Rotary 2025年 春号
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食肉事業の物流拠点食品輸送を担うパレタイズ化が「物流2024年問題」の課題解決の一つにスーパー物流飲食店販売日本物流センター日本チルド物流製造処理・加工生産・飼育トラックごとに、積む高さを何センチまでにするか、パレットの内枠から何センチまではみ出しても可能なのか、パレット何枚までできるか、といった内容を細かく決めました。しかし実務が始まったら、商品がトラック庫内に当たってしまうなど、予測しきれなかったトラブルが発生しました。そのたびに、パレタイズの実務を管理する日本物流センターの担当者とやりとりしながら、新たなルールとして落とし込む、これを繰り返し、最適化しました」(古川)配車についても、ドライバーの経験に頼っていた部分が多かったと気づかされたそうだ。「それまでは、組んだ配車に応じてドライバー自身が判断しながら商品を積み込んでくださったので、コミュニケーションを取りながら最適な配車ができました。しかし、パレタイズの運用が始まった当初は、ドライバーが経験してきたことを日本物流センターの担当者へ言葉で伝える必要がありました。お互い、その環境に慣れるまでは大変でしたね」(石橋)の今までの業務はもちろん、物流業界の常識を根本的に見直すきっかけとなった。「極論ですが、一度も当社で配送の経験がないドライバーでも、簡単な指示だけで目的地までモノを運べるようになるのが理想です。日本物流そこで、石橋は日本物流センター1流       「2022年から検討が始まり、『物流2024年問題』解決のため、イバーが自分で積み込みも行ってきました。しかしドライバーの負担を軽減し、持続可能な物流を実現する試みです。」労働基準法制定以来約70年ぶりに労働法が大きく改正され、2019年施行で「働き方改革」は始まった。運送、医療、建設業界などに対しては猶予期間が与えられていたが、その期間が終了するのが2024年3月末だった。4月1日からトラックドライバーの1日の拘束時間が13時間以内(上限15時間)、時間外労働が年960時間に制限されることが決まっていた。ドライバーの労働時間を、今まで以上に有効活用しなければならない。荷物を運ぶことに専念してもらえる仕組みづくりのひとつとして「パレタイズ化」が浮上した。荷役台であるパレットは、約メートル四方の標準的なものであれば一枚あたり約600キロ積載できる。また、荷物が崩れないようにパレットへ積むことも、長年の慣習でドライバーが自ら行ってきた。しかし、改めて輸送に関わる作業時間を洗い出したところ、積み込み開始から完了まで2時間半から3時間かかっていたことが判明した。この積み込み時間を短縮できれば、モノが運べない危機を回避することができるかもしれない、と石橋は考えた。の古川将人とパレタイズの実現に向けテスト運用を開始した。しかし、いざ慣れない方がパレットへ商品を積もうとすると、想像していたよりも複雑で、なかなか理想の形(ドライバーが積むよう)にはならなかった。「最初に取りかかった、商品をパレットに積むルール設定が一番難しかったですね。トラックに合わせた積み500キロ〜方は複雑です。何種類も規格があるこの新しい取り組みは、自分たちニッポンハムグループの日本チルド物流株式会社と日本物流センター株式会社は、お得意先である量販店や精肉店、外食産業などに商品を配送する輸送事業を担っている。物2024年問題への具体的な対策のひとつとして両社は「パレタイズ化」の本格的な取り組みを始めた。なぜ、パレタイズ化に着目したのか、日本チルド物流の東日本事業部東京事業所の主任、石橋和也が、当時を振り返る。いくつかのことに取り組むと決まりました。その中のひとつが『パレタイズ化』でした。運送業界では長年の習慣として、その荷物を運ぶドラAfter従来、トラック運転手が行っていた手積み・手卸しの手間を省くため、パレットに荷物を整理し積み付けることを示す。パレタイズ化ニッポンハムグループには食肉事業本部と加工事業本部それぞれに物流会社が2社ずつ存在する。加工事業本部の物流会社は日本デイリーネット(株)と日本ルートサービス(株)。Before手積み手卸し15ニッポンハムグループパレタイズバーティカル・インテグレーション・システム

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