ニッポンハムグループ
SDGsへの取り組みをご紹介
毎年9月末に開催される国連総会。その会期にあわせて行われるのが、持続可能な開発目標(SDGs)の推進と達成に向けて意識を高め、行動を喚起する「SDGs週間(グローバル・ゴールズ・ウィーク)」です。2024年は9月16日~25日がその週にあたります。
日本ハムは、SDGsに向けたさまざまな取り組みを普段の事業活動のなかで行っており、ここでは代表的なものをご紹介します。

食物アレルギーをお持ちの方も、楽しく一緒に食事を
ニッポンハムグループは、「食べる喜び」を企業理念の一つとして掲げています。この「食べる喜び」とは、食を通して感じる「おいしさの感動」と「健康の喜び」を表し、私たちはこれらを人々の幸せな生活の基盤と考えています。そうしたなかで私たちが積極的に支援しているのが、食物アレルギーを持つ方々。食物アレルギーは、人の身体が特定のたんぱく質に過剰反応してしまうのが原因ですが、食べられるものが制限されて皆と同じものが食べられないなど多くの方が苦しみを抱えています。

専用工場で食物アレルギー対応食品の開発
食物アレルギーの方にも、皆と同じメニューを楽しんでいただきたい。そのような思いで、私たちは業界でいち早く、食物アレルギー対応食品の研究・開発に取り組んできました。2007年には特定原材料(当時は卵、乳、小麦、そば、落花生の5品目。2024年現在ではえび、かに、くるみを加えた8品目)を持ち込まない専用工場を山形県酒田市に設立。さまざまな食物アレルギー対応食品を製造しています。
Table for All 食物アレルギーケア
また、商品の提供だけではなく、アレルギーに関する情報提供も積極的に行っています。
2022年2月に立ち上げた食物アレルギーケア総合プラットフォーム「Table for All 食物アレルギーケア」は、サイトから直接商品を購入できるほか、食物アレルギーに関する情報提供、オンラインで管理栄養士に栄養相談できるツールや、オンラインコミュニティを設けています。
食物アレルギー協同取り組み「プロジェクトA」
「食物アレルギーの有無にかかわらず、みんなで食事をおいしく楽しめる社会の実現」に貢献することを目的に、食物アレルギー配慮商品を持つ食品メーカー6社(エスエスケイフーズ、オタフクソース、ケンミン食品、永谷園、日本ハム、ハウス食品)が協同で、食物アレルギー配慮商品の普及やレシピの協同開発、情報発信、啓発活動に取り組んでいます。
2021年5月からは食物アレルギーに関する副読本を作成して小学校へ無料配布しています。2023年は10万部を用意し、4月下旬から全国の47都道府県に案内を開始しました。また希望する小学校へは出前授業も実施しており、2022年度は、食物アレルギーに関するオンライン出前授業を5校で開催しました。
公益財団法人ニッポンハム食の未来財団
当社は、2015年に食物アレルギーに特化した公益事業に取り組む「一般財団法人ニッポンハム食の未来財団」(2017年度から公益財団法人化)を設立しました。この財団では食物アレルギー領域への研究助成や、栄養士や保育者を対象とした「食物アレルギーセミナー」などの情報発信、啓発活動を精力的に行っています。また「食物アレルギー対応食料理コンテスト」は本年度で10回目を迎え、そのレシピはご家庭や給食を提供するさまざまな現場でお役立ていただいております。
食物アレルギー発症予防法の研究
近年の研究から食物アレルギーは皮膚の炎症を治療した上で、専門医の指導の下、原因となり得るたんぱく質を少しずつ食べることによって予防できることが明らかになりつつあります。当社中央研究所は2017年から「炎症皮膚からの食物アレルギー発症リスクを低減した卵白分解物を摂取することによる卵アレルギー予防法」をはじめとした、より安全性の高い食物アレルギー発症予防を実現する方法を確立すべく、研究機関や医療施設と共同で進めています。
「くるみ」の検査キット
近年、木の実類に対する即時型食物アレルギーの症例数が増加し、小麦を抜いて第3位に浮上したことが報告されています。とりわけ、くるみを原因とする症例が大幅に増加しました*。新たにアレルギー表示の特定原材料に指定された「くるみ」を検査するキットを開発し、2023年3月に発売しました。今後もラインナップの拡充に努めていきます。


アニマルウェルフェアポリシーに沿った取り組みを推進中
当社グループの使命でもある、生命(いのち)の恵みを大切にして無駄なく使うこと。
家畜を良い環境で肥育することは、罹患率や死亡率を下げてリソースの無駄を省くことになり、結果的に肥育の過程で発生するGHG(温室効果ガス)の過剰な排出を防ぐことにもつながります。
ニッポンハムグループは、「アニマルウェルフェアポリシー」および「アニマルウェルフェアガイドライン」を制定し、1) 2030年度までに豚の妊娠ストール廃止、2) 処理場内の係留所への飲水設備の設置(豚・牛)、3) 農場・処理場への品質カメラの設置、という3つの目標を掲げて実践しています。
養豚事業を担う日本クリーンファームが運営する長万部ちらい農場、長万部あやめ農場(ともに北海道)では、豚のストレス軽減の取り組みとして、妊娠時に母豚を入れるストールを廃止しています。母豚のストレスが軽減されることにより、生産性の向上にもつながっています。また、家畜を飼育するうえでの境・品質の向上を目的に、農場・処理場にカメラを設置しています。
豪州において牛肉事業を担うワイアラビーフの肥育牧場では、牛のストレス軽減に向けて飼育環境を整備しています。例えば牛を直射日光から避けるための日除けの設置(下写真)、安全面・衛生面に配慮した水・飼料の給与等を行っています。さらにトルコにおいて養鶏事業を担うエゲタブの育成農場では、鶏の飼養スペース、室温、換気等に配慮しています。

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サステナビリティ/人と社会/アニマルウェルフェアの取り組み
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ニッポンハムグループが大切にしていること/豚の飼育現場から
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ニッポンハムグループが大切にしていること/オーストラリアの自然が育てた生命の恵みを世界の国々へ
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ニッポンハムグループが大切にしていること/鶏の飼育現場から

カーボンニュートラルに向けた取り組み
世界のGHG排出の約3分の1を占めているのが、食品の生産から加工・流通・調理・廃棄までの活動を含む『食料システム』と言われています。農業・食料システムによるGHG排出が、気候変動問題に大きなインパクトを与えていることを認識し、当社グループは2050年カーボンニュートラルの実現を目指しています。
太陽光発電や高効率ボイラーなどによる省エネ、CO2削減
当社グループは、事業所の敷地内や屋根を利用して太陽光発電の導入を進めており、2024年3月末時点、全国36カ所で太陽光発電設備が稼働しています。2030年の目標達成に向けては、事業所外に設置して発電した電気を使用するオフサイト型も含め、再生可能エネルギーの導入を進めていきます。
また、グループ工場のボイラー燃料について、CO2排出量の少ないLNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)への転換を進めているほか、動植物性油脂や家畜の排せつ物をボイラー燃料として活用するなどの対策も実施しています。
新たにボイラーを導入する際は用途に合わせ、高効率ボイラーやヒートポンプ、コジェネレーションシステム、排熱コンプレッサーといった省エネルギー・CO2排出削減につながる機器の導入も進めています。
商品包装のプラスチック削減
プラスチックの製造に関わるCO2の削減、海洋プラスチック問題など地球環境への影響を最小限に抑えるため、当社グループでは原料の仕入れから製造、そしてお客様の元へ届くまでのさまざまな場面でのプラスチック利用の削減に向けて日々取り組んでいます。
主力商品であるシャウエッセン®については、2022年からこれまでの巾着タイプからエコ・ピロタイプに変更することで、包装資材重量を28%減*1とし、年間248トンのプラスチック削減*2を実現しました。中華名菜®ではトレイの利用をなくしてプラスチック使用量を21%減*3に。チルドピザの「奏」はプラスチックトレイを紙に変更するなどして37%減*4としたほか、日本ルナの「Isey SKYR イーセイスキル」ではプラスチック容器から紙容器に変更して94%削減*5を実現するなど、絶え間ない工夫で包装容器プラスチック削減に努めています。
また、再生素材やバイオマス素材も積極的に使用し、石油由来の包装容器から地球環境へ配慮した素材への転換も行なっています。



水資源の保全に関する取り組み
当社グループは、事業活動において限りある水資源を有効に活用するとともに、適切な処理をしたうえで排水するなど、環境負荷の低減に努めています。
排水の管理
事業活動により発生する排水は排水基準を満たす水質まで浄化してから河川などに放流します。水の浄化は活性汚泥法を中心に、例えば南日本ハム(株)ではマイクロナノバブル発生装置を設置して微生物の働きを高め、牛や豚の処理・加工の過程で出る排水の浄化処理能力を向上させるなど、事業所や農場、工場ごとに適切な方法で浄化を行っています。
使用した水の再利用
排水の管理に加え、浄化した水の再利用なども農場を中心に行なっています。
肉豚出荷頭数で日本一の規模を誇る日本クリーンファーム(株)の道南事業所では、2022年1月から排水中の不純物をろ過する「RO(逆浸透)膜高度処理施設」を稼動しました。処理する水の80%以上を再利用し、その水を清掃などに利用しています。鶏の生産・処理・加工を担う日本ホワイトファームグループの食品工場では、鶏肉の冷却などに使用する水の約10%を再利用しています。

