シャウエッセン®の「食感」を科学する
「前歯でパリッ‼と噛む」が楽しさ、おいしさの秘密
“パリッ‼”とした食感が人気のシャウエッセン。実はこの心地よい歯ごたえは、舌で感じる味覚、鼻で感じる香り、耳で感じる音とともに、“おいしさ”を作り出す大事な要素です。シャウエッセンがもたらす食の楽しさの秘密について、長年食事と噛むことの関係について研究する、和洋女子大学の柳澤幸江教授に調査いただきました。
和洋女子大学
家政学部健康栄養学科
柳澤幸江(やなぎさわ・ゆきえ)教授
1984年、女子栄養大学卒業。1994年から和洋女子大学講師、助教授を経て2007年より和洋女子大学家政学部教授。「咀嚼」と「食事」をキーワードに、調理学・栄養学・歯学の3つの領域にまたがる研究などを行う。日本咀嚼学会、日本調理科学会などの理事。監修・著書に「子どものためのかみかみ食トレ」(少年写真新聞社)、共著に「咀嚼の本」(口腔保健協会)など。
前歯で噛むとおいしい
人はなぜ「おいしい」と感じるのでしょうか。一般においしさは、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味といった"味"そのものから来ると言われています。味覚は舌にある味蕾という器官で感じる、おいしさの基本です。けれども和洋女子大学の柳澤幸江教授によれば、実はおいしさは味覚だけで作られているわけではないそう。柳澤教授は「例えば香りや食べ物の色や形、歯ごたえや歯ざわりなどのテクスチャー、食べたときの音など、五感からの情報が複雑に絡み合い、おいしさを構成するのです」と説明します。
中でも重要な要素の一つが食べ物の触感です。歯で噛み切るときの感覚や、食べ物の硬さや柔らかさなどは食べる楽しさにもつながります。人がこうした食感を感じられるのは、歯と歯を支える歯槽骨の間に存在する約0.3mmの厚さの弾力のある繊維質の組織、「歯根膜」のおかげです。
歯根膜は歯ごたえを判別する食感のセンサー
歯根膜には大きく2つの役割があります。一つは歯にかかる力を吸収して歯を守るクッションの役割で、もう一つが食べ物の硬さや感触などの微妙な刺激を感知して脳に伝えるセンサーの役割です。これらの作用により、歯に力が入りすぎないように噛む力が調節されるというわけです。パリッ、サクサク、グニャ、などさまざまな食感を楽しめるのも、歯根膜のおかげといえます。
「実は歯根膜は、歯のある部位、つまり前歯と奥歯でセンサーの感度が異なります。奥歯は硬いものを噛み砕き強い力がかかるため、前歯に比べて刺激を感じる感度が鈍くなっています。一方、噛み切る役割がある前歯の歯根膜は敏感で、硬さや柔らかさ、噛みごたえなどをより鋭敏に感じることができ、それが楽しさにもつながります」と柳澤教授。
例えば茹でた絹さやの硬さを見るためには前歯で噛み切りますが、それも前歯が微妙な硬さの違いを感じやすいため。そして細長いスナック菓子などを前歯でポリポリ食べ進めるときに楽しさを感じるのもこのためかもしれません。さらに「咀嚼は脳の活動を活発にしますが、奥歯よりも前歯で噛んだときの方が脳の活動を高める可能性があるという報告もあります*1」と柳澤教授は説明します。
ところが、おやつと違って朝昼晩の食事のシーンでは、実は前歯で噛み切る食品は意外に少ないのだそう。その理由を柳澤教授は「食事ではお箸やフォークとナイフなどで一口大にして口に入れ、そのまま奥歯で咀嚼することが多いからです」と説明します。「食品を10g食べたときの咀嚼回数を142品目で調べた『咀嚼回数ランク』*2では、ソーセージは10段階中5ランク目の中間に位置し、噛む回数が特段多い方ではありません。しかし、前歯で噛んで触感を楽しめる貴重な食品だといえます」
皮の薄さとハリが食感の違いに
こうした特徴のあるソーセージの中でも、シャウエッセンを噛んだときのパリッ‼と感は格別。その噛みごたえをもたらす大きな要素の一つが肉を包む皮にあるようです。実はシャウエッセンでは、外の皮に一般の羊の腸ではなく柔らかい草を食べて育った特別な羊の腸が使われています。
そこでパリッ‼と食感の秘密を解明するため、シャウエッセンと一般の天然の羊の腸を使ったソーセージ、コラーゲンで作った人工皮を使ったソーセージの3種類を使い、ソーセージに圧力を加えてから皮が弾けるまでの変化についての実験を柳澤教授に行ってもらいました。
実験の概要
シャウエッセン、天然の羊の腸を使ったソーセージ、人工皮を使ったソーセージの3種類を各15本、85℃の湯で3分加熱。その後15分以内にソーセージを5mm直径の円柱の部品(プランジャー)で圧縮し、破断までのソーセージの歪みや荷重、時間の変化などを測定した。
その結果、シャウエッセンは3種類のソーセージの中で最も噛み切るまでに必要な力が大きいことがわかりました(グラフ1)。
噛み切るまでに必要な力
グラフ1
シャウエッセンの特徴は、他のソーセージに比べて圧力をかけてすぐの時点で円柱の部品(プランジャー)にかかる荷重(歯にかかる力)が急速に大きくなり、破断までにかかるエネルギー量も大きいことです(グラフ2)。「そのため、必要な咀嚼力が大きいと推定されます」(柳澤教授)。
また破断と同時に荷重が一気に下がっており、噛み切った瞬間に歯にかかる力が大きく低下することを表しています。パンパンに張った風船を押して弾けたことを想像すると理解しやすいかもしれません。こうしたテクスチャーの急激な変化が弾ける音や咀嚼時のパリッ‼とした刺激につながり、それがおいしさや心地よさ、楽しさにつながると考えられます。「シャウエッセンに使われている柔らかい草を食べた羊の腸が薄いために、このような変化が見られるかもしれません」と柳沢教授説明します。
これに対し、一般の羊の腸皮(グラフでは天然羊腸皮)を使ったソーセージは歯にかかる力がピークに達するまでの時間が長く、ピークの高さも低いため、シャウエッセンほどのパリッ‼と感が得られないと考えられます。さらに人工皮ソーセージを食べたときの感想では、皮を噛み切る食感があまりなかったのですが、破断までのソーセージの形状の変化が大きく、歯にかかる力のピークが低く、ピークまでの時間も長いのがその理由と考えられます。「人工皮ソーセージの波形はこんにゃくなどの食感と似ています」(柳澤教授)。あまり膨らんでいない風船を押した感覚と似ているかもしれません。
ソーセージの皮の違いで食感が変わる
グラフ2
楽しく手軽にたんぱく質を摂れるソーセージ
食べる楽しさをもたらしてくれるシャウエッセンですが、年代を問わず手軽にたんぱく質を摂るためにも役立つ食品です。
「程よい硬さで食べやすく、自分の食べたい量を調整できるので、ソーセージは日常的に取り入れやすいといえます。高齢者でも自分の前歯が残っている人は多いので、食感を楽しむこともできます。また、最近注目される加齢などに伴いお口の機能が衰える『オーラルフレイル』の予防には筋肉運動である咀嚼が重要です。まずは噛むことへの意識を高める必要がありますが、食感を楽しめるソーセージは咀嚼への興味を上げる利点があるでしょう。お弁当や朝食などのシーンに取り入れやすいソーセージを健康づくりの一助にしてはいかがでしょうか」と柳澤教授は話します。

