今、世界で注目されている食品、プラントベースフード。
大豆や植物・菌類から作った「代替肉」をはじめ、「代替シーフード」なども活気を帯びてきており、 個々人の食の選択肢を広げる食品として期待されています。今回は、その中でも代替肉に着目してご紹介していきます。
プラントベースフードとは、植物由来の原材料を使用し、畜産物や水産物に似せて作られている食品のこと。たとえば、大豆や小麦などから作った「肉・卵・ミルク・バター・チーズ」などの代替となる加工食品が、すでにさまざまな食品メーカーから製造・販売されています。(※1)
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「植物由来の食べ物」と聞いて思い浮かぶのは「ヴィーガン」「ベジタリアン」「フレキシタリアン」などかと思いますがプラントベースフードは、文化的な背景や動物愛護、環境配慮の考え方など、個人の信条に基づいて食品の選択を行うヴィーガンやベジタリアンが食べる、ということではありません。
※1:消費者庁『プラントベース食品って何?』
(https://www.caa.go.jp/notice/other/plant_based/assets/representation_cms201_210820_01.pdf)参考。
代替肉とは、その名のとおりお肉の代替となる食品のこと。
ここからは、プラントベースフードのお肉=「代替肉」と、たんぱく源としてお肉に代用されるものについてご紹介します。代替肉(たんぱく質)には主に、下記の8つが挙げられます。
<植物由来の疑似肉>
植物から「ヘム(=肉特有の味や香り)」を作る技術で、小麦、じゃがいも、ココナツ油を原料に作った疑似肉があります。
<ピープロテイン>
ピープロテインとは、えんどう豆などを原料にしたたんぱく質のこと。繊維構造を動物性たんぱく質に近づけるなどして、風味や食感を再現した疑似肉があります。
<培養肉>
培養肉とは、ウシなどの動物から取り出した少量の筋肉などの細胞を人工的に培養して作られた代用肉のこと。(※2)大豆などから作る「植物肉」とは違い、培養肉は動物の細胞から生まれる「本物の肉」なのです。(※3)
<大豆ミート>
大豆を高圧加熱・高温乾燥させ、肉の味わいに近づけるよう調味した擬似肉です。から揚げやハンバーグなどさまざまな商品としてすでに登場しています。
<菌類>
菌類(きのこ・カビ)のたんぱく質を発酵させる技術をベースに作られた擬似肉です。ビーフステーキなどが開発されています。
<スピルリナ>
スピルリナは、熱帯や亜熱帯地方の湖などに分布している微細藻です。たんぱく質が50~70%含まれているだけでなく、栄養成分バランスが良く、国連機関や世界保健機関(WHO)からも高く評価されていて、スーパーフードの王様ともいわれています。(※4)スピルリナを配合したパスタや、サプリメントなどがあります。
<昆虫食>
昆虫は、アジアやアフリカ、日本の一部地域では昔から貴重な動物性たんぱく源として摂取されてきた文化があります。国連食糧農業機関FAOは人口増加による食糧不足を考慮し、2013年に食用昆虫の積極利用を提言、2018年にはEUが昆虫を食糧として認可しています。(※5)コオロギなどの食用昆虫を配合したパスタやシリアルバーなどがあります。
<3Dプリンターを利用して、見た目・質感・風味を再現した植物由来の疑似肉>
食感などは本物の肉より劣ると言われてきた「培養肉」を、3Dプリンターを用いて、見た目・質感・風味を本物に近づけた擬似肉があります。大学や企業が研究を重ねていて、「霜降り培養肉」を作ることにも成功しています。(※2)
※2:科学技術振興機構『3Dプリンターで「霜降り培養肉」を作製 阪大、凸版印刷など』
(https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20210831_n01/)参考。
※3:日本細胞農業協会『【保存版】「培養肉」とは一体何なのか』
(https://cellagri.org/articles/2022-08-31-22-35_%E3%80%90%E4%BF%9D%E5%AD%98%E7%89%88%E3%80%91%E3%80%8C%E5%9F%B9%E9%A4%8A%E8%82%89%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%B8%80%E4%BD%93%E4%BD%95%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B)参考。
※4:生物工学会誌『生スピルリナの研究開発とタベルモ事業の挑戦』
(https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9502/9502_project_bio.pdf)参考。
※5:国連食糧農業機関FAO『Forest products critical to fight hunger - including insects』
(https://www.fao.org/news/story/en/item/175922/icode/)参考。
代替肉(たんぱく質)の認知度と、食べたいかどうかを経年変化で調査しています。
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認知度では、全てのカテゴリーで年々増加しており、特に大豆ミートやピープロテイン、昆虫食、培養肉の認知度が高いことがわかります。メディアでよく紹介されていることも起因していると思われます。
代替肉(たんぱく質)を食べたいかどうかという質問では、大豆ミートを食べたいと回答した人が最も多く、3割を超えています。一方、昆虫食を食べたいという人は少なく、日本では未だ虫を食べることへの抵抗感が強いと思われます。
※6:3Dプリンターを利用して、見た目・質感・風味を再現した植物由来の疑似肉のこと
まだ研究段階であったり、流通していない代替肉(たんぱく質)のカテゴリーもありますが、「大豆ミート」はすでにさまざまな商品も販売されていて、認知度も上がってきていますよね。今後もさらに多くの商品が登場したり、食べる機会も増えていきそう!
「大豆ミート」の新たな“おいしさ”にも注目してみてはいかがでしょうか。
※「代替肉(定点調査)」
調査時期 2022年9月/調査対象(合計)2,161人/調査方法 インターネット調査 日本ハム(株)自社調べ