サステナビリティ担当役員メッセージ
サステナビリティ戦略の重要性とその役割
サステナビリティは、企業が長期的に持続可能な成長を遂げるための重要な要素です。ニッポンハムグループでは、「中期経営計画2026」に基づいて、事業戦略、財務戦略、R&D戦略と並び、全社戦略の一環としてサステナビリティ戦略を位置づけています。これにより、社会的責任を果たしながら経済的価値と社会的価値の両立を最大化させていくことを目指しています。
2024年4月には、サステナビリティ戦略を策定し、「食べる喜びの提供」「新たな価値の創出」「地球環境の保全」「レジリエントな事業基盤の強化」の4つを活動の柱に設定し、特に重要な課題をマテリアリティとして特定しました。将来的には世界的な人口増加や気候変動によって、食料需要が供給を上回る可能性が高まっており、特にたんぱく質の不足が懸念されています。こうした背景を踏まえ、私たちは持続可能なたんぱく質供給の実現はもちろん、事業活動を通して社会課題の解決に挑戦し、人々の健やかな暮らしと持続可能な未来を目指しています。
中長期環境目標の改定とロードマップの策定
当社グループは、あらゆる生命を育む自然環境の保全、限りある資源の有効活用、そして環境負荷の低減が果たすべき社会的責任の一つである考えています。地球規模の環境課題が深刻化する中、当社グループの事業活動が環境に与える影響が大きい5つの重点項目を特定しました。また、2030年度に向けた中長期環境目標を改定するとともに、2050年度に向けた長期的ロードマップを策定しました。
このロードマップに基づき、地球環境との調和を目指し、持続可能な社会の実現に貢献するため、グループ全体で環境負荷低減への取り組みを加速させていきます。
日本の畜産業の持続可能な発展に貢献
食肉事業を中心に展開する当社グループは、日本の畜産業の持続可能性を社会的使命の一つと捉え、その実現に注力しています。家畜疾病への対策やアニマルウェルフェアに配慮した飼育環境の改善、スマート養豚技術による担い手不足への対応などを進めています。
また、JA全農との共創プロジェクトでは、カーボンニュートラル農場の基準づくりや国内飼料自給率の向上などを通して、畜産業の持続可能な発展に貢献しています。さらに、畜産分野のみならず、企業全体の持続可能な成長を支えるために、人権尊重の推進とサプライチェーン全体での人権リスクの低減にも取り組み、社会から信頼される企業を目指しています。
多方面から人々の心と体の健やかさに貢献
当社グループが目指す「健康」は、たんぱく質を中心に、身体機能の向上と心の充実を促す体験を提供することに加え、社会全体がより良い生活を送るための環境を構築することです。たんぱく質の提供においては、「人も地球も心地よく、より良い毎日へ。」をコンセプトにしたブランド「Mealin' Good(ミーリングッド)」を展開し、多様なニーズやライフスタイルに応じた商品開発を進めています。また、アレルギーなどの食課題に配慮した商品を開発・提供し、誰もが安心して食を楽しめる社会の実現を目指しています。
さらに、スポーツイベントや食体験に関連するさまざまな機会の提供にも注力しています。例えば、ボールパーク事業では、野球観戦にとどまらず、多彩なエンターテインメントを提供する空間として、新たな価値を創出する街づくりに挑戦中です。その他、ウインナー手作り体験や飾り切り教室、学生に向けたたんぱく質に関する講義などさまざまな形で食育活動を実施しています。こうした活動を通して、人々の豊かな心と健やかな体に貢献していきます。
社内外の連携を進め、持続可能な社会を実現する
これまで述べてきたような課題解決には、サステナビリティ戦略を事業部の垣根を超えて推進・展開することが不可欠です。さらに、自社グループ内のリソース利用にとどまらず、社外のステークホルダーとも連携したオープンイノベーションを推進し、サステナビリティ戦略を事業戦略、財務戦略、R&D 戦略とシンクロナイズさせることで新たな価値を創出します。
この取り組みは、単に当社の企業価値を向上させるだけでなく、日本の食料自給率向上と食料安全保障への貢献にもつながります。また、高齢化などの課題を抱える日本の畜産業を救い、スマート畜産、代替肉、細胞性食品などの先端技術を通して第一次産業の構造を変革していくことを目指します。
究極的には、当社グループの使命は地球の食料危機を救うことです。 私たちはこれからも社会のニーズに応えながら、持続可能な未来のために挑戦を続けていきます。
執行役員(サステナビリティ担当)
大西 淳