Rotary 2025年 春号
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選ばれる会社、選ばれる冷蔵庫になる前の運送困難を回避するための方法として始められた。しかし、それに物流拠点の会社が取り組むことには、その先の意味があるという。「日本物流センターがパレタイズ化に取り組むには、もうひとつ意味があります。運送においての長年の課題は荷積み、荷卸し時の待機時間の長さです。パレタイズ化によって積み込みの時間は減することができます。その空いた時間と場所を、有効活用することを考えています」(古川)るための接車スペースのバース数は限られている。その順番を待つ大型トラックが、倉庫のそばに駐車したり、周囲をぐるぐる走っていたりすることもまれではない。積み卸しの待ち時間が短いことは歓迎される。「私たちは、選ばれる冷蔵庫になり2〜3時間、削たいと考えています。運送会社、つまりドライバーたちから、選んでもらえる会社を目指しています」(古倉庫や冷蔵庫に荷物を積み卸しす      川)かつての商習慣では考えられないが、今は運送会社に運んでもらえるように物流拠点も環境を整える必要があると、先の日本チルド物流の石橋も続ける。「運送会社は今、仕事を選べる時代になっています。もし、待機時間が長すぎるので日本チルド物流の仕事はできませんという協力会社が増えてしまうと、トラックの手配が滞り、お客様のニーズにお応えすることができなくなることはもちろん、お得意先に商品をお届けできなくなります。そんな事態は絶対に避けなくてはならない。ニッポンハムグループの枠を超え、同業他社との協力体制を強化していく必要が出てくると思います」(石橋)2023年12月、日本ハム・ソーセージ工業協同組合が中心となり、ハムソー大手HD(株)、日本ハム(株)、プリマハム(株)、丸大食品(株))が「SDGsへの貢献と持続可能な物流のための食肉加工業界取組宣言」を発表した。共同宣言の内容には、配送ドライバーの負荷軽減、共同配送の推進などが含まれていた。「以前は、時給を上げれば働く人を集めることができました。しかし最近では、通勤手段や福利厚生など、働く環境を重視して選ばれる。倉庫は広い敷地が必要なので、駅からは遠方の場所に位置しています。パレタイズの拡大を考え、さらに人手が必要なので、通勤しやすいように、川崎駅からの通勤シャトルバスを今年の春から運行予定です。また周辺にコンビニなどがないため、食堂も完備しています」(古川)口の減少も、労働者の高齢化も避けられない。それでも、私たちの生活に支障がないように、さまざまな人たちが仕事をやりくりし、新しい仕組みに取り組んでいる。今後も続ける物流問題の解決へのチャレンジは、持続可能な未来を呼び寄せるはずだ。4社(伊藤ハム米久日本の人口減少による、労働力人持続可能な、その時代に合った仕事のあり方を探る試みは今後も続く。日本物流センターの古川は、新たなパレタイズ化はこれまで以上に複雑になるだろうと話す。する商品が少量多品種になり、配送が増えることが見込まれます。どんなルールをつくり落とし込んでいくか、人手や場所も含め準備中です」(古川)今のところ、パレタイズ化は目の「現在と比較し、一カ所につきお届け日本ハム㈱食肉事業本部 食肉営業統括事業部物流管理室 プロモーターReport・Text/横森 綾 Photo/数永 紗恵「ニッポンハムグループ食肉事業の物流拠点」としての冷蔵・冷凍倉庫。事業所は3カ所あり、東京事業所は東日本エリアへの物流拠点。ニッポンハムグループが、国内外で生産・輸入する食肉商品を量販店・食肉店・外食産業、国内家畜農場向けの家畜飼料などへ集配する輸送事業を担う。日本物流センター株式会社 東京事業所操業開始:2003年4月所在地:神奈川県川崎市川崎区浮島12−3従業員数:446名(2025年2月末現在)日本チルド物流株式会社 東京事業所操業開始:2004年8月所在地:神奈川県川崎市川崎区浮島12−3従業員数:300名(2025年2月末現在)国内外で生産された 安全・安心・高品質な商品を生活者皆様の食卓までお届けするところまでがニッポンハムグループの責任です。食肉事業本部の物流部門を担う2社との連携をさらに強化し、現状の課題解決だけにとどまらない、持続可能な物流基盤を構築していきます。※従業員の所属は撮影当時のものです。現場はこの2人に安心して任せられる、と古川。17宮本 修一ニッポンハムグループの食肉における物流の目指すべきところ

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