ニュースリリース 2019年

国内初、口蹄疫抗原検出キットの薬事承認を取得
~家畜疾病のまん延防止及び安定的な食肉供給への貢献を目指し、
動物用体外診断用医薬品を製造販売~

2019年1月16日
日本ハム株式会社

日本ハム株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:畑佳秀、以下「日本ハム」)は、国内で初となる口蹄疫抗原検出キット「NHイムノスティック 口蹄疫」の製造販売承認を取得しましたのでお知らせいたします。
日本ハムは、国内で初となる口蹄疫抗原検出キット「NHイムノスティック 口蹄疫」を製品化し、この度2018年12月21日に農林水産省より動物用体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得しました。
本製品は、家畜伝染病予防法(※1)に基づき、国内の畜産現場における防疫対応に活用される予定です。日本ハムは本製品の販売供給を通じて、家畜疾病の発生・まん延防止による畜産業の振興並びに安定的な食肉供給に貢献してまいります。
尚、本製品は、2011~2018年度の農林水産省の研究助成(※2)を受け、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門(以下「農研機構動物衛生部門」)と共同開発した口蹄疫抗原迅速検出法を採用しております。

※1. 家畜伝染病予防法
家畜の伝染性疾病の発生の予防とまん延の防止により畜産の振興を図ることを目的とした法律。
※2. 農林水産省の研究助成
2011~2013年度:口蹄疫簡易診断キット実用化促進事業
2013~2015年度:農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業「口蹄疫ウイルス全血清型の検出及び型別可能イムノクロマトキットの開発」
2016~2018年度:イノベーション創出強化研究推進事業「口蹄疫ウイルスの全7血清型の検出および型別が可能なイムノクロマトキットの実用化」

1. 背景

ニッポンハムグループは「食べる喜び」をお届けする企業として、安全・安心で高品質な食肉を安定的に供給するために、生産・飼育から、処理・加工、物流、販売までを一貫して行う「バーティカルインテグレーションシステム」を構築しています。世界の総人口は2040年に90億人を超え、これを養うには食料生産を2000年比で1.55倍に引き上げる必要があると考えられています。日本は世界第1位の食料輸入国であり、畜産農家数が大幅に減少していることからも、食肉の安定供給は大きな課題になっています。この社会課題に対して当社グループは、CSRの5つの重要課題のひとつに「将来世代の食の確保」を掲げ、食料の持続可能性への対応、国内畜産業の振興などを推進しております。
食肉の安定調達・安定供給を脅かす様々な要因のひとつに、家畜疾病の発生とまん延があります。2010年に国内で家畜伝染病(法定伝染病)(※3)の口蹄疫が発生した際には、牛、豚など約29万頭が殺処分され、甚大な経済的損失を引き起こしました。
こうした被害を最小限に食い止めるためには、有事の際に早期の防疫体制を確立することが重要です。そこで日本ハムと農研機構動物衛生部門は、家畜の生産現場で簡便かつ迅速に検査できる口蹄疫抗原検出キットの開発を目的として、2011年度から農林水産省の研究助成を受け、キットの開発及び実用化に向けた研究を続けてきました。

※3. 家畜伝染病(法定伝染病)
家畜伝染病予防法の中で、発生によるまん延を防止するため、殺処分等の強力な措置を講ずる必要がある疾病として28種指定されている。口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ、豚コレラなどが含まれる。

2. 製品の特長

本製品「NHイムノスティック 口蹄疫」は、イムノクロマト法(※4)を用いた口蹄疫抗原検出キットです(写真)。付属キット(※5)で前処理した検体を本製品に供試することにより、およそ20分の反応時間で、目視判定にて検査結果を得ることができます。特殊な分析機器等を使用する必要がないため、口蹄疫が疑われる家畜を発見した農場等の現場において簡便・迅速に検査することができます。国内外の臨床検体を用いた評価試験において良好な成績が得られ、臨床現場における優位性が確認されたため、動物用体外診断用医薬品として承認されました。

※4. イムノクロマト法
抗原抗体反応を用いた測定法のひとつ。検体中の抗原と試薬中の抗体が形成する免疫複合体が、試薬上に目視可能なラインとして現れる。
※5. 付属キット
日本ハムが販売する免疫測定用の検体処理キット。

キット外観

製品概要

販売名 NHイムノスティック 口蹄疫
使用目的 牛の口蹄疫ウイルス抗原の検出
製造販売承認指令書番号 30動薬第415号
製造販売元 日本ハム株式会社
製造販売業許可番号 29製販診第34号

3. 今後の展開

日本ハムは、この度の「NHイムノスティック 口蹄疫」の製造販売承認取得を受けて、全国の家畜保健衛生所に対する本製品の販売を予定しており、家畜伝染病予防法に基づく国内の口蹄疫防疫対策に貢献してまいります。(尚、一般獣医師、農家等への販売は予定しておりません。)
さらに、本製品で培った開発力を活かして、医薬品という新しい領域において他の重要家畜疾病の発生・まん延を防止する技術の研究開発を推進し、食肉の安定供給に貢献していきたいと考えます。

※ニュースリリース掲載時点の情報となります。今後、変更となる場合もありますのでご了承ください。