「子ども編」
日本ハムのスポーツ事業推進部に所属する管理栄養士・兼・公認スポーツ栄養士が、北海道日本ハムファイターズ、セレッソ大阪、セレッソ大阪アカデミーの3つの現場で得た知見を活かし、毎日の「食の栄養」に関するお役立ち情報をQA方式で紹介します。
日本ハム株式会社
八巻法子(やまき・のりこ)・スポーツ事業推進部リーダー
2008年日本ハム入社、中央研究所にて同年シーズンより北海道日本ハムファイターズの栄養サポートを担当。2016年シーズンより主担当。
日本ハム株式会社
櫻井郁美(さくらい・いくみ)・スポーツ事業推進部
2019年日本ハム入社、中央研究所にて北海道日本ハムファイターズの栄養サポートを担当した後、現在は主にセレッソ大阪アカデミーの栄養サポートを担当。
THEME4 | 子ども
第4回目のテーマは「子ども」。セレッソ大阪アカデミーにはプロサッカー選手を目指す小学生~高校生までの子どもたちが所属しており、年齢や体格、運動量に合わせた食事指導を行っています。同アカデミーでの食事指導と、北海道日本ハムファイターズの選手への食事サポートの経験を交えながら、「食」に焦点をあてた子育てのアドバイスを行います。
楽しい食事の雰囲気をつくり、調理方法や味付けを工夫しましょう。
苦手な食材は好きな料理に混ぜたり、細かく切ったり、好みの味付けにするのが効果的です。どうしても食べられない場合は、同じ栄養素が摂れる代替食品を探しましょう(例:トマトが苦手なら赤パプリカやブロッコリーでビタミンA・Cを補う)。味覚が発達中のうちに改善することが望ましいです。
主食・主菜・副菜・果物・乳製品の基本を守り、運動量が増えたら補食でカバーしましょう。
セレッソ大阪アカデミーでは3000kcalを基準に、年齢・体格・運動量に合わせて調整しています。試合前は消化の良いものを選び、油の多い料理や生ものは控えましょう。緊張で食が細くなる場合は、ゼリー飲料やバナナなどで無理なくエネルギー補給を。
集中力には糖質とビタミンB群、貧血予防には鉄分、感染症予防にはβカロテンを意識しましょう。
受験生は糖質と一緒にビタミンB群を含む卵・肉・魚を摂ると効果的。貧血が心配な場合はレバーや納豆、小松菜などで鉄分を補給し、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップします。風邪予防には、にんじんやかぼちゃなどのβカロテンが粘膜を丈夫にしてくれます。
子ども×食育
調理方法や味付けを工夫しましょう
偏食・好き嫌いの改善は、大人になるほど難しくなりがち。味覚が発達中のうちに、できるだけ改善することが望ましいです。ポイントは、「お子さんが楽しい雰囲気で食事できる雰囲気をつくる」こと。お子さんの苦手な食べ物を出す際は、好きな料理に混ぜたり、細かく切ったり、その子の好みの味付けするなど、調理の工夫をするようにしましょう。
CHECK
五十幡亮汰選手は高校時代に苦手な野菜を克服!
五十幡亮汰選手は小学生の頃、野菜全般が苦手でした。野菜を克服したきっかけは、中学時代後半に「もっと良い野球選手になるために、体づくりをしっかりしていきたい」と考えたため。「野菜は体をつくり、体調を整えるうえで欠かせない食べ物。偏った食事をしていてはいけないと思いました」(五十幡選手)
その栄養素が摂取できる代替食品を探して
子どもが食べられない食品に含まれている栄養素を調べ、その栄養素が摂取できる代替食品を探しましょう。例えば、トマトにはビタミンAやビタミンC、カリウムが含まれていますが、これらの栄養素は赤パプリカやブロッコリーにも含まれています。「どうしても苦手な野菜がある」という場合は、それ以外のものから必要な栄養素を摂るのも1つの手です。ここでは、色々な野菜の置き替え例を紹介します。
CHECK
代わりの野菜でおいしく食べよう!
たんぱく質は朝からたっぷり摂るように
セレッソ大阪アカデミーでは、朝食の段階からたんぱく質を豊富に含むおかず(肉、魚、たまご、大豆製品)と乳製品をしっかり摂ることを重点的に伝えています。おすすめは、スープやみそ汁などの汁物。体を目覚めさせ、食欲を増進する効果があります。
汁物を具だくさんにすることでたんぱく質も補えます。時間がない場合はフリーズドライでもOK
エネルギーは寝ている間に基礎代謝として消費され、起床時は不足している状態です。エネルギーを確保するためにも、朝食は必ず食べましょう。朝食抜きで昼食を食べたり、昼食に糖質を多く含む食品をたくさん食べたりすると、食後短時間に血糖値が急激に上昇する「血糖値スパイク」を引き起こし、眠くなってしまうことがあります。血糖値スパイクを防ぐためにも、「欠食しない」「食物繊維を含むものから食べる」「よく噛んで食べる」など、指導してあげましょう。
子ども×スポーツ
3000キロカロリーを基準に、バランス良く摂取
セレッソ大阪アカデミーでは保護者に向けた「栄養レター」を配信し、その中で下記のような1日の献立メニューを紹介していました。とはいえ、それはあくまで「献立例」に過ぎません。実際は、お子さんの年齢や体格、運動量に合わせて食事量を調整する必要があります。主食を減らしたり、主菜や副菜を増やしたりしながら、お子さんにとってベストな食事量を見つけてあげましょう。
CHECK
1日に必要なエネルギー量の違いでみる食事内容
※練習および試合日を想定
| 2500kcal |
減らす
3000kcalを
基準として 増やす
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3500kcal |
|---|---|---|
| 朝食 | ||
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| 夕食 | ||
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| 補食 | ||
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| 朝食・夕食・補食の合計 | ||
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※昼食は給食で提供されるエネルギー量700~900kcal程度を食べていると想定し、朝食と夕食、補食の献立を組み立てています。
運動量が増える場合は、補食でカバー
「部活のトレーニングメニューに合わせて、食事も変えた方が良いのか?」というお悩み。こうした場合も、主食・主菜・副菜・果物・乳製品を揃えるという3食の基本は変わりません。試合前の追い込みなどで運動量が増える場合は、補食でカバーしてあげましょう。また、試合前は緊張で食が細くなる子も多いです。そういった場合は無理に食べようとせず、負担にならない程度に食べさせると良いでしょう。エネルギー補給ができるゼリー飲料やスポーツドリンク、バナナなどを補食として活用するのがおすすめです。
CHECK
石井一成選手は試合前に何を食べる?
石井一成選手は、試合前の食事で、「炭水化物とたんぱく質をしっかり摂ること」「すぐにエネルギーになる消化の良いものを食べること」の2点を意識しているそうです。必ず食べるのは納豆で、エスコンフィールドに用意されている焼いた鶏肉もお気に入りだとか。「たんぱく質は、植物性と動物性の両方を摂るようにしています。脂質を摂りすぎると動けなくなる感じがするので、摂りすぎには注意しています」(石井選手)
色々と試して、自分なりの勝負飯を見つけて
基本は、エネルギー源となる主食をしっかり食べること。試合前日の夕食は、ホイル焼きや蒸し料理がおすすめです。消化に時間がかかるので、油の多い料理は控えるのが賢明。食中毒のリスクがあるため、生ものは食べない方が良いでしょう。試合当日の朝食は、食欲や緊張具合いと相談しつつ、食事量を調整すること。少なくとも、試合の1時間半前までに食事を済ませるのがベストです。
大切なのは、試合前に「どんな食事」を「どのように食べた」か、そして「その時の体調、気持ちはどうだったか」を把握しておくこと。練習試合などで調節しつつ、自分なりの勝負飯を見つけましょう。
子ども×体調管理
たんぱく質と糖質を意識して
集中力のUPには、脳の栄養源である糖質が欠かせません。糖質をエネルギーに変えるには、「ビタミンB群」を一緒に摂る必要があります。主食と一緒に、卵や肉、大豆製品や魚なども摂るようにしましょう。また、これらの食品にはたんぱく質も豊富に含まれています。たんぱく質は、やる気を促す「ドーパミン」や、気持ちを安定させる「セロトニン」などの神経伝達物質の分泌にも関わっています。試験で実力を発揮するためには、たんぱく質もしっかり摂取する必要があります。
CHECK
糖質×ビタミンB群×たんぱく質を効率的に摂取したい際は、鮭や、たらこのおにぎり、卵やツナのサンドイッチを選びましょう。緊張状態でも食べやすく、コンビニでも購入できます。
鉄分を豊富に含む食材を摂取しましょう
「息切れ・動悸」「疲労感」「めまい」「頭痛」といった症状に加えて、「なんとなく調子が悪い」「走れない」「集中力がない」といった症状は、子どもの貧血の可能性があります。食事に鉄分を摂り入れて、鉄の吸収を良くしてあげましょう。鉄分は、豚や鶏のレバーに加えて、納豆やほうれん草、小松菜からも摂取することができます。
CHECK
鉄を豊富に含む食材
動物由来(ヘム鉄)
肉類…豚レバー、鶏レバー、牛もも肉(赤身)
魚類・貝類…干しいわし、カツオ、アサリ、シジミ
植物由来(非ヘム鉄)
海藻類…ひじき
豆類…納豆、豆腐、豆乳
緑黄色野菜…小松菜、 水菜、 ほうれん草
非ヘム鉄は、ビタミンCと、動物性たんぱく質が摂れる食材を一緒に食べることで、吸収率がUPします。
ビタミンCを豊富に含む食品
かんきつ系の果物、生野菜
たんぱく質を豊富に含む食品
肉や魚、卵の料理
これらの食品を食事にうまく摂り入れて、子どもの貧血を予防しましょう。
免疫力に影響する「βカロテン」に注目
激しい運動後は一時的に免疫力が低下するため、しっかり休んで回復することが大切です。生活リズムを作り、それを維持していきましょう。おすすめは、免疫力に影響する「βカロテン」を摂取すること。βカロテンには「粘膜を丈夫にして、風邪やインフルエンザなどの感染症を予防する」といった効果があり、かぼちゃやにんじんなどから摂取することができます。
CHECK
βカロテンを豊富に含む野菜(100gあたりの含有量)
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しそ - 1万1000μg
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モロヘイヤ - 1万μg
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にんじん - 8600μg
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とうがらし - 7700μg
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パセリ - 7400μg
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にんじん(金時) - 5000μg
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たで - 4900μg
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春菊 - 4500μg
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ほうれん草 - 4200μg
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かぼちゃ - 4000μg

