マテリアリティの特定プロセス

検討体制

2020年より発足した全事業本部、コーポレート部門の13の部署の代表者からなるES(環境・社会)部会において、同年5月から、マテリアリティの特定に対しての検討を行いました。
ES部会で検討した結果は、サステナビリティ委員会で報告され、全取締役の間で検討を繰り返し、2021年2月、ニッポンハムグループ Vision2030や中期経営計画2023と連動させて特定しました。
同時に、施策・指標についても内容を検討しました。

  • ES部会

特定のプロセス

重要課題の特定にあたっては、国際的な動向やイニシアチブ等の社会からの要請、ニッポンハムグループを取り巻く事業環境を踏まえつつ、ステークホルダーの視点と自社視点の両面から評価・検討を行いました。

STEP1:2020年5月~7月

社会課題の把握・整理・抽出

GRI、ISO26000、SASB、SDGsを参考にして、評価対象となる社会課題項目を抽出
・社会課題項目(233項目)→一次スクリーニング(71項目)→二次スクリーニング(36項目)

STEP2:2020年8月~11月

重要性の評価 ~アンケート、ヒアリングによるステークホルダーの意見集約~

  • お客様、お取引先、株主・投資家、従業員へのアンケートを実施
  • 社外有識者、当社役員へのヒアリングを実施
  • 上記ご意見を踏まえ、マテリアリティ案を設定
アンケート対象
お客様
  • 日本ハム奥様重役会(現 食の未来委員会)※会員(20名)
  • 一般消費者(300名)
  • お得意先(7社7名)
株主・投資家
  • 株主・アナリスト(6社6名)
有識者
  • 有識者(11名)
NGO
  • 1団体(2名)
グループ内
  • 取締役(8名)
  • 監査役(5名)
  • 執行役員(2名)
  • グループ会社役職員(22名)
  • グループ従業員(49名)
  • 当社独自のモニター制度
ヒアリング対象
社外
  • 有識者(8名)
  • NGO(1団体)
グループ内
  • 取締役(8名)
  • 監査役(5名)
  • 執行役員(2名)
  • 労働組合委員長(1名)
  • 北海道日本ハムファイターズ(1名)
  • ヒアリング当時の役職を記載しています。
  • 取締役と監査役には社外取締役・社外監査役を含みます。

さまざまな立場の有識者の方にニッポンハムグループの「マテリアリティ」についてご意見を伺いました。

経営者の視点

一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン代表理事
有馬利男氏

  • 自分の仕事とSDGsをつなげることで、自分がどのように社会に貢献しているかを理解し、モチベーションアップにつなげてほしい
  • 外国人技能実習生の問題を含む人権への対応は喫緊の課題。バリューチェーンでターゲットを明確にする必要がある
  • 短期的なリターンを長期的な収益に統合するような思考回路/展望を持つことを経営層に期待

ESG投資家の視点

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
吉高まり氏

  • 同業他社とは異なる、日本ハムらしさが重要。たんぱく質にフォーカスしたことは評価できる
  • 食物アレルギーへの対応のような「強み」は、時間が掛かっても粘り強く訴求を続けた方が良い
  • 気候変動対応は今後ますます期待が高まるだろう
  • 今後、財務、非財務の統合は加速する。中長期的な企業価値の向上を出すためのストーリーが大切

グローバルの視点

大学院大学至善館教授、NPO法人NELIS代表理事
ピーター・D・ピーダーセン氏

  • 多様なたんぱく質への対応は今後グローバル市場でニッポンハムグループを成功させる大きな一手
  • グローバルでの加工肉の健康影響への配慮は、ますます必要となるだろう
  • 気候変動はもはや危機。バリューチェーンで対応を
  • SDGsのゴールとターゲット明記が必要

ジェンダー平等/グローバルの視点

NPO 法⼈ Gender Action Platform理事
内閣府男女共同参画会議専門委員
大崎麻子氏

  • 心身ともに健全な状態を指す“ウェルビーイング”が国内外でキーワードになっている
  • 優秀人材の獲得と定着率の向上は喫緊の課題。若年世代がジェンダー平等や多様性を重視していることを踏まえた手立てが必要
  • ニッポンハムグループのESGと本業をつなぐキーワードは女性。購買決定者の多くが女性であるため、事業においても女性の活躍が期待される

スポーツコミュニティの視点

ニッポンハムグループのスポーツ事業である北海道日本ハムファイターズで、スポーツコミュニティオフィサーに就任し、自らサステナビリティ活動を推進される稲葉氏にニッポンハムグループのマテリアリティについて伺いました。

北海道日本ハムファイターズ スポーツ・コミュニティ・オフィサー
稲葉篤紀氏

<食物アレルギーの取り組みについて>

食物アレルギーについては非常に大きな社会課題だと認識しています。ニッポンハムグループの長年の研究や、商品開発力を活かして社会に貢献することを期待しています。

<食育活動について>

現役時代、食事メニューについてニッポンハムグループの栄養士さんから、直接アドバイスをいただき、非常に参考になった経験があります。子ども達も、その食べ物が、身体にどのような効果があるのかわかると食に対しての興味が湧くのではないかと思います。食育活動の重要性を感じています。

<従業員について>

話を聞くということが優秀な人財を育てるための基本だと考えています。私は普段、選手が何を考えているのか理解できるよう、タイミングを考えたり、相手をしっかりと見て話すことを心がけています。また、目標を伝え何が求められているのか理解してもらうことも大切ですね。

<地域共創について>

私たち球団もスポーツ事業を通して地域社会の発展に取り組んでいます。今後は、2023年開業予定のBALLPARKを通じて、さらに地域との共創共栄に取り組んでいきたいと考えています。

STEP3:2020年11月

妥当性評価 ~ステークホルダー・ダイアログの実施~

  • マテリアリティ案について、社外有識者と当社役員によるステークホルダー・ダイアログを実施。
  • ステークホルダー・ダイアログのご意見を踏まえ「5つのマテリアリティ(重要課題)案」を特定。
テーマ「マテリアリティ(重要課題)の妥当性評価」
日時 2020年11月16日(月)
場所 日本ハム(株)東京支社
有識者の皆様 有馬 利男氏(一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン代表理事)
吉高 まり氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)
参加者 代表取締役社長 畑 佳秀
取締役常務執行役員 宮階 定憲
社外取締役 河野 康子
ファシリテーター 株式会社クレアン 薗田 綾子氏
  • 所属および役職等は、開催日のものです。

STEP4:2020年11月~2021年5月

マテリアリティの特定と指標の設定

  • 2020年11月のサステナビリティ委員会を経て、2021年2月のガバナンス会議・取締役会にて、「5つのマテリアリティ(重要課題)」を最終確定
  • 作成したマテリアリティマトリックス、企業理念、SDGsへの貢献などを考慮し検討したうえで施策、指標を決定

評価とマテリアリティ(重要課題)の特定

ニッポンハムグループと、外部のステークホルダーが非常に重要としている項目から、マテリアリティ項目のマッピングを実施しました。そして、社会視点での検証のためステークホルダー・ダイアログを実施するとともに、自社視点である経営層による検討を重ね、下記のとおり「5つのマテリアリティ(重要課題)」を特定しました。

重要課題のマッピング