仕事や勉強。日々の生活の質を上げるイミダゾールジペプチドの話
「疲れが取れない」「午後に集中できない」——日頃から疲労に悩む働く世代へ。8週間の継続摂取で疲労感が有意に軽減されたエビデンスをはじめ、脳の疲れへのアプローチまで、日々のパフォーマンスを支えるイミダゾールジペプチドの実力を研究員が語ります。
【お話を聞いた人】
日本ハム株式会社 中央研究所 佐藤三佳子(さとう·みかこ)研究員/日本ハム株式会社中央研究所所属。同研究所は機能性素材や食物アレルギー、食肉の健康機能などを探究するニッポンハムグループの中核研究機関。1991年入社。2006年、イミダゾールジペプチドに関する研究で博士(学術)取得。同素材の新たな価値創出に取り組む。
「なかなか疲れが取れない」「午後になると頭がぼんやりする」「休日に寝だめしても月曜にはもう疲れている」——働く世代や学生にとって、慢性的な疲労は深刻な問題です。日本人の約6割が日常的に疲労を感じており、その3分の1以上が半年以上続く疲労感を抱えています。本記事では、忙しい毎日を送る一般の方に向けて、イミダゾールジペプチド(以下、イミダ)がどのように日々の疲労感を軽減し、パフォーマンスを支えてくれるのかを解説します。
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その疲れ、放置していませんか?
疲労感や倦怠感は、体の不調を知らせるシグナルです。激しい運動や長時間の作業、過度なストレスを受けたとき、私たちは「疲れた」「だるい」と感じます。通常であれば、バランスの良い食事、十分な睡眠、リラックスや軽い運動、趣味やおしゃべりなどの気分転換によって回復できます。
しかし休養が不十分だと、疲れが翌日に持ち越され、積み重なって慢性的な疲労へと進行してしまいます。慢性的な疲労は、仕事や勉強の作業効率を低下させるだけでなく、「休みたい」「しんどい」という不快感を伴い、生活全体の質を落とします。さらに言えば、疲労を放置し続けると体調不良や病気の引き金にもなりかねません。栄養や睡眠などの基本的な休養に加えて、疲労感を軽減する食品成分を上手に活用することが、これからの疲労対策のカギになるかもしれません。
23種の候補成分の中で、イミダが最も高い効果を示した
疲労を軽減する食品成分を科学的に探索するため、2003年から産官学連携による大規模な「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」が実施されました。この結果を受けて、イミダに関する多数の研究が進められています。
8週間の継続摂取で疲労感が有意に軽減
その研究の1つとなるとある実験では、日常的に行っている作業で疲労を自覚している方々を対象に、イミダを含む飲料を8週間継続して摂取する研究が行われました。疲労感の程度を評価するスケールを用いて比較したところ、イミダを摂取した群は、摂取しなかった群に比べて、疲労感が統計学的に有意に低下していました(清水惠一郎,他.薬理と治療 2009;37:255-263)。
イミダゾールジペプチドの日常作業による疲労に対する効果
清水惠一郎,他.薬理と治療 より作図
また、日本ハム 中央研究所が中高齢者を対象に実施した研究では、イミダを4週間摂取してもらったところ、目の疲労感、全身の疲労感、ストレス感のいずれも軽減されました。デスクワークでパソコン作業が多い方にとっては、目の疲労感の軽減は特にうれしい効果ではないでしょうか。一方、プラセボ(偽物)を摂取した群ではこうした変化は見られませんでした。
日本ハム中央研究所調べ
体に負荷をかけても疲れにくくなる
日常の疲労だけでなく、意図的に体に負荷をかけた場合の疲労に対する効果も検証されています。イミダを含む飲料を4週間継続摂取した後にエルゴメーター(負荷付き自転車)を漕いでもらったところ、疲労によるパフォーマンスの低下が抑えられただけでなく、主観的な疲労感も軽減されていました。つまり、実際の体の疲れにくさと、本人が感じる疲労感の両方が改善されていたのです*。
さらに、この研究ではイミダが酸化ストレスや炎症を抑制している可能性も示されています。
疲労の根本原因「酸化ストレス」をイミダが抑える
では、イミダはなぜ疲労感を軽減できるのでしょうか。それは以下のメカニズムによると考えられます。
まず健常者の疲労には「酸化ストレス」が大きく関わっています。何らかの作業をすると、全身のさまざまな細胞が働き、その際に活性酸素が発生します。活性酸素は細胞やその部品を酸化させます。もともと体内には活性酸素を消去する酵素が備わっていますが、活性酸素が増えすぎるとその消去が追いつかなくなり、細胞が活発に働きにくくなって疲労につながっていきます。
イミダの抗疲労効果のメカニズムの一つは、この酸化ストレスを軽減する「抗酸化作用」により細胞機能の低下を抑制する働きにあると考えられています。イミダ自体に、酸化を防ぐ機能があり、体内のイミダの量が多いほど防御作用が強まるイメージです。さらに、体内の酸性・アルカリ性のバランスを保つ「緩衝作用」、糖化を抑える「抗糖化作用」などが複合的に働いているとされます。一つの成分がこれほど多面的な機能を持つことは珍しく、それがイミダの大きな特徴です。
脳の疲れにもアプローチ——記憶力・集中力との関係
イミダの効果は筋肉だけにとどまりません。イミダの構成成分であるカルノシンは、脳でも働いています。脳に。脳内のカルノシンも、抗酸化・抗糖化・抗炎症作用を発揮し、神経細胞を守る働きをしていると考えられています。
また、イミダは脳由来神経栄養因子(BDNF)の産生を促すことが明らかになっています*1。BDNFは神経細胞を活性化し、神経同士のネットワーク形成を促進する重要なたんぱく質です。仕事中に「頭が回らない」「集中できない」と感じるとき、それは脳の神経細胞が疲弊しているサインかもしれません。イミダは、そうした脳の疲労にもアプローチできる可能性を秘めています。現役世代にとっても仕事や勉強のパフォーマンスアップに期待が持てます。
鶏肉を使ったおすすめ「イミダレシピ」
イミダを日常に取り入れるもっとも手軽な方法は、鶏むね肉を積極的に食事に加えることです。鶏むね肉は高たんぱく・低脂肪・低カロリーで、古くから滋養強壮に役立つ食材として重宝されてきました。手軽に作れるソテーやサラダなどがおすすめです。
北海道日本ハムファイターズの栄養サポートを担当する管理栄養士が考案した「イミダレシピ」を紹介します。
レシピ①チキンソテー梅ソースがけ
ソースに梅を使用します。梅はクエン酸を含むので、イミダゾールジペプチドと一緒に摂ればダブルの疲労軽減効果が期待できます。
作り方
- 鶏むね肉にフォークでまんべんなく穴を開けて、塩と酒を振りかけて揉みこむ
- フライパンで鶏むね肉を蒸し焼きにする。
- 梅干し、みりん、酒、しょうゆ、レモン汁を合わせたソースを火にかける。
- 焼きあがった鶏むね肉を皿に盛り、ソースをかける
* 調味料の分量はお好みで
レシピ②鶏むね肉入りシャキシャキサラダ
食感の良いキャベツともやしを、鶏むね肉と一緒にたっぷり食べられるサラダです。火を使わずに作れるので、献立のレパートリーに加えやすいでしょう。ドレッシングにおろした玉ねぎとにんにくも加えるので、各種野菜からさまざまな栄養素を摂取できます。
作り方
- キャベツを千切りにし、もやしにラップをかけてレンジで加熱する
- 皮を取り除いた鶏むね肉を薄切りにし、塩こしょうを振ってからラップをかけてレンジで加熱する
- サラダ油、酢、おろした玉ねぎとにんにく、塩こしょう、砂糖を混ぜてドレッシングを作る
- 野菜と鶏むね肉をドレッシングで和える
忙しくて毎日の食事で十分に摂れない場合は、サプリメントで補うことも選択肢の一つです。健康な人であればイミダを摂り過ぎて問題になることは基本的にありませんので、食事とサプリメントの併用も安心して行えます。
佐藤研究員からのメッセージ
「身体的な疲労感の軽減に加えて、精神的な疲労感や心の健康への働きについても研究が進んでいます。脳の老化を抑える機能や生活習慣病を改善する効果なども報告されており、イミダの可能性はまだまだ広がっていくと考えています。ぜひ、日々の食生活にイミダを取り入れてみてください」
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