伝達物質の不足を補うには、食事から材料となる必須アミノ酸を摂取すること、運動で神経伝達物質の分泌を促進することの両面からのアプローチが有効です。自分の症状や体調に合わせて、心と向き合いましょう。

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