ニュースリリース 2007年

海洋資源に着目、機能性素材「海洋性βグルカン」を開発
~コンブ科の海藻「アラメ」からβグルカンの工業生産に成功~

2007年5月25日
日本ハム株式会社

日本ハム(株)中央研究所は、コンブ科の海藻であるアラメから、機能性食品素材であるβグルカンを効率よく生産することに初めて成功いたしました。

 

βグルカンは、免疫力の強化やコレステロールの低下などが期待できる機能性食品素材であり、これまでは主にキノコや大麦、酵母由来のものが利用されてきましたが、このたび、日本ハム中央研究所が、海藻から効率よく生産する方法を開発いたしました。
このアラメ由来の「海洋性βグルカン」は、高い水溶性や分散性を持つことから、優れた加工特性が期待できる素材です。
また、構造も、従来知られているものと結合様式が異なる〔β(1,3)結合とβ(1,6)結合の直鎖構造〕ことから、独自の機能があるものと類推され、今後、新しい機能や活用方法を探っていきます。

 

尚、この「海洋性βグルカン」は、5月30日(水)~6月1日(金)、東京ビッグサイトにて開催される「第5回 ヘルスフードエキスポ HFE JAPAN2007」に出展いたします。

βグルカンとは

キノコや大麦、酵母などの細胞壁を構成する成分の一つであり、グルコースが重合した多糖類で、水溶性の食物繊維。ヒトにはβグルカンを分解できる消化酵素はないため、栄養源として利用することはできないが、免疫力の強化や抗メタボリック効果を期待することができる機能性素材として注目を集める。
種によって、結合様式が異なる。

 

アラメに由来するβグルカンの特徴

<免疫調節作用>

ラットの白血球と海洋性βグルカンを一緒に培養すると、海洋性βグルカンの量に応じた免疫調節作用が認められた。

免疫調節作用の指標は、二種類の白血球(Th1・Th2)から分泌されるサイトカインのバランスで示され、Th2>Th1のときアレルギーになりやすいといわれている。 今回、免疫賦活作用の指標であるTh1系のサイトカンとしてインターロイキン(IL)-2、抗アレルギー作用の指標であるTh2系のサイトカインとしてIL-4に着目、ラットの脾臓から白血球を採取・培養したものに海洋性βグルカンを加え、IL-2とIL-4の分泌量を測定した。
結果、海洋性βグルカンはTh1系サイトカインの分泌を促進、Th2系サイトカインの分泌を抑制することから、免疫賦活および抗アレルギー作用があることが示唆された。

<血糖値の上昇抑制>

ブドウ糖と一緒に海洋性βグルカンを食べたラットには、血糖値の上昇抑制効果が認められた。

ラットにグルコースと海洋性βグルカンを経口投与し、静脈血血清中のグルコース濃度を測定した。
結果、海洋性βグルカンは血清グルコース濃度の上昇を抑制することが示された。

<新規の構造>

βグルカンにはグルコースの結合様式によっていくつかの構造があり、この形によって機能性が異なるといわれている。アラメ由来の海洋性βグルカンは、従来知られているキノコや酵母、大麦由来のβグルカンの結合様式とは異なり、β(1,3)結合とβ( 1,6 )結合の直鎖構造であることが分かった。
この構造の違いによる、海洋性βグルカンの独自の機能が期待される。

※ニュースリリース掲載時点の情報となります。今後、変更となる場合もありますのでご了承ください。