コーポレート・ガバナンス

基本的な考え方

ニッポンハムグループは、企業としての社会的責任を果たすとともに、当社グループの企業理念を実現するために、「ニッポンハムグループコーポレート・ガバナンス基本方針」をもとにした最適なガバナンス体制を構築しています。
運営にあたっては、グループ全体の経営の透明性と効率性を高め、迅速かつ適正な意思決定と業務執行の適正性を確保し、積極果敢な経営判断を可能にするとともに、その責任を明確にすることを基本としています。

コーポレート・ガバナンス体制

取締役・取締役会

当社は、取締役の「経営監視機能」と執行役員の「業務執行機能」において責任と権限を明確化しています。
取締役の員数は、迅速かつ適切な意思決定および取締役会が負う責務の範囲を考慮して3名以上12名以内とし、取締役会の透明性を担保するために、複数名の社外取締役を選任することを基本としています。現在は、取締役8名(男性7名・女性1名)のうち3名を社外取締役としています。また、取締役の任期は、毎年度の経営責任を明確にするために1年としています。
取締役会は月1回開催しており、2023年4月より、会長が議長を務め、法令、定款に定める事項およびそのほかの重要事項を決定しています。
なお、取締役会は、2022年4月1日~2023年3月31日の1年間に18回開催しました。

監査役・監査役会

監査役は、取締役会と協働して会社の監視機能の一翼を担い、株主の負託を受けた独立の機関として取締役の職務執行を監査しています。
監査役の員数は、取締役会に対する監査機能を十分に果たすために3名以上5名以内とし、過半数以上の社外監査役を選任することを基本としています。現在は、監査役5 名(全員男性)のうち3名を社外監査役としています。
当社監査役会の構成メンバーには、財務・会計・法務に関する知識を有する者を含めるものとし、特に、財務・会計に関する十分な知見を有する者を1名以上選任するものとしています。監査役会は、月1回以上の開催を例とし、監査に関する重要な事項について議論しています。
なお、監査役会は、2022年4月1日~2023年3月31日の1年間に18回開催しました。

各種委員会(2022年度実績)

経営の客観性と透明性を高めるため、取締役会の任意委員会などとして下記の委員会を設置しています。

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会議体 構成人数
(男性/女性)
議長・委員長 目的・内容
コンプライアンス委員会 10名
・社内8名(8/0)
・社外2名(0/2)
代表取締役
社長
コンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図るために、当社グループ全体のコンプライアンスについて総合的に確認・検討し、取締役会および経営会議に対して提言
サステナビリティ委員会 13名
・社内7名(7/0)
・社外6名(4/2)
代表取締役
社長
当社グループにおけるサステナビリティの取り組みについて総合的に検討し、取締役会に対し報告または提言
役員指名検討委員会 社外4名(3/1) 社外取締役 代表取締役候補者・取締役候補者・監査役候補者の決定、代表取締役社長以下経営陣(業務執行取締役および執行役員)の解職・解任審議への透明性と客観性を高め、取締役会の監督機能を強化
報酬検討委員会 4名
・社内1名(1/0)
・社外3名(2/1)
社外取締役 役員(執行役員を含む)の報酬の決定に対する透明性と客観性を高め、取締役会の監督機能を強化
独立社外役員・代表取締役会議 9名
・社内3名(3/0)
・社外6名(5/1)
当社グループの企業価値向上および風土改革の提言の場として、独立社外役員と代表取締役が意見交換
※2023年度は「独立社外役員・会長・社長会議」として開催し、独立社外役員と会長・代表取締役社長が意見交換
独立社外役員会議 社外6名(5/1) 社外取締役 客観的な立場に基づく情報交換と認識の共有を図る場として、社外取締役と社外監査役のみで議論
内部統制・JSOX評価委員会 19名
・社内19名(19/0)
代表取締役社長が任命する役員 当社グループの全社的な内部統制の有効性の評価および業務プロセスに係る内部統制の有効性の評価を実施し、その結果を、経営者評価の基礎資料として取締役会および経営陣に報告
リスクマネジメント委員会 13名
・社内13名(13/0)
代表取締役社長が任命する役員 リスクマネジメント(リスク発生の予防および経営危機の緊急対応)に関する課題や対応策を協議し、グループ経営に寄与することを目的に、当委員会での検討事項・結果について、取締役会または経営戦略会議で報告

社外役員選任理由

社外取締役

河野 康子 消費者問題に関する豊富な経験及び知見等を有していることから、経営全般はもとより、企業理念の実現に向けたマイルストーンとして策定したニッポンハムグループ「Vision2030」の実現に向けて取り組むべき社会課題として設定したニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」の推進・実行に関して有益な提言をいただくことを期待しております。これらのことから、業務執行を監督する独立社外取締役として適切な人財と判断し、同氏を引き続き社外取締役といたしました。
荒瀬 秀夫 大手医療機器メーカーにおいて海外事業担当の取締役を務め、変化に対応するグローバルな企業経営における豊富な経験及び高い見識を有していることから、経営全般はもとより、企業理念の実現に向けたマイルストーンとして策定したニッポンハムグループ「Vision2030」の実現に向け、バックキャスト視点で策定した「中期経営計画2023」の経営方針である「海外事業における成長モデルの構築」に関して有益な提言をいただくことを期待しております。これらのことから、業務執行を監督する独立社外取締役として適切な人財と判断し、同氏を引き続き社外取締役といたしました。
山崎 徳司 証券アナリスト経験者としての専門的見地と豊富な経験等を有していることから、経営全般はもとより、企業理念の実現に向けたマイルストーンとして策定したニッポンハムグループ「Vision2030」の実現に向け、バックキャスト視点で策定した「中期経営計画2023」の経営方針である「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」に関して有益な提言をいただくことを期待しております。これらのことから、業務執行を監督する独立社外取締役として適切な人財と判断し、同氏を引き続き社外取締役といたしました。

社外監査役

北口 正幸 弁護士および公認会計士としての専門的見地と豊富な経験に基づき、公正で客観的な立場から、グループ経営の適法性および妥当性を確保するための発言を適宜いただいています。また、コンプライアンス委員会のオブザーバーを務めました。
西山 茂 公認会計士および大学院教授としての専門的見地と豊富な経験に基づき、公正で客観的な立場から、グループ経営の適法性および妥当性を確保するための発言を適宜いただいています。また、サステナビリティ委員会の委員を務めました。
中村 克己 弁護士としての専門的な見地と豊富な経験等に基づき、公正で客観的な立場から、グループ経営の適法性および妥当性を確保するための発言を適宜いただいています。また、サステナビリティ委員会の委員を務めました。

取締役会の実効性評価

当社は、取締役会の体制や運営についての課題を発見し、取締役会の実効性を高めるために、「ニッポンハムグループコーポレート・ガバナンス基本方針」に基づいた取締役会の実効性分析・評価を、2015年度から実施しています。

評価プロセス

毎年、すべての取締役・監査役に対してアンケートを実施しています。また、役員の忌憚のない意見を引き出すこと、客観的な分析を担保することを目的に、アンケートの回答は社内事務局を経由せず、第三者の評価機関に直接返送する方式にしています。
2023年4月28日開催の取締役会においては、第三者の評価機関の客観的な分析・評価レポートをもとに、意見交換をしました。この意見交換の結果を参考に、同年6月9日・27日開催の取締役会において、当社取締役会の実効性に関する分析・評価を実施しました。

評価項目 1.取締役会の構成と運営
2.経営戦略と事業戦略
3.企業倫理とリスク管理
4.経営陣の評価と報酬
5.株主との対話

役員報酬

基本的な考え方

当社の役員報酬制度は、経営者として優秀な人財を選抜 育成・登用し、その業務執行取締役および執行役員一人ひとりに対し、役員報酬と当社業績および株主価値との連動性をより明確にし、当社の企業理念実現に向けて、中長期的な企業価値向上を促すインセンティブを付与することを目的としています。制度構築・報酬水準・制度運用などについては、独立社外取締役を委員長とする報酬検討委員会の検討・合議を経て、取締役会において決定することとしており、役位別の報酬水準は、第三者機関の調査結果などを参考に、毎年妥当性を検証しています。

報酬の概要

取締役(社外取締役除く)の報酬は、金銭報酬(基本報酬および評価報酬)ならびに業績連動型株式報酬で構成されています。
評価報酬には、年度業績だけでなく、当社の持続可能性につながるマテリアリティへの進捗・取り組みに対する評価も含まれています。環境・社会・ガバナンスの向上につながる非財務項目が評価対象となり、昨年度の実績として年次インセンティブに反映する経営課題(約4割)のうち、評価項目の約5 割を占めました。
業績連動型株式報酬には、マルス(権利付与後権利確定前の減額)およびクローバック(権利確定後の返還)条項が含まれています。発動要件の一つが発生した場合にこれらの条項を行使することができ、要件には職務の重大な違反、社内規程の重大な違反など一定の非違行為を含みます。返還対象となる株式報酬は、非違行為が発生した事業年度における報酬の全部または一部です。
また、本制度導入にあたっては、「当社が金銭を拠出することによって設定する信託が当社株式を取得し、対象期間中に在籍する取締役などに対して同信託を通じて当社株式が交付される」という役員向け株式交付信託の仕組みを採用しています。

次世代経営者育成計画(選抜・教育・異動)

経営者に求められる人財像

当社グループは、持続的な企業価値の向上のために、次世代経営者育成計画を策定するとともに、「経営者に求められる人財像」の5要件(誠実・献身・熟慮・挑戦・共感)を定義しています。役員評価については、執行役員が5要件を指標に盛り込んだコミットメントシートを作成し、対象者の目標設定・結果は社長面談で確認しています。さらに、日本ハム(株)では、この5要件を備えた次世代人財を育成するため、全社横断的な「選抜・教育・異動プログラム」や「経営者行動特性分析プログラム」などを導入しています。
なお、「選抜・教育・異動プログラム」においては、各階層 での選抜機会を設けており、多様な人財が早期から次世代 経営リーダー候補となるべく門戸を広げています。

次世代経営者の育成

当社グループでは、経済産業省が公表した「企業価値向上に向けた経営リーダー人財の戦略的育成についてのガイドライン」のプロセスに沿って次世代経営者計画の取り組みを進めています。2018年度から始まった計画は、最終のフェーズ4「育成結果の評価と関連施策の再評価・見直し」まで進んでいます。2021年度からは、新任執行役員を対象に、次世代経営者育成・社外の有益な人脈づくりなどの観点から、若手経営者向けフォーラムへの参加を実施しています。
役員就任後の啓発機会としては、取締役会や執行役員会議での学びの機会(コーポレート・ガバナンスに関する最新トレンドや経営経験者による講話など)を提供しています。また、役員就任後も常に能力の向上を図り、経営者に求められる5要件の維持・研鑽を図り、外部教育機関による経営者向けプログラム(選択型)を導入しています。
また、当社グループとして経営層(日本ハム(株)では部室長クラスも含む)に対し、上司・同僚・部下などが評価する「360度評価」を実施し、自己啓発に役立てています。 なお、CEO・経営陣の後継者計画は、求められる人財像の提示や各種外部評価システムの活用、教育研修の実施などを含め、毎年改善を図っており、その改善内容は役員指名検討委員会で検討し、取締役会で確認しています。

内部監査およびグループガバナンス

内部監査および監査役監査

内部監査(監査部に20名配属)については、監査役および会計監査人と連携し、工場・営業所や国内外の子会社往査などの会計監査・業務監査を実施し、内部監査の結果を取締役会に報告しています。また、会計監査人が内部統制の有効性を評価するにあたっては、監査部と会計監査人が内部監査の実施状況を理解するために協議するとともに、監査の結果についても相互に報告しています。

監査役監査については、監査役が取締役会および重要会議・委員会などに出席し、取締役の職務執行を確認しているほか、四半期ごとに代表取締役社長との意見交換と提言、社外取締役との意見交換をしています。また、業務執行状況の聴取は原則として常勤監査役と社外監査役それぞれ1名以上が参加し、取締役は年2回、執行役員および主要な部室長は年1回のヒアリングを実施。業務執行状況、ガバナンス・コンプライアンスの取り組み状況、働き方改革の状況、人財育成などを確認しています。

国内、海外のグループ会社監査については、基本的に期初に策定する監査計画に基づいて選出した重要拠点は毎年、それ以外の拠点は隔年で往査。事業執行の進捗状況、重点リスクへの対応、コンプライアンスへの取り組み、働き方改革の状況、要望事項などを聞き取りしています。
監査役は、内部監査部門から月1回報告を受け、内部監査部門の監査への立会いや会計監査人の監査への立会い(期末棚卸監査含む)を実施しています。
また、2021年4月に設立した「グループ監査役室」は、グループ会社取締役から独立したグループ会社監査役による監査の実施および関係部署との連携を強化し、当社グループの監査機能および内部統制の強化を図っています。グループ会社全体のあるべき監査体制の確立および実現に向けて必要となる組織づくりと人財の育成を目指します。同室は、監査部・監査役と連携しながら、グループ会社の新任監査役の赴任前研修や新規監査ツールの開発援助を実施したほか、監査品質、監査効率の向上のための情報連携などに取り組みました。

監査役および監査役会の主要な業務と役割分担

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項目・対象 概要 常勤 社外
取締役会の監視・監査 取締役会への出席(18回)
取締役等の職務執行監査 代表取締役社長の面談(4回、1回2時間程度)
社外取締役との意見交換(4回、1回2時間程度)
上記を除く業務執行取締役、執行役員、主要部門長の面談(34回)
取締役会以外の重要会議 常勤監査役が出席・意見陳述
各種委員会 担当監査役ごとに会議および委員会に出席
内部監査部門 監査結果報告の受領(12回)
経理財務部門 四半期決算報告、会計監査人活動状況報告等(7回)
会計監査人 会計監査計画、会計監査報告の受領、四半期決算レビュー受領等(13回)
グループ会社 企業集団の監査として監査計画に基づきグループ会社の代表者のヒアリングおよび書類調査を実施(提出会社含め39事業所)
グループ監査役室・グループ会社常勤監査役との情報交換会(10回)

会計監査

会計監査については、有限責任監査法人トーマツと監査契約を締結しており、会社法および金融商品取引法に基づく会計監査を受けています。また、経理担当部署は、必要に応じて会計監査人と協議し、会計処理の透明性と正確性の向上に努めています。

業務を執行した公認会計士の指名 所属する監査法人名
池田 賢重 有限責任監査法人トーマツ
松本 俊輔 有限責任監査法人トーマツ
川合直樹 有限責任監査法人トーマツ

※会計監査業務に係る補助者は、公認会計士20名、公認会計士試験合格者17名、その他31名です。

政策保有株式

当社は政策保有株式を保有しないことを原則としますが、取引の安定や事業拡大のための連携強化、資金調達の円滑化など、当社グループの持続的成長や企業価値向上に政策保有株式が欠かせないと認められる場合には、保有することがあります。当社は、毎年1回全投資銘柄につきレビューを行い、株式保有に伴う便益、株式の価格変動リスクおよび発行体企業の信用リスク等が資本コストに見合っているかを精査し、保有の適否を総合的に判断しています。
保有の必要性が薄れてきた銘柄については、株価や市場動向等を踏まえ、適宜売却を実施していきますが、保有の意義が認められる場合であっても、発行体との合意のうえで売却を行うことがあります。当社の政策保有株式については、2023年3月期末において時価総額約229億円であり、当社連結総資産の2.4%程度であることから大きな比率ではないと認識していますが、引き続き全投資銘柄につき定期的に見直し、縮減を進めていきます。

コーポレートガバナンス報告書

コーポレートガバナンス・コード 実施状況表