ヨーグルトを通じてグループのたんぱく質供給を支える「日本ルナ」
1964年に「関西ルナ」として誕生し、1992年にニッポンハムグループの一員となった日本ルナ株式会社。自らを「ときめきヨーグルトカンパニー」と称し、誰もがいつでも笑顔になれるヨーグルトを作り続けています。日本ルナのロングセラー商品「バニラヨーグルト」を切り口に、日本ルナのモノづくりへの思いを2回にわたって紹介します。

日本ルナ株式会社
(上の写真左上から時計回りに)
澁澤彰美(しぶさわ・あきよし)経営企画部 マーケティング課長
赤代広行(しゃくしろ・ひろゆき)生産本部 高崎工場 生産一課長
若井早丁立(わかい・さとり)生産本部 商品開発部 課長
髙橋香菜(たかはし・かな)経営企画部 マーケティング課
岩田彩季(いわた・あやき)経営企画部 マーケティング課 主任

「バニラヨーグルト」は、1993年に発売した日本ルナのデザートヨーグルト。日本ルナの人気商品で、酸味が少なく、まろやかな口あたりが特長です。このバニラヨーグルトは、日本ルナのモノづくりにおけるすべての基準になっている、とても大切な商品なのです。今回は、このバニラヨーグルトを中心に、日本ルナのモノづくりと、そこにかける思いを紹介します。
「バニラヨーグルト」が多くの人に長く愛される理由

ヨーグルトながら酸味が少なくクリーミー、そしてなめらかな口当たり。1993年に発売して以来、30年以上経ったいまでも、日経POSの売り上げ上位にランクイン*する人気デザートヨーグルト、それが日本ルナのバニラヨーグルトです。多くの人に変わらず愛されるその秘密をまず伺いました。
秘密1目指したのは「バニラアイス」のようなヨーグルト

まるでバニラアイスのような、なめらかな口当たり
「バニラヨーグルトが誕生した1993年の発売当時は、『デザートと言えばアイスクリーム』という時代でした」と話すのは高崎工場の赤代広行生産一課長。誰からも愛される「バニラアイス」のようなヨーグルトを作りたいと考え、今までにない商品作りにチャレンジしたのが、「甘くてクリーミーなヨーグルト」だったそうです。それまでのヨーグルトといえば、いわゆるプレーンタイプと呼ばれる酸味の強いものが一般的。「甘くてクリーミーなヨーグルト」を家族みんなで楽しんで食べてもらいたいという思いが込められています。
秘密2なめらかな口当たりを作る長時間はっ酵

日本ルナ 高崎工場の生産ラインの様子
「バニラヨーグルトは、はっ酵室でじっくり丁寧にはっ酵させることで、まろやかで豊かなコクと、きめ細やかな口当たりを生み出しています」。(赤代課長)
秘密3ふっくらデザインの「ツボ型」容器
バニラヨーグルトの容器は「口が狭く、底が広い」独自の形状をしています。赤代課長によれば、一般のカップタイプによくある「口が広く、底が狭い」容器に比べて、食べるときにヨーグルトの味わいや香りを感じやすいという特長があるそうです。「これまでにさまざまな容器を試したそうですが、そのなかで最後のひと口までバニラの風味を最も楽しめたのがこの容器でした」。日本ルナの社員たちには「ツボ型」という愛称で親しまれています。
バニラヨーグルトから広がるコミュニティ
バニラヨーグルトを語る上で欠かせないのが、2016年5月に開設したバニラヨーグルトのファンサイト「バニラヨーグルト コミュニティ」です。お客様同士で「バニラヨーグルト愛」を語り合ったり、商品プレゼントや商品モニターなどの「おいしい企画」に参加したりすることができます。「親子2世代で楽しんでいるユーザーも多く、2025年6月現在で10万人を超える会員に参加いただいています」(経営企画部マーケティング課の髙橋香菜さん)。
コミュニティでは、ファンのリアルなお声を聞くことができる対面形式のイベント開催や、新商品を試して感想を投稿するモニター企画といった、コミュニティメンバーが気軽に参加できる限定企画を開催。ファン同士の交流を促して商品に愛着を感じてもらったり、商品開発にファンの意見を生かす良い機会にもなっているそうです。

バニラヨーグルトのファンサイト「バニラヨーグルト コミュニティ」


オンライン・リアルなどのイベントや、バニラヨーグルト シリーズ発売30周年にちなんだメッセージをもらうなど、活発な交流が進んでいる

2019年9月に発売した「バニラヨーグルト 長野県産 巨峰」。同シリーズでは初となる、黒ブドウ品種のフレーバーへの挑戦となりました。
コミュニティがきっかけで誕生した商品もあります。「例えば、2019年9月に発売した『バニラヨーグルト 巨峰』は、コミュニティの皆さんと一緒に開発した商品。皆さんに商品を試食していただき、味の方向性などを決めていきました」(経営企画部マーケティング課の髙橋香菜さん)。
るなたんってどんな子?
日本ルナの顔でもあり、幅広い世代に愛されている「るなたん」。るなたんは、一体どんな子なのでしょうか。

日本ルナ 公式キャラクター「るなたん」
るなたんは「皆様においしいヨーグルトを届けたい」という思いから、2019年6月5日に誕生しました。キュン(ときめき)が足りない人のところに現れて、ヨーグルトを置いていきます。ヨーグルトとともにときめきを運び、ワクワクするヨーグルト体験で皆を笑顔にしてくれます。るなたんについてもっと詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
「ときめき」を大事にした、日本ルナらしいモノづくり

日本ルナの顔とも言える、バニラヨーグルト。澁澤彰美マーケティング課長は、「バニラヨーグルトは、弊社の主力商品であり、「おいしさにときめきを」を実感していただける商品と考えております」と話します。
「日本ルナらしさ」とは一体何なのでしょうか。それが、「おいしさに、ときめきを」という同社のブランドステートメントにある通り「商品を食べた際の『ときめくようなおいしさ』を追求すること」(澁澤課長)なのです。
そんな「日本ルナらしさ」を体現した商品が、バニラヨーグルトです。ほかのヨーグルトと比べ酸味が少なく、朝ごはんからおやつ、デザートにまでどんなシチュエーションでも楽しんでいただけます。そして少しだけ特別なご褒美としても食べられています。
さらに「日本ルナらしさ」を形づくる背景には、日本ルナのモノづくりに対するブレない精神があります。その指針となっているものの1つが、日本ルナの信条や行動指針を簡潔に表現した「ルナ ブランド カード」です。
ルナ ブランド カードには「ブランドの約束」と「2030年の目指す姿」が、裏面には日本ルナの創業者である姫野陽一の「想い」などが記載されています。日本ルナの社員たちはこれを常に携帯しており、ふとした際に眺めたり、毎週の朝礼で読み上げています。

「2014年に、設立50年周年を迎えた日本ルナ。同時に、定年退職を迎える創業メンバーも増えてきました。人材の入れ替わりが起こる中で、『日本ルナらしさを再確認し、会社の軸として大切にしていこう』という風潮が強まり、彼らの想いを改めてまとめることになったのです」(生産本部商品開発部の若井早丁立課長)
社員たちの思いが込められた、ルナブランドカード。こうしたカードも活用しながら、創業時からの変わらない思いを受け継いでいます。
日本ルナ 挑戦の歴史

(左)日本ルナの最初のヒット商品となったフルーツサワー。日本初となる「ワンウェー(使い捨て)」のプラスチック容器を採用。(右)素材入りの添付カップとヨーグルトを組み合わせた、TOPCUPの「ル・コルドン・ブルー クランチ・ヨーグルト」
姫野陽一の想いにもある通り、日本ルナの歴史は挑戦の繰り返しでもあります。日本ルナの最初のヒット商品は、設立から4年目となる1968年に発売したフルーツタイプサワー。ガラス瓶が主流の時代に、日本で初めて「ワンウェー(使い捨て)」のプラスチック容器を採用し、大ヒットとなりました。1980年には、日本で初めて「のむヨーグルト」と銘打ったドリンクタイプのヨーグルトを発売。2001年には、こちらも日本初となる「TOPCUP」の「ル・コルドン・ブルー クランチ・ヨーグルト」を発売しました。
世代を超えて愛される、
バニラヨーグルトは新たなステージへ

日本ルナの高崎工場には過去発売されたバニラヨーグルトを一覧にしたパネルもあります
2025年に32周年を迎えたバニラヨーグルト。定番のバニラフレーバーに加えて、バニラフレーバーに福岡あまおう苺の果汁を使用した「バニラヨーグルト 福岡あまおう苺」を通年販売しています。シーズンごとに2種類のフレーバーも発売しており、これまでに発売したシーズン品は、なんと35種類にも上ります。定番品はもちろん、新しい味も絶えず追求することで、「ワクワクするヨーグルト体験」を提案し続けています。

「のむバニラヨーグルト」
また、若い世代にとって、バニラヨーグルトには「どこか懐かしい」イメージもあるそうです。「おじいちゃん・おばあちゃんの家の冷蔵庫に入っていた」「お父さん・お母さんが好きなヨーグルト」といったコメントが出てきました。そんな皆様の心をつかむため、2022年にはドリンクタイプのバニラヨーグルト「のむバニラヨーグルト」を発売しました。通常のバニラヨーグルトは100グラムですが、のむバニラヨーグルトは170グラム。バニラヨーグルトの味わいはそのままに、満足できる「飲み応え」がある商品を目指しました。

発売から3年が経ち、のむバニラヨーグルトはご好評いただいております。若年層からも人気の商品になりました。その理由は、ゲーム実況・配信や仕事・勉強をしながらの「ながら飲み」ができること。「ゲームを含む何らかの作業で集中力を上げるには、適度な『糖質』の摂取が必要とされています。片手にバニラヨーグルト、片手にコントローラーやペンを握り、自分の趣味や生活を楽しんでくださっているようです」(髙橋さん)。若い世代に人気の文化と、のむバニラヨーグルトの需要がマッチしました。
そして、このバニラヨーグルトを軸とした日本ルナのモノづくりへの思いは、さまざまな商品へと波及していきます。後編ではそうした思いから生まれたさまざまな商品の物語を紹介します。