Rotary 2025年 春号
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日本有数の観光地である鎌倉。平時は年間1千万人※2を超える観光客が訪れ、歴史的名所の他、四季折々の風景、伝統的な店舗や飲食店など見どころが満載だ。鎌倉駅を出て、小町通りを歩くと、魅力的な食べ物を商う店舗がたくさんある。ニッポンハムグループ鎌倉ハム富岡商会直営の「KAMAHAM PLUS+」もそのひとつ。これまでの小町本店を昨年以前の小町本店は、看板商品である熟成布巻きロースハムをはじめ、伝統製法でつくられる定番のハム・ソーセージを取り揃えた直営店舗で、顧客層としては、ご自宅用や進物用として求める年配の方々が中心だったという。由緒ある地で歴史を刻む同社は、今後の食消費を担う若年層に、ハム・ソーセージのある食卓をアプローチする必要があった。そこで鎌倉を訪れる若者に向けたテイクアウトスタイルを介して、新しい価値を創造していくことが、「ハムの原木をお客様の前でスライスしリニューアルの目的だという。「リニューアルオープンのプロジェクトに若い社員も入り、SNSを使ってリサーチし、写真映えを意識した片手でも楽しめるテイクアウト商品を増やしたのです。今では、10代~20代の若年層、海外からのお客様がすごく増えました」(安藤)店頭でライブ感を演出し五感を刺激店頭では、大きな鉄板でソーセージを焼く香ばしい匂いが胃袋を刺激する。お客様がそれを目当てに並んでいると、一人、また一人と列が長くなる。 「リニューアルの一年前から試作を重ねていたのです。ソーセージは旧店舗ではバックヤードで調理していましたが、お客様の前で鉄板で焼くスタイルにしました。おかげさまでワンハンド商品の売れ行きも順調です。ジュージューと焼く音と食欲をそそる香り、五感に訴えかける商品の魅力を再確認しました」(安藤)お店には他にもライブ感溢れる演出が。注文が入るとお客様の前で原木のハムをスライスし、その場で提供する「魅惑のももハム」だ。ソースは2種類。定番のハニーマスタードと、ブルーベリーで、ももハムの塩気と酸味の効いた甘いソースの相性が良く余韻が残る味わいだ。ているため、﹃わぁ!﹄と歓声をいただくことが多いです。パックされたスライスハムをイメージする方が多いので、珍しさ、ライブ感を感じていただけると思います」(安藤)添えられたグリッシーニでハムをすくって巻き付ければ、そのままおいしくいただける。これは観光客のゴミのポイ捨てが課題となる中、あるコンビニエンスストアが提供している「食べるスプーン」から着想を得たらしい。お箸のように使った後は食べられるグリッシーニを採用した。KAMAHAMPLUS+最前線ワンハンドフードを通じてお客様とつながれる場にワンハンドフードをきっかけに、お客様との接点をもっと増やしたいと安藤は話す。「お客様と直接対話ができる環境は新鮮です。頂いた貴重なご意見は社内で共有し、さらなる商品設計に生かすことでお客様とつながれるのは直営店ならではですね。鎌倉ハム富岡商会のサブブランドとして、ハム・ソーセージの新しい可能性を切り拓きたいです」(安藤)東京から交通アクセスもよく、観光地の中でもリピート率が高いといわれる鎌倉。ワンハンドで楽しめる食体験が、若者とハム・ソーセージの食文化をつなげる突破口を確実に開いている。特集KAMAHAM PLUS+店長あんどうけい2004年入社、工場配属。製造から出荷まで経験のあと、2019年営業部へ異動。職域ギフト担当。2024年10月、小町本店リニューアルに伴い、店長に就任。自家製ソーセージを熱々の鉄板で焼く。看板商品の「魅惑のももハム」。お客様の注文が入ったら、一枚ずつスライサーでカットし、提供している。※2 参考資料:鎌倉市HP 観光客数及び海水浴客数お客様と対話ができるのも実店舗ならでは。10月リニューアルオープンした。07創業120年の鎌倉ハム富岡商会の鎌倉小町本店が、「KAMAHAM PLUS+」として生まれ変わった。ウッドを基調にしたモダンな店舗では、ワンハンドフードがラインアップされ、写真を撮る若年層のお客様が増えたという。日々訪れる鎌倉の観光客に接する店長の安藤慶に話を聞いた。        安藤 慶伝統×革新の融合 創業120年の鎌倉ハム富岡商会のワンハンドフード 五感に響く食を楽しむ昨年リニューアルオープン!

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