産官学連携による共創

社会課題を解決するためには、自社だけの取り組みでは限界があります。さまざまな知見を持った異業種・異分野の企業、行政、大学、研究機関と協働し、新たな価値を生み出していきます。

畜産由来の温室効果ガスの削減

ニッポンハムグループは、国内で豚・鶏、豪州で牛の生産飼育から販売までを自社で一貫して行っており、メタンなど畜産由来の温室効果ガス排出削減は大きな課題だと認識しています。
メタンは温室効果がCO2の25倍にものぼることから、現在「メタンの発生抑制」「排出されたメタンの回収と利用」の2つの方向で大学や生産者団体と共同研究に取り組んでいます。

研究題目

北海道大学 ウシルーメンにおけるメタン発生抑制法の開発
大阪大学 メタンに対する特異的吸着能を保有する多孔質有機塩の研究
徳島大学 ブタにおける温室効果ガス排出に関する研究

日本初の鶏ふん発電事業の推進

当社グループは宮崎県において、家畜の飼育から処理・加工、製造、販売に至る事業活動を進めています。

そのなかでも鶏の生産・処理・加工を担う日本ホワイトファーム(株)では、契約する生産農場で飼育した鶏を、宮崎食品工場で1日あたり約83,000羽処理・加工しています。その飼育段階で発生する排せつ物を適切に処理するため、宮崎県内の養鶏農家の方々、農事組合法人や企業※などと共同出資し、2003年5月に日本初の鶏ふんバイオマス発電事業者となる、みやざきバイオマスリサイクル(株)を設立しました。

同社の発電能力は7万6,662MWh/年で、これは一般家庭約2万軒分の電力消費量に相当します。周辺環境に配慮した密閉型の臭気対策の設備も備えています。

  • 農事組合法人 児湯食鳥宮崎生産者組合、宮崎環境保全農業協同組合、農事組合法人 みやざきバイオマス利用組合、(株)児湯食鳥、日本ホワイトファーム(株)、(株)ウェルファムフーズ、(有)山下商事、九電みらいエナジー(株)

循環型エコシステムのイメージ(バイオマス発電)

循環型エコシステムのイメージ(バイオマス発電)

鶏ふんから発電への流れ

日本ホワイトファーム(株)宮崎生産部が契約する生産農場から発生する鶏ふんは、年間約4万3,000トンになります。その鶏ふんの約90%はみやざきバイオマスリサイクル(株)に搬入し、焼却によって発生したエネルギーで発電を行っています。

みやざきバイオマスリサイクル(株)の焼却能力

鶏ふん焼却量 13万2,000トン/年
発電電力量 7万6,662MWh/年

石炭火力発電と比較した場合のCO2削減効果は6万6,000トン、一般家庭の年間電力消費量約2万軒に相当します。

同社の鶏ふんの受入量は1日あたり約500トン

鶏ふんを焼却するボイラーの焼却能力は1日あたり440トン

焼却灰から肥料への流れ

鶏ふんを焼却した後の灰は、宮崎環境保全農業協同組合が買取し、日本ハム(株)や肥料メーカーなどに販売し市場に流通しています。
焼却灰は、リンやカリウムを含む有機物由来の肥料原料として販売されており、土壌改良などに貢献しています。
鶏の排せつ物は、継続的に資源として有効活用し、他企業様と環境負荷の低減と循環利用につなげています。