ニュースリリース 2024年

三井住友信託銀行と
「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」を初実行

2024年2月27日
日本ハム株式会社

日本ハム株式会社(代表取締役社長:井川 伸久、以下「日本ハム」)は、三井住友信託銀行株式会社(取締役社長:大山 一也、以下「三井住友信託銀行」)の「ポジティブ・インパクト評価フレームワーク」を活用し、融資契約(以下「本件」)を締結いたしました。三井住友信託銀行が、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)※1が策定した「ポジティブ・インパクト金融原則」※2および「資金使途を限定しない事業会社向け金融商品のモデル・フレームワーク」に則した「ポジティブ・インパクト評価(資金使途を限定しない事業会社向け投融資タイプ)」(以下「本評価」)を実施しました。ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行は、日本ハムとして初めての取り組みとなります。

ポジティブ・インパクト・ファイナンスは、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資です。企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用し、開示情報に基づきモニタリングを行い、エンゲージメントを通じて活動を支援していくことが最大の特徴です。 

本評価は、株式会社日本格付研究所(代表取締役社長:髙木 祥吉)より評価にかかる手続きのポジティブ・インパクト金融原則への準拠性、活用した評価指標の合理性について第三者意見※3を取得しています。
また、本件に参加する各貸付人は、本件をわが国の気候変動対応に資する投融資と判断し、日本銀行の「気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション」(通称:グリーンオペ)による資金供給を受ける予定です。

ニッポンハムグループは、創業以来、体の1/5を占め人が生きる上で欠かせない栄養素である「たんぱく質」をベースに安全・安心でおいしい食品を安定的にお届けしていく責任と使命に加え、外部環境の変化に伴う課題と、ライフスタイルの変化に伴う多様な食シーンにも取り組くむべく、「Vision2030」を2021年に策定しました。これまでの提供価値である「安全・安心」「おいしさ」に加え、常識にとらわれない「自由」な発想で「たんぱく質」の可能性を広げることで、社会環境や人々のライフスタイルの変化に対応する多様な食シーンを創出し、毎日の幸せな食生活を支え続けたいという当社グループの想いを「2030年におけるありたい姿」として表現しています。
「Vision2030」の実現に向けて優先的に解決すべき社会課題を「5つのマテリアリティ(重要課題)」として特定し、持続可能な社会の実現に向けて「5つのマテリアリティ」を達成するための施策・指標を決定し、取り組みを推進しています。

<本件(シンジケートローン)の概要>

契約締結日 2024年2月27日
アレンジャー兼エージェント 三井住友信託銀行
資金使途 事業資金

<本評価の概要>

当社は、本件締結にあたり、ニッポンハムグループがSDGs達成に対しインパクトを与える以下のテーマについて定性的、定量的に評価いただきました。
 
テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs
たんぱく質の安定調達・供給 持続可能なたんぱく質の供給 (a)アニマルウェルフェアに配慮した取り組みの推進
目標
2030年度までに国内全農場(豚)の妊娠ストールの廃止
指標(KPI)
国内全農場(豚)の妊娠ストールの廃止実施率

(b)植物由来のたんぱく質商品の拡充拡販
目標
植物由来のたんぱく質商品の2030年度出荷金額100億円
指標(KPI)
植物由来のたんぱく質商品の出荷金額

食の多様化と健康への対応 QOL向上と健康に資する食糧へのアクセス確保 (a)食物アレルギー関連商品※4の拡充
目標
食物アレルギー関連商品の2030年度出荷金額40億円
指標(KPI)
食物アレルギー関連商品の出荷金額

(b)認知機能を改善する新たな素材の研究と商品化
目標
認知機能を改善する新たな商品について2026年度までに年間300万食相当を供給
指標(KPI)
年間供給食数

持続可能な地球環境への貢献 CO2排出量の削減、廃棄物排出量の削減、水使用量の削減、環境保全、人権の尊重 (a)化石燃料由来のCO2排出量の削減
目標
(ア) Scope1~2のうち、化石燃料由来のCO2排出量(国内)を2030年度までに2013年度比で46%以上削減
(イ) Scope1~2のうち、化石燃料由来のCO2排出量(海外)を2030年度までに2021年度比で24%以上削減
指標(KPI)
(ア) Scope1~2のうち、化石燃料由来のCO2排出量(国内)
(イ) Scope1~2のうち、化石燃料由来のCO2排出量(海外)

(b)廃棄物排出量の削減、リサイクル率の向上
目標
(ア) 2030年度までに2019年度比で国内の製造数量当たりの廃棄物原単位5%削減 (イ) 2030年度までに国内の廃棄物排出量リサイクル率92% 指標(KPI)
(ア) 製造数量当たりの廃棄物原単位(国内) (イ) 廃棄物排出量リサイクル率(国内)

(c)水使用量の削減
目標
(ア) 国内は2030年度までに2019年度比で製造数量当たりの原単位5%削減
(イ) 海外は2030年度までに2021年度比で製造数量当たりの原単位5%削減
指標(KPI)
(ア) 原単位ベースの水使用量(国内)
(イ) 原単位ベースの水使用量(海外)

(d)認証パーム油への切り替え
目標
2030年度までにRSPO※5認証パーム油使用率100%(B&C※6含む
指標(KPI)
RSPO認証パーム油使用率



※1 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)
国連環境計画(UNEP)は、1972年に「人間環境宣言」および「環境国際行動計画」の実行機関として設立された国連の補助機関。UNEP FIは、UNEPと200以上の世界の金融機関による広範で緊密なパートナーシップであり、1992年の設立以来、金融機関、政策・規制当局と協調し、経済的発展とESG(環境・社会・企業統治)への配慮を統合した金融システムへの転換を進めています。

※2 ポジティブ・インパクト金融原則
UNEP FIが2017年1月に策定した、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた金融の枠組。企業がSDGs達成への貢献をKPIで開示し、銀行はそのプラスの影響を評価して資金提供を行うことにより、資金提供先企業によるプラスの影響の増大、マイナスの影響の低減の努力を導くもの。
融資を実行する銀行は、責任ある金融機関として、指標をモニタリングすることによって、インパクトが継続していることを確認します。

※3 ポジティブ・インパクト金融原則への準拠性、活用した評価指標の合理性についての第三者意見
株式会社日本格付研究所のウェブサイトをご参照ください。
https://www.jcr.co.jp/greenfinance/

※4 食品表示基準別表第十四に記載の特定原材料を使用していない商品。

※5 Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議の略。持続可能なパーム油の生産と利用を促進することを目的として設立された国際NPO。

※6 Book&Claimの略。認証油の証券が生産者と最終製品製造者、販売者との間でオンライン取引されるモデル。


このたびのポジティブ・インパクト・ファイナンスの評価を通じ、ニッポンハムグループのVision2030実現に向けた取り組みが、食を取り巻く社会課題解決に貢献できると評価いただきました。各種施策を通じてサステナビリティの実現と持続的な企業価値向上を目指してまいります。

詳細は以下よりご覧ください。
https://www.smtb.jp/-/media/tb/business/pdf/240227.pdf

※ニュースリリース掲載時点の情報となります。今後、変更となる場合もありますのでご了承ください。