日本ハム株式会社

ニッポンハムグループ
新卒採用サイト

Episode Story 06 食の安全・安心を守る「最後の砦」。

Episode Story 食の安全・安心を守る「最後の砦」。

安全・安心な食品を提供していくのは、食品会社の使命。ニッポンハムグループでも、様々な施策を実施している。日本ハムファクトリーが進める、製造現場の異物混入をなくす取組もその一つだ。同社は、グループの約80%のハム・ソーセージを製造している日本最大のハム・ソーセージ製造会社。日本で製造されるハム・ソーセージの6個に1個は、同社がつくっている計算になる。
ニッポンハムグループには、「異物検査機器専門家」という資格がある。e-ラーニング、筆記・実地試験を含む厳しい研修をパスした社員だけが任命され、異物検査について基準や手順を確認するだけでなく、勉強会なども実施し、工場全体の意識・スキル向上に努めている。
全国でも少数しかいないこの異物検査機器専門家の一人が、橋本である。

スライス製品の包装・梱包を担当。

「シャウエッセン」「アンティエ」などのソーセージを製造する静岡工場の中で、私が所属する製造2課3係では、スモークタンやペッパービーフなどスライス製品の包装や梱包を行っています。
スライス工程は、まず、「原木」と呼ばれる肉の塊(例えば豚の加熱済みタンなど)が、運ばれてくるところから始まります。その塊を殺菌し、規格で定められた大きさにスライス。コンピュータスケールという自動計量装置で重量を計量し、包装します。そして、人の目による検品を経て、異物があれば異物検査機器で探知し除去、出荷用に梱包していきます。

主任として労働災害防止などに取り組む。

作業は工場内の2つのフロアで行われ、私はその一つのフロアで主任として、80名ほどの従業員と働いています。
労働災害防止に努めるのは、主任の重要な役割です。フロア内を毎日巡回し、チェック、危険度を点数化しながら、改善活動を進めます。また、従業員にアンケートやヒアリングを行い、危険を感じた経験などを把握して、朝・昼礼で周知し、全員で共有していきます。
また、製造コストの抑制や歩留まり※の向上、業務の効率化などを考えていくのも仕事です。機械・部品の更新・交換などを検討していく役割も担っています。 ※歩留まり:製造工程における、使用原料に対する製品の出来高の割合。または完成品に対する利用可能部分の割合。

異物検査機器専門家として。

また、私は、「異物検査機器専門家」でもあります。異物検査機器専門家は文字通り、異物混入を減らすのがミッション。日々、専門家という立場で、現状の管理に問題がないか検査機器の状態を確認し、不具合の発生を事前に防いでいきます。
それでも誤検知などが起これば、現場の責任者から連絡が入ります。製造される製品によって、現場での使われ方は異なります。また、製造する商品の温度・水分・塩分などでも条件は変わりますし、機器固有の癖もあります。そのため、商品・作業ごとに調整しているのですが、これを把握するのが難しい。もちろん、厳格に異物を検知できなければなりませんが、厳しすぎても歩留まりは悪くなります。そのバランスを見ながら、一つひとつ機械を設定します。機械の癖を知り、原因を模索して解明、異物混入を防ぎつつ、歩留まりのいい製造ラインを実現できたときは達成感を覚えます。

いかに人のミスを防ぐか。

ただ、検査機器の精度・性能は年々向上しています。機器が原因で異物が混入することは少ないんです。
問題は人。人為的なミスをいかに削減するかが、異物混入削減の大きなポイントになります。例えば、手順を決め、それをもとに作業するのは当たり前ですが、「慣れ」を防ぐため、そうした手順は日々改善していかねばなりません。定期的に勉強会も開催。自分の職場だけでなく他の職場の従業員も含めて、私たち異物検査機器専門家が教育していきます。

難しい言葉では従業員の頭に入らない。

2012年、6つの工場が合併し、日本ハムファクトリーは新たなスタートを切りました。これまでバラバラだった異物検査機器の取扱い手順も統一化されることに。しかし、各工場には、長年馴染んだやり方があります。基準も年々厳しくなる中で、新しい手順を、従業員に分かりやすく、正確に教えていくのに苦労しました。
「GAとは遺伝子アルゴリズムの……」なんて、難しい専門用語では従業員の頭に入りません。なるべく簡単な、作業に即した言葉で伝えることはもちろん、言葉だけでは理解しにくい部分は、事前に資料を準備したり、実機を用いて手順説明を行ったり。「慣れ」が発生しないよう、現場での指導はていねい――というより、しつこいくらいに何度も何度も行いました。

品質を守るという点で、工場が一枚岩に。

1年間、こうした取組を進めてきたことで、工場全体のスキルも向上し、異物を混入させないという意識を、全従業員にさらに強く持ってもらうことができました。品質を守るという面で工場が一枚岩となり、統一した考えを持つようになったのは、とてもうれしかったですね。
私自身、教育指導をしていくことを通して自信を持ちました。また、他工場との交流で、検査方法や備品の置き方などについて、いろいろな気づきを得られたのも大きいですね。

「甘い気持ちでは通用しないぞ」。

異物検査機器専門家は、食の安全・安心を守る「最後の砦」です。任命されたとき、上司には、「甘い気持ちでは通用しないぞ」と言われました。その通りでしたね。「最後の砦」として重い責任を持つことはもちろん、従業員にとっては、細かいことを注意する、ある意味、嫌われ役でもあります。年上の方にも意見をしっかり言わなければならないので、最初は躊躇したこともあります。
けれど、私が目をつぶってしまえば、消費者のみなさんに安全・安心なハム・ソーセージを届けることができません。「好かれる異物検査機器専門家は要らない」「うるさく思われてもいい」と自分に言い聞かせて、毎日、業務にあたっています。
製造過程でのリスクは無数にあります。絶対ということはないと肝に銘じて、広くを見渡せる視野と、細部まで見れる目の両方を持って、これからも食の安全・安心を守っていきたいですね。

日本ハムファクトリー株式会社
静岡工場 製造2課3係 ※取材当時
2004年入社

橋本 昌史※仮名