ニュースリリース 2003年

~ 食品アレルギー物質を約15分で検出 ~
食品アレルギー物質迅速検出キット「FASTKITTMイムノクロマト」新発売のおしらせ

2003年10月3日
日本ハム株式会社
日本ベクトン・ディッキンソン株式会社

関係各位

イメージ画像

日本べクトン・ディッキンソン株式会社(以下 日本BD、本社所在地:東京都港区赤坂、代表取締役社長:レックス・バレンタイン、http://www.bdj.co.jp)と日本ハム株式会社(以下 日本ハム、本社所在地:大阪市中央区、代表取締役社長:藤井 良清、http://www.nipponham.co.jp)とが共同で進めていたイムノクロマト法による食品アレルギー物質の迅速検出キットの開発がこの度完了し、「FASTKITイムノクロマト」※1として10月7日より発売することとなりました。この製品は日本ハムが製造し、日本BDが販売いたします。

「FASTKITイムノクロマト」は、BD(ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー 本社所在地:米国ニュージャージー州)が有するイムノクロマトの特許技術※2を応用したもので、プレートに前処理した試料液を滴下した後、約15分程度で食品アレルギー物質を検出することができる迅速検出キットです。
昨今、小児の約8.6%が何らかの食物アレルギーを経験していると報告されており※3、現在も増加傾向にあります。食物アレルギーの症状は患者により異なりますが、重篤なケースではアナフィラキシーショックを起こし、死に至る場合もあります。このような背景をふまえ、厚生労働省では平成14年4月1日より、発症頻度が高い、あるいは症状が重篤になる「卵、乳、小麦、そば、落花生」の5品目を特定原材料と指定して、全ての流通段階において表示することを食品衛生法で義務付けました※4。
食品メーカー等は加工食品に食品アレルギー物質が含まれていないことを保証するため、最終製品の検査はもちろんのこと、原材料に食品アレルギー物質が混入していないか、あるいは製造工程でのキャリーオーバーなどによる混入がないかを検査、確認する必要があります。しかしながら、これまで、食品アレルギー物質を検出する方法として主流となっているELISA法※5による検査では、特別な設備が必要であることと、検出に時間がかかる(約3時間程度)ことから、その導入は容易ではありませんでした。
今回発売する「FASTKITイムノクロマト」による検査には特別な設備投資の必要もなく、短時間での検出が可能なことから、食品製造現場では、まず「FASTKITイムノクロマト」で原料や、中間製品、さらには商品を定性的にスクリーニングし、食品アレルギー物質が検出された場合にELISA法で定量的な検査をするといったプロセスをとることができるようになります。これにより、検査効率を高めると同時に検査にかかる費用の軽減を図れると期待されます。

FASTKITTMイムノクロマトの概要

発売開始:2003年(平成15年)10月7日
有効期間 :12ヶ月(製造から)
用途 :食品アレルギー物質の定性的検査用キット
キット構成 :製品名 入り数
FASTKITイムノクロマト卵 20テスト
FASTKITイムノクロマト牛乳 20テスト
FASTKITイムノクロマト小麦 20テスト
FASTKITイムノクロマトそば 20テスト
FASTKITイムノクロマト落花生 20テスト
キット内容 :テストプレート(20テスト)、
希釈用緩衝液(50ml)、濃縮抽出用緩衝液(100ml)

「FASTKITTMイムノクロマト」シリーズの特徴

特定原材料5品目に対応
食品衛生法で表示を義務付けられた「卵、乳、小麦,そば、落花生」の5品目の検出キットをそろえました。
簡単な操作
試料溶液調整後は、テストプレートに試料を滴下するだけの簡単操作。特別な機器や習熟は不要です。
優れた感度
「FASTKITイムノクロマト」は様々な食品の特定原材料の検出に利用できます。食品中の特定原材料濃度で5ppmを保証検出感度としておりますが、1ppmから検出が可能です。
「FASTKITエライザシリーズ」とも高い相関をしめしています。

「FASTKITTMイムノクロマト」の操作方法

1. 食品の前処理 :食品をフードカッター等により均一に破砕し、たんぱく質の抽出、遠心後、ろ過する。
2. 資料溶液の調製 :前処理で作製したろ過液を指定の希釈倍率に従い調整し、試料溶液を作製する。
3. 試料溶液の滴下 :試料溶液100μlをプレートに滴下する。
4. 判定 :2本のラインが現れれば陽性。ラインが一本の場合は陰性。
※1 FASTKITイムノクロマトは、日本ハムが2002年4月より発売している食品アレルギー物質を検出するためのELISA法を用いた「FASTKITエライザシリーズ」(厚生労働省医薬局食品保健部長通知『アレルギー物質を含む食品の検査方法について』(食発第1106001号;平成14年11月6日付け)に収載)と同一の抗体を使用しています。
FASTKITは日本ハムの登録商標です。
※2 イムノクロマト法:Immunochromato graphy
抗原と抗体が結合した抗原抗体複合体が試験紙上を移動する途上に、あらかじめ抗原と結びつく抗体を線状に塗布させた部分を用意し、抗体に補足させることで現れる色付きのラインの有無によって検出する方法。
※3 飯倉洋治、他:食物アレルギー対策検討委員会 平成9年度報告書(1998)
※4 原材料に食品アレルギー物質を含む食品の表示義務について
アレルギー物質の食品表示については、1998年 3月 5日付け厚生省(現厚生労働省)食品衛生調査会表示特別部会による「平成10年度 食品の表示のあり方に関する検討報告書」において「食品中のアレルギー物質については、健康危害の発生防止の観点から、これらを含有する食品に対し、表示を義務付ける必要がある」と報告され、さらにこの内容が 2001年
4月の食品衛生法関連法令の改正によって省令で定められました。
また、「特定原材料に準ずるもの」として、表示が推奨されたものは次の19品目です。:あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
※5 ELISA法:Enzyme-Linked Immunosorbent Assay
反応プレート内のウエル表面上にある抗体と抗原及び酵素標識された抗体との結合により、標識酵素の活性を測定することで目的物質を測定または検出する方法。

日本ハム株式会社の会社概要

本社 大阪市中央区南本町3-6-14

設立

1949(昭和24)年

資本金 241億6,500万円

売上高 9,099億99百万円(2003年3月期連結)

従業員数 27,199人(2003年3月31日現在/グループ合計、嘱託・パート含む)

事業内容

食肉加工品(ハム・ソーセージ等)及び調理食品(レトルト食品、惣菜食品等)の製造・販売ならびに食肉の処理・販売

主要な事業所 支社(東京都)

工場:旭川、茨城、大阪北、和歌山、兵庫、小野、徳島、諫早

営業所:札幌、千葉、大宮、横浜南、金沢、中京、京都、浪速、新神戸、広島、高松、 福岡北

研究所:中央研究所(茨城県つくば市)、商品開発研究所(茨城県水海道市)、商品技術研究所(静岡県榛原郡)

グループ会社 合計117社、(2003年3月31日現在)

□日本ハムグループの事業活動について

日本ハムグループでは「幸せな食創り」を目指し、お客様が求める開かれた食品づくりを行っていく企業姿勢を「OPEN品質」として宣言させて頂き、お客様の視点を大切にして、全ての事業活動を推進しています。

そして「食」と密接な関係にある「健康」や「スポーツ」をも含め、企業活動の大きな柱と捉え、おいしさと健康をもたらす商品の研究開発を行うとともに、健康で豊かな暮らしにさらなる楽しさと感動をお届けするため、
「スポーツ」振興にも力を注いでいます。
また、環境保全活動を重要な経営課題のひとつに掲げ、その取組みを進めています。
このような、さまざまな事業活動の内容や商品に関する情報をホームページに掲載しています。
http://www.nipponham.co.jp

□日本ハムの食物アレルギー研究の歴史(公的認証に関する研究と成果)
19 97
19 97
19 98
19 99
20 00
20 01
20 02

日本BD / 日本ベクトン・ディッキンソン株式会社の会社概要

本社 東京都港区赤坂8-5-26 赤坂DSビル

設立 1971年

資本金 6億8,750万円

社員数 510人

売上高 293億6,600万円(2002年9月度)

事業所 事務所: 札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡、新宿

工場・配送センター: 福島

ラ ボ: BD技術研修所(本郷)、Clontech BLUE Genes(護国寺)、BD神戸ラボ(神戸)

事業内容 医療用・臨床検査用の機器、試薬、用具などの製造輸入販売

組織培養、感染症診断製品におけるマーケットリーダー
自動細胞分離解析装置(フローサイトメーター)および関連の基礎研究試薬のトップメーカー
針刺切創防止およびサーベイランスシステムの啓蒙活動を推進
薬剤充填用注射器で国内のリーディングカンパニー(福島工場にて製造)
□高まる要望にお応えします。

近年、食品や飲料の安全や品質保証への関心の高まりとともに、製品の最終検査のみに頼る従来の品質保証から、製造工程の管理及び原材料の管理を含めた、総合衛生管理製造過程承認制度(HACCP)を導入する企業が増えています。 日本BDでは、長年にわたる微生物検査製品の製造販売の経験を活かした製品を中心に、品質管理、品質保証、環境モニタリングにお役立ていただける様々な製品を取り揃え、食品製造加工企業、製薬会社、医療用具・化粧品・試薬等の各メーカー、飲食店、保健所、大学研究所等でご利用いただいています。
なお、現在世界標準として知られるBDの「Difco」、「BBL」ブランドの微生物検査用製品は、世界各国の検査室・研究室や製造現場で使用されています。
日本BDのインダストリアル・マイクロバイオロジー(食品微生物検査・環境モニタリング)部門では、各種情報を網羅したHPを開設しています。ぜひご覧ください。
http://www.bdj.co.jp/ind/

BD / ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー

米国の多国籍企業であるBD(ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー)は、1897年ニューヨークに医療機器の輸入販売会社として設立されました。その後革新的なアイデアと高度な技術を基盤に世界的に発展し、現在では多様な医療機器・用具を世界約140ヵ国で販売する国際的なヘルスケア企業としてリーダー的役割を担っています。

 

本社 アメリカ、ニュージャージー州 フランクリン レイクス

設立 1897年

売上高 40億3,300万USドル(2002年9月度)

社員数 26,000人

事業所 世界40ヵ国111事業所

事業内容

使い捨て注射器、インスリン注射器、真空採血管で世界のトップシェア
細胞の分離解析を自動で行い、短時間でHIVやガンなどを検査する自動細胞分離解析装置(フローサイトメーター)において世界のリーディングカンパニー
針刺切創防止機構付き注射針等の安全器材における世界のマーケットリーダー

※ニュースリリース掲載時点の情報となります。今後、変更となる場合もありますのでご了承ください。