サステナビリティ

世界的には、人口増加や経済成長、気候変動などにより水不足が深刻化しており、今後、水ストレス地域が増加することが懸念されています。
自然資本の一つである水資源の枯渇は事業活動に使用する水だけでなく、原材料の調達にも影響を及ぼし、事業活動にリスクをもたらす可能性があります。また、事業活動からの排水は環境にも影響を与えています。
ニッポンハムグループは、国内外全拠点において地域や拠点の状況に応じた節水活動、節水に配慮した設備の導入、再利用水の活用、雨水の活用に取り組み、目標達成に向けて事業を継続しています。
特に国内外の水リスクが高い地域においては、地域行政や関係機関と連携するなど、リスクの低減に努めています。

目標および進捗

中長期環境目標に関する「水」の目標および進捗は、以下をご覧ください。

水 目標および進捗 [PDF:673KB]

水リスクへの対応

水はニッポンハムグループが生産・製造を行う上でなくてはならない資源であり、取水・排水における環境負荷低減に取り組んでいます。水ストレス(渇水等)に対しては、生産・製造活動が低下するリスクを認識し、高ストレス地域での影響を把握しつつ、持続可能な水利用の推進に取り組んでおります。また、水災害(洪水・高潮等)に対しては、気候変動による物理的リスクを認識し、設備強化やBCP(事業継続計画)の見直しを通じて、レジリエンス強化を図っています。

有価証券報告書(TCFDに基づく開示内容) [PDF:4.61MB]

排水処理

ニッポンハムグループでは、法令で定められた排水基準に加え、自社での基準を設け、高いレベルでの浄化処理を行い、環境への負荷を低減することを目指しています。そのため、活性汚泥法※を中心に他の処理方法を組み合わせ、事業所ごとに最適な方法で排水の浄化を行っています。

  • 活性汚泥法:有機物を分解し増殖を続ける微生物の集まりである「活性汚泥」を利用して、排水の汚れ成分である有機物を好気的環境下で微生物によって分解することで、排水を浄化する方法

生産プロセスにおける取り組み

節水活動

日本フードパッカーでの節水活動

日本フードパッカー(株)は、水使用量の多い箇所の特定や冷蔵庫の霜取り装置の改善、洗浄ノズルの改良、さらに従業員の意識改革を通して水使用量を大幅に削減しました。

灌漑用水

灌漑用水スプリンクラー(オーキービーフエキスポート社)

牛の処理・加工を行うオーキービーフエキスポートでは場内排水を、 バイオマス技術(嫌気性・好気性処理)を活用し処理施設で浄化しています。この浄化された水は、飼料用穀物の灌漑用水として農地に還元されています。

排水の再生利用

日本クリーンファーム(株)道南事業所では、RO膜(逆浸透膜)を利用して排水中の不純物をろ過する設備を稼働しています。この設備により、処理する水の80%以上を再利用できるため、取水量の削減につながっています。再生水は清掃などに使用しています。
タイ日本フーズのアユタヤ工場では、以前より水の再生利用に取り組んでいます。2024年11月には、再生能力を強化するため、水再生利用設備を導入しました。これにより、使用水量の約30%の排水を再利用することが可能となりました。再生水は、冷却システムの冷却水や社内トイレの洗浄水として活用しています。

RO膜ろ過設備

アユタヤ工場再生利用設備

冷却水の再利用

日本ホワイトファーム(株)の食品工場では、使用水の約10%を再利用しています。再利用が最も多いのは、鶏の処理に使用する冷水です。冷却プロセスは「予冷」と「本冷」の2段階に分かれており、これらのプロセスでは冷水を効率的に再利用しています。具体的には、本冷で使った冷水の一部が主に予冷に再利用され、予冷の際に使用した冷水の一部は洗浄時のシャワー水として再利用しています。

雨水の有効活用

雨水活用装置(南日本ハム(株))

南日本ハム(株)では、雨水ろ過装置を導入し、雨水を回収し再利用しています。
この水は主に排水処理設備の汚泥脱水機の自動洗浄や薬品溶解に使用されており、水資源の有効利用に寄与しています。しかし晴天時には装置が停止するため、稼働率向上のために冷却水の回収も計画し、再利用水の増加を目指しています。