ニュースリリース 2018年

AI・IoTで豚の健康や発情兆候を判定する
「スマート養豚プロジェクト」を開始
~養豚場の働き方を改善し、人手不足の社会課題の対応に貢献~

2018年12月19日
日本ハム株式会社
インターファーム株式会社
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータSBC

日本ハム株式会社(以下:日本ハム)、インターファーム株式会社(以下:インターファーム)、株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)、株式会社NTTデータSBC(以下:NTTデータSBC)は、AI・IoTを活用して養豚場の働き方を改革する「スマート養豚プロジェクト」を開始します。
本プロジェクトでは、12月より養豚場へIoT機器を導入し、豚舎の状況をリアルタイムで把握可能としたうえで、現在豚の飼育状況を適切に判断するAI画像判定技術を開発しています。ニッポンハムグループでは、本技術を開発・導入することにより、養豚場の飼育環境最適化による生産性の向上とともに、労働負荷軽減および少人数での効率的な飼育が可能となります。また、今まで多くを経験に頼っていた畜産業務において、ノウハウの継承や生産性・品質の安定化を図ります。
NTTデータグループでは、畜産現場および製造現場においてAI・IoT・BI等のデジタル技術を活用した課題解決、ソリューション提供を積極的に推進します。
両社は、本プロジェクトを通じて畜産現場全体を活性化させ、社会課題や地域課題の解決を目指します。

背景

第一次産業は労働生産性の改善が課題となっており、畜産業においても特に昨今の人材不足、経験に頼った飼育技術の継承困難が、生産体制を維持・拡大するうえで大きな問題となっています。加えて、多くの生産現場が立地する地方を中心に少子高齢化は加速しており、畜産業における生産現場の労働環境は厳しさを増しています。
日本ハムは、家畜にとって快適な飼育環境の実現(飼育の最適化)をより一層推進するとともに、労働負荷を軽減し効率的に飼育できる環境を実現するため、AI・IoTを活用して養豚場の働き方を改革する「スマート養豚プロジェクト」を、ニッポンハムグループの養豚事業会社であるインターファーム、NTTデータグループと共同で開始します。
本プロジェクトでは、生産現場の労働環境の改善や生産性の向上・安定化により、働きやすさを向上させ、日本の食文化や食卓を支える養豚場、ひいては畜産現場全体を活性化させ、社会課題や地域課題を解決することを目指します。

概要

本プロジェクトでは、12月よりインターファームの養豚場へIoT技術を導入し、AI技術開発を進めています。まずは、豚舎へカメラや温湿度などの環境センサを設置し、豚の飼育状況をリアルタイムで把握します。さらに収集したデータを基にして、子豚の健康や母豚の交配可否などをAIで判別する技術の開発を進めます。
例えば、母豚の発情兆候を判別する場合、今までは作業員が一頭一頭のエサを食べる量や雄豚と接触した際の反応、人が触れた時の行動の変化等を注意深く観察し判断してきました。このように経験に頼っている作業が非常に多い養豚業務においてAIによる画像判定を行うことで、労務の軽減とともにノウハウの継承や生産性・品質の向上、安定化を図ることができます。

図1:本プロジェクトの開発イメージ

特長

複数の豚舎の状況をリアルタイムで把握

距離のある複数の豚舎を対象にできるよう柔軟な無線ネットワーク構成を実現しています。また、厳しい設置環境を考慮した防水・防塵対応カメラ、温湿度等の環境センサを設置することで、各育成ステージの豚の状況を一目でリアルタイムに把握することができます。環境センサは、NTTデータSBCが独自に開発した通信やセンサ制御機能等を備えたマルチセンサターミナルを採用し、取得データの拡張性を担保しつつ低コストを実現しています。
これらのデータや画像の蓄積により、飼育成績との関連性や人が不在となる時間の状況も的確に把握することが可能となります。

子豚の健康や母豚の発情兆候をAIで判別

子豚をAIで個体認識し、行動を分析することで客観的なデータに基づき健康状態を判断できます。これにより経験に依らない安定的な状態判定ができます。また、疾病兆候を速やかに検知して治療を行う、豚にとって快適な温度、餌の調整を行う等、細やかな飼育管理の実現が期待されます。
さらに、母豚の発情兆候をAIで判別することで、今まで以上に適切なタイミングで交配を行うことが可能となり、繁殖成績の安定化、生産子豚の増加が期待されます。

図2:養豚管理支援システム運用イメージ

養豚業向けAIエンジンの構築

将来的にニッポンハムグループを中心とした複数の養豚場に導入し、様々な環境の豚を学習し判別できるようにすることで、最先端のテクノロジーを活用した養豚業向けエンジンへと拡張していきます。

各社の役割

日本ハム・・・中央研究所、IT戦略部を軸に、養豚における研究ノウハウの提供。日本ハム内での関連する社内インフラとの連携、セキュリティ等必要対策の検討、実施。
インターファーム・・・フィールド(養豚場)の提供、養豚の飼育プロセスにおけるノウハウの提供。
NTTデータ・・・IoT機器の提供、動画・センサデータの収集及び収集したデータを取り込み豚の発情や飼育状況を学習・判定するAIモデルの構築、最新のAI、IoT技術の提供。
NTTデータSBC・・・ネットワークインフラの設計、IoT機器の選定・設置、動画・センサデータの収集・閲覧ソフトウェアの提供。

今後について

養豚事業における飼育管理技術の総合的な支援システム構築のため、技術開発を加速させていきます。
また、将来的にニッポンハムグループの農場に広く展開を実現し、養豚生産事業全体での労働環境の改善、生産性の向上・品質の安定化を目指します。更に、NTTデータグループとニッポンハムグループは、共同でニッポンハムグループ以外へ展開し、日本の養豚場および畜産業における課題解決を目指します。
NTTデータでは、畜産現場および製造現場においてAI・IoT・BI等のデジタル技術を活用した課題解決、ソリューション提供を積極的に推進します。

※ニュースリリース掲載時点の情報となります。今後、変更となる場合もありますのでご了承ください。