牛肉の基礎知識

一口に牛といっても、いろいろな品種の牛がいます。ここでは、主に日本に流通している牛を紹介します。

和牛

黒毛和種

日本の代表的な品種で、和牛の約9割を占めています。毛色は黒で褐色を帯びていて肉質が良く、「霜降り肉」と言われるやわらかくて細かい脂肪が特徴。

褐毛(あかげ)和種

あか牛とも呼ばれる品種。毛色は黄褐色から赤褐色。黒毛和種と比べるとやや肉質は劣るのですが、体が大きく育つ牛です。

無角和種

毛色は黒で、黒毛和種よりも黒味が強いのが特徴。肉質も黒毛和種に比べるとキメが粗いのですが、早く体が育つ牛です。

日本短角種

毛色は濃い赤褐色。肉質は黒毛和種に劣りますが、放牧に適しているので育てやすい牛です。

乳用牛

ホルスタイン

日本国内のほとんどの乳用牛がホルスタイン。毛色は白黒の斑、大きな体で乳房が発達しており、乳量が多い牛です。

肉用種

アンガス

毛色は黒色、角がなくて足が短いのが特徴。イギリスで改良された小型の牛で、肉質が優れており代表的な肉用種です。

ヘレフォード

毛色は赤褐色で、顔から胸や腹にかけて白くなっているのが特徴。暑さや寒さなどの気象条件に強く、環境適応力の高い牛です。

マリーグレー

オーストラリアの品種で、毛色は灰褐色。性格が穏やかで、成長が早いのが特徴。

ブラーマン

高温地帯での順応性が高く、病気への抵抗力が高いため、アメリカのフロリダやテキサスなどのように気候が熱くて厳しい地域で飼育されている品種。毛色は黒と白で、水分を貯蔵するコブがあります。

写真提供:(独)家畜改良センター、ホルスタイン・マガジン社、
(社)日本食肉協議会

豆知識

交雑種とは

和牛よりも生産コストを抑えつつ、乳用種よりも品質を向上させるため、品種同士を交配させて生まれた牛のこと。和牛とホルスタイン、肉専用種とホルスタインの交配などがあり、それぞれの品種の利点を掛け合わせることによって生産効率を上げることが目的です。ホルスタイン同様、店頭では「国産牛」と表記されます。

豆知識

和牛と国産牛の違い

和牛とは日本の在来種のことで、現在は「黒毛和種」「褐色和種」「日本短角種」「無角和種」の4種類しかありません。今、流通している和牛の90%以上は「黒毛和種」です。
国産牛とは日本国内での飼養期間が最も長い牛のことをいい、品種による違いはありません。ですので、日本で生まれた牛も外国で生まれた牛も含まれます。

豆知識

グレインフェッドビーフとグラスフェッドビーフ

グレインフェッドビーフは「穀物肥育牛肉」といい、牧草を食べて肥育した後、穀物で育った牛肉のこと。穀物を飼料として育った肉牛は肥育期間が長いほどサシが入り、味わいも優れています。
グラスフェッドビーフは「牧草飼育牛肉」のことであり、自然の中で牧草を食(は)んで育った牛肉です。赤身の多い肉質で、肉本来の味が楽しめるのが特徴です。